海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は、自己紹介や自分の得意分野を伝える時にとても重宝する、ネイティブらしい自然な口語表現をご紹介します。
教科書通りの英語から一歩抜け出して、日常会話がぐっと豊かになる魔法のようなフレーズですよ。
一緒に楽しく学んでいきましょうね。
実際にそのシーンを見てみよう!
今回はエピソードの冒頭、中国へ向かう飛行機内のシーンです。
ファーストクラスでアイマスクをして優雅に眠るブレナンとは対照的に、エコノミークラスのブースは両隣を年配の女性乗客に挟まれています。
片方の女性ナディーンには肩を寄りかかられて熟睡され、ブースは完全に身動きが取れません。
どうしても席を立ちたいブースが、もう一人の女性シャーロットに声をかけるコミカルなやり取りです。
Charlotte: It’s just that this book is so exciting. Do you like mysteries?
(この本、すごくハラハラするのよ。あなた、ミステリーはお好き?)
Booth: Well, I-I’m an FBI agent, so mysteries are sort of my thing.
(ええっと、俺はFBI捜査官なんで、ミステリーは得意分野というか、専門ですね。)
Charlotte: I’m an aficionado myself. I’m here with Nadine. She’s plotting the perfect murder. For years now. But just for fun.
(私自身もマニアなの。こっちのナディーンと一緒にいるんだけど、彼女は完璧な殺人を企てているのよ。ここ何年もね。もちろん、ただのお遊びだけど。)
Booth: Right, you can tell me all about it later; I’ve really got to get out. I gotta go.
(なるほど、その話はまた後でゆっくり聞かせてください。本当にここを出なきゃいけないんで。行かないと。)
BONES Season4 Episode10 (The Passenger in the Oven)
シーン解説と心理考察
「横で寝られているせいで出られないんだ」と必死に訴えるブースに対し、シャーロットは自分の読んでいるミステリー小説の話に夢中で全く話を聞いていません。
日々本物の殺人事件の最前線で戦っているFBI捜査官が、一般の乗客から「ミステリーはお好き?」と無邪気に尋ねられるという、非常にアイロニーの効いた面白い状況です。
ブースは「自分はプロの捜査官だから得意中の得意だ」と心の中では思いつつも、初対面の年配女性に対して角が立たないよう、「まあ、得意分野みたいなものですね」と少し控えめに、かつユーモアを交えて返答しています。
早くトイレに行きたい(あるいは窮屈な席から抜け出したい)のに、お喋りな女性に捕まってしまったブースの困り顔と、大人の余裕を見せようとする彼らしい優しさが伝わってくる名シーンです。
フレーズの意味とニュアンス
sort of my thing
意味:(私の)得意分野です、好きなことです、専門です
「my thing」は直訳すると「私のもの」ですが、日常会話では「私の得意なこと」「私の趣味・好きなこと」「私の専門領域」という意味で頻繁に使われます。
そこに「sort of(〜のようなもの、ちょっとした)」がくっつくことで、断言を避けた柔らかく控えめなニュアンスになります。
【ここがポイント!】
ネイティブがこの表現を使うとき、自慢げに「これが私の大得意です!」と真っ向から主張するのではなく、「まあ、わりと得意な方かな」「そういうの、嫌いじゃないよ(むしろ好き)」といった、少し謙遜した、あるいは照れ隠しのような響きが含まれます。
「I am good at 〜」や「My specialty is 〜」と言ってしまうと少し堅苦しかったり、自己主張が強すぎたりする場面で、この「my thing」を使うと、非常にこなれたフレンドリーな印象を与えることができます。
今回ブースが「I am an expert in murder cases(私は殺人事件の専門家です)」と真面目に返さず、「sort of my thing(得意分野みたいなもんです)」と返したのも、プライベートの機内で居合わせた乗客への気さくな配慮であり、言葉の引き算を知っている大人の余裕と言えますね。
実際に使ってみよう!
日常会話で大活躍するフレーズです。相手からの誘いを断る時や、自分の特技を控えめに伝える時にどう使うのか、シチュエーションを想像しながら読んでみてください。
Cooking is not really my thing, so I usually eat out.
(料理はあまり得意じゃないので、普段は外食ばかりです。)
[解説] 否定形にして「not my thing(私の得意分野ではない、趣味じゃない)」とするのも非常に一般的な使い方です。「I don’t like cooking」と直接的に言うよりも角が立たず、やんわりと自分の好みを伝えることができるため、食事や遊びの誘いを優しく断りたい時にとても重宝します。
Are you good at fixing computers? It’s sort of my thing.
(パソコンを直すの得意なの?ーーまあ、得意な方かな。)
[解説] 相手からの質問に対して、少し控えめに「得意だよ」とアピールする時の自然な返し方です。「Yes, I am perfect at it」と言うと少し偉そうに聞こえてしまう場面でも、このフレーズなら謙虚さと親しみやすさを同時に表現できます。
I don’t know much about modern art. That’s more his thing.
(私は現代アートについてはよく知らないんだ。それはどちらかというと彼の専門(趣味)だね。)
[解説] 代名詞を変えて「his thing」「her thing」とすることで、「それは彼(彼女)の得意分野だ」と他の人を紹介したり、話を上手く振ったりする時にも応用できます。ビジネスの場でもカジュアルに担当者を紹介する際などに使えますよ。
BONES流・覚え方のコツ
エコノミークラスの狭い座席で、肩に見知らぬ女性の頭を乗せられながら、隣のおばあちゃんから「ミステリー小説好きなの?」と無邪気に聞かれたブースを想像してみてください。
彼が困ったように笑いながら「FBIなんで、まあ、専門みたいなもんです(sort of my thing)」と答える姿をイメージしてみましょう。
「I am good at」の代わりにこのフレーズをぽろっとこぼすブースの姿を思い浮かべると、謙遜とユーモアが混ざったネイティブらしいニュアンスがスッと記憶に定着しやすくなりますよ。
似た表現・関連表現
my cup of tea
(意味:私のお気に入り、私の好み)
[解説] イギリス英語に由来する表現ですが、アメリカでも使われます。主に否定形で「It’s not my cup of tea(私の好みじゃない)」として、やんわりと断る時によく使われる表現です。
right up my alley
(意味:私の得意分野で、私の好みにぴったりで)
[解説] 「alley(路地)」が自分の領域に直結しているイメージから、自分の能力や興味にドンピシャで合っていることを表す活き活きとした表現です。
forte
(意味:強み、得意分野)
[解説] 音楽記号のフォルテと同じ語源で、「Cooking is my forte(料理は私の得意分野です)」のように使います。「my thing」よりも少しフォーマルで知的な響きがあります。
深掘り知識:ネイティブが魔法のように使いこなす「thing」の魅力
英語の授業では「thing=物、事」と習いますが、実際のネイティブの日常会話において、これほど便利で奥深い単語は他にありません。
彼らは教科書には載っていないような柔軟な発想で「thing」を使いこなしています。
例えば、誰かが自分の信念を貫いていたり、得意なパフォーマンスを披露したりしている時に「You do your thing.(君らしくやりなよ、君の得意なことをやりな)」と声をかけることがあります。
ここでの「thing」は、その人ならではの個性やスタイルのようなものを指しています。
また、話題になっている新しいトレンドや流行りのものを「the next big thing(次に来る大流行、大ブーム)」と呼んだり、二人の間に特別な恋愛感情があるかどうかを「Are they a thing?(あの二人って付き合ってるの?そういう関係なの?)」と表現したりもします。
さらには、確実なことや間違いないことを「a sure thing」とも言いますね。
このように、ネイティブはあえて具体的な名詞を避け、「thing」というふんわりとした言葉の器にさまざまなニュアンスを盛り込んで会話のリズムを作ります。
今回の「sort of my thing」もまさにその一つです。
「I am an expert」と明確な言葉で定義しきってしまわないからこそ生まれる、人間味あふれる曖昧さ。これこそが、生きた英語のコミュニケーションの醍醐味なのです。
ドラマを観る時は、この小さな「thing」という単語がどんなニュアンスで使われているか、ぜひ耳を澄ませてみてください。
まとめ|自己アピールを和らげる魔法のフレーズ
今回は、自分の得意分野や趣味を自然に伝える「sort of my thing」を紹介しました。
「I like 〜」や「I am good at 〜」といった学校で習う表現から一歩抜け出して、ネイティブのようなこなれた会話のリズムを作ることができる魔法のフレーズです。
自己紹介や趣味の話になった時、ぜひこの表現を使って、少し控えめで大人の余裕を感じさせる英語を口にしてみてくださいね。


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