海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は、ニュースやビジネスシーン、そして日常会話まで幅広く使われる、少し大人びた表現を紹介しますね。
日々のストレスや疲れを言葉にする際にとても役立つフレーズですので、ぜひニュアンスごとマスターしていきましょう。
実際にそのシーンを見てみよう!
亡くなったジェファソニアン研究所の同僚、ハンクの葬儀での場面です。
ブースによって棺桶に手錠をかけられてしまった葬儀屋のフランクリンのもとへ、心理学者のスイーツがやってきます。
Sweets: You know, dealing with grief and loss every day can take its toll.
(毎日、深い悲しみや喪失感と向き合うのは、心身にこたえるでしょう。)Franklin: You have no idea.
(全くその通りですよ。)Sweets: In some cases, one might even take responsibility for the death, as if it were their own fault.
(場合によっては、まるで自分のせいであるかのように、死に対する責任を感じてしまうことさえあるものです。)
BONES Season 4 Episode 22 (Double Death of the Dearly Departed)
シーン解説と心理考察
ブースは、誰も棺桶の中を見ないようにするため、葬儀屋のフランクリンを棺桶に手錠で繋いで見張りをさせています。
そこへ事情を知らない心理学者のスイーツが現れます。
手錠をかけられ極度の緊張状態にあるフランクリンを見て、スイーツは「毎日、他人の死や悲しみと向き合う仕事は心身にこたえる(take its toll)だろう」と、同情の言葉をかけます。
さらにスイーツは「死に対する責任を感じてしまうことさえある」と心理分析を続けますが、フランクリンが「全くその通りだ(You have no idea)」と激しく同意したのには、全く別の理由がありました。
実は前夜、エンバーミングの最中に遺体が突然起き上がり、ゾンビ映画の影響でパニックになったフランクリンは、反射的に遺体を刺してしまっていたのです。
本気で「自分が死なせた」と怯えるフランクリンと、職業的ストレスだと勘違いして優しく寄り添うスイーツの噛み合わない会話が、最高のコメディを生み出しているシーンですね。
フレーズの意味とニュアンス
take its toll
意味:犠牲を強いる、悪影響を及ぼす、ダメージを与える、心身にこたえる
「toll」という単語には、「通行料」や「長距離電話の通話料」という意味のほかに、「(災害や事故などによる)犠牲、代償」という意味があります。
「take」と組み合わせて「take a toll」または「take its toll」とすることで、「(物事が人や健康に対して)代償を取り立てる=ダメージを与える、悪影響を及ぼす」という意味のイディオムになります。
【ここがポイント!】
ネイティブスピーカーがこのフレーズを使う時、そこには「時間をかけてじわじわと蓄積されるダメージ」というニュアンスが含まれています。
例えば、転んで怪我をしたというような「一瞬の物理的なダメージ」に対してはあまり使われません。
日々の残業による睡眠不足、長期間にわたる精神的なストレス、長年の喫煙習慣など。
最初は小さな負担でも、毎日繰り返すことで確実に心身を削り取っていく(代償を払わせる)ような事象に対して使われます。
水滴が長い時間をかけて石を穿つように、目に見えないダメージが少しずつ蓄積している状態を表すのに最適です。
スイーツが葬儀屋のフランクリンに対してこの言葉を選んだのも、「毎日他人の悲しみを受け止め続けるという日常業務が、徐々に精神をすり減らしているのだろう」と推測したからです。
日常会話の愚痴だけでなく、ビジネスシーンでも「The economic crisis is taking its toll on small businesses.(経済危機が中小企業に徐々にダメージを与え始めている)」のように、長期的な悪影響を表現する際に非常に重宝する洗練された英語表現です。
実際に使ってみよう!
日常的なストレスから、健康被害、社会的な影響まで、蓄積するダメージを表現する便利な例文を3つ紹介します。
Years of working night shifts finally took its toll on his health.
(長年夜勤を続けたことが、ついに彼の健康に悪影響を及ぼした。)
解説:長期間の不規則な生活が、最終的に目に見えるダメージ(病気など)として表れた状況を説明する定番の言い回しです。
The severe drought is taking a heavy toll on the crops.
(深刻な干ばつが、農作物に甚大な被害をもたらしている。)
解説:人間の健康だけでなく、自然環境や経済に対するダメージにも使えます。「heavy」を間に挟んで「take a heavy toll」とすることで、被害の大きさをより強調することができます。
Dealing with difficult customers every day can really take its toll.
(毎日難しいお客様の対応をするのは、本当に心身にこたえます。)
解説:スイーツのセリフと同じように、日常的な仕事のストレスが精神をすり減らす様子を表現する際に使えます。職場の同僚との会話でもよく登場する表現です。
BONES流・覚え方のコツ
手錠をかけられているフランクリンの姿をイメージしてみましょう。
真夜中の遺体処理室で起きたゾンビ映画のようなパニック、そして今は手錠をかけられて見張りをさせられているという極限状態です。
彼の心身はまさに、高速道路の料金所(tollbooth)を通るたびに多額の通行料(toll)をむしり取られ、ガス欠寸前でボロボロになっている車のような状態です。
「ストレスが通行料のように徐々にエネルギーを奪っていく」という視覚イメージを持ってみてください。
そうすることで、フレーズのニュアンスが直感的に理解しやすくなりますよ。
似た表現・関連表現
wear someone out
(意味:〜を疲れ果てさせる、すり減らす)
解説:「take its toll」と同様に、長時間の労働やストレスが原因で「クタクタになる」様子を表すカジュアルな口語表現です。「This job is wearing me out.(この仕事には疲れ果てた)」のように使います。
burn out
(意味:燃え尽きる、極度の過労状態になる)
解説:エネルギーを使い果たして、これ以上何もできない状態(燃え尽き症候群)に陥ることを指します。「take its toll」のダメージが限界点に達した結果として「burn out」が引き起こされる、という因果関係で覚えておくと整理しやすいですよ。
pay the price
(意味:代償を払う、ツケが回ってくる)
解説:過去の悪い習慣(暴飲暴食や怠惰など)の結果として、痛い目を見ることを指します。「toll(代償)」という概念と非常に似ていますが、こちらは「自業自得」のニュアンスが含まれることが多い表現です。
深掘り知識:ニュース英語で頻出する「death toll」
今回紹介した「toll」という単語は、海外のニュース番組や英字新聞を読む際に、非常に重要なキーワードとなります。
特に災害や大規模な事故が起きた際、ニュースのヘッドラインには必ずと言っていいほど「death toll」という言葉が登場します。
これは「死者数」という意味です。
「toll」にはもともと、鐘を一定の間隔でゆっくりと鳴らす(弔鐘を鳴らす)という意味や、そこから派生して「一つずつ数え上げる」という意味合いがあります。
災害という大きな力が、人間の命を代償(toll)として次々と奪っていくという、少し恐ろしいニュアンスを含んだ言葉なのです。
今回のエピソードは、研究所の同僚の葬儀という「死」をテーマにした舞台設定でした。
スイーツはフランクリンに対して「take its toll(心身にダメージを与える)」という熟語を使いましたが、その言葉の根底には「死がもたらす重い代償」というテーマが流れています。
単語の背景にあるこうした意味の繋がりを知ると、ただ暗記するだけではない、生きた英語の面白さが見えてきますね。
まとめ|蓄積するダメージを言葉にする
今回は『BONES』のコミカルなすれ違いのシーンから、「take its toll」の意味と使い方について紹介しました。
日常的なストレスから、ビジネスにおける経済的な打撃まで、「じわじわと蓄積されていくダメージ」を表現できる、非常に便利で知的な表現です。
日々の生活や英語学習のプロセスで「最近ちょっと無理がたたってきたな」と感じた時には、心の中でこのフレーズを呟いて、自分自身をしっかりいたわってあげてくださいね。


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