海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は、世間の流行にまったく関心がないブレナンと、そんな彼女に呆れるブースのコミカルなやり取りから、日常の何気ない動作を表す粋な表現をご紹介しますね。
実際にそのシーンを見てみよう!
1年前に失踪した妊婦の遺体が発見されたというニュース。世間を大きく騒がせているこの事件をブレナンがまったく知らないことに、ブースは驚きを隠せません。
テレビも見ず、難解な専門書ばかり読んでいる彼女に対して、ブースが「せめてこれくらいは読めよ」と皮肉交じりに突っ込む、二人の価値観の違いが浮き彫りになるユーモラスなシーンです。
Brennan: And I’m supposed to know who that is?
(私がその人を知っているはずだってこと?)Booth: Yeah. Disappeared a year ago, she was pregnant. C’mon Bones, you have to get a TV, y’know. Or, hey, or at least just, uh, hey, thumb through a People at the checkout stand.
(ああ。1年前に失踪したんだ、彼女は妊娠していた。なあボーンズ、テレビくらい買えよ。それか、せめてスーパーのレジ横で「ピープル」誌をパラパラめくるとかさ)Brennan: Was it in the Journal of Forensic Anthropology?
(「法医学人類学ジャーナル」に載っていたの?)
BONES Season 2 Episode 2
シーン解説と心理考察
ブースが引き合いに出した「People」誌は、アメリカで最も有名な大衆ゴシップ・エンタメ誌です。
「せめてレジ待ちの間にその辺の雑誌くらい見ろよ」という日常感あふれる呆れ声に対し、「それは法医学の専門誌に載っていたの?」と真顔で返すブレナン。
世間の常識(コモンセンス)を重んじるブースと、専門家の知性のみを信じるブレナンという、本作の根幹を成す凸凹コンビの魅力が見事に詰まった場面ですね。
フレーズの意味とニュアンス
thumb through
意味:(本や雑誌を)パラパラとめくる、ざっと目を通す
「親指」を意味する名詞「thumb」を動詞として使い、「〜を通して」という意味の前置詞「through」と組み合わせた句動詞です。
親指をページに引っ掛けて、パチパチと弾くように本や雑誌をめくっていく身体的な動きが、そのまま言葉になっています。
【ここがポイント!】
ネイティブがこの表現を使うとき、頭の中には単なる「親指の動き」だけでなく、「真剣に熟読しているわけではない」という心理的ニュアンスが強く含まれています。
活字を一語一句追う(read)のではなく、写真や大きな見出しだけを視界に入れながら、暇つぶしや気晴らしにページを流し見するような、非常にリラックスしたカジュアルな情景を伴うのが特徴ですよ。
実際に使ってみよう!
I was thumbing through a fashion magazine while waiting for my turn at the hair salon.
(美容室で順番を待っている間、ファッション誌をパラパラとめくっていた。)
美容室や病院の待合室での暇つぶしなど、この表現が最も活きる典型的なシチュエーションです。気合を入れて読むのではなく、まさに「時間を潰す」感覚ですね。
Could you just thumb through this document and see if there are any obvious mistakes?
(この書類にざっと目を通して、明らかな間違いがないか確認してもらえる?)
ビジネスシーンでも「精読しなくていいから、全体を軽く見てほしい」というニュアンスで使えます。相手に重い負担をかけない、スマートな依頼の仕方です。
He thumbed through his phone’s contacts, looking for someone to call.
(彼は誰かに電話しようと、スマホの連絡先をパラパラとスクロールした。)
現代では紙の雑誌だけでなく、スマホの画面を親指でスワイプして流し見する動作にも応用できます。時代に合わせて進化する、とても便利な表現です。
BONES流・覚え方のコツ
スーパーのレジ待ち(checkout stand)で、暇つぶしにゴシップ誌「People」をパラパラとめくるブースの姿と、分厚い「法医学人類学ジャーナル」を険しい顔で熟読するブレナンの姿を脳内で並べて映像化してみてください。
「thumb(親指)」で弾くようにページを送るカジュアルな動作には、「世間の噂話なんてその程度の関心でいい」というブースなりの柔軟な処世術が表れています。
単に「めくる」という和訳を暗記するのではなく、キャラクターの性格や「ページをめくる指先の動き」にまでフォーカスすると、英語の持つ解像度がグッと上がり、深く記憶に定着しますよ。
似た表現・関連表現
leaf through
(パラパラめくる、ざっと目を通す)
thumb throughとほぼ同じ意味ですが、こちらは本のページを「葉っぱ(leaf)」に見立て、それが風でめくれるような様子から来ています。親指の動作に焦点を当てたthumbに対し、ページがめくれる視覚的な美しさに焦点を当てた表現です。
flip through
(パラパラめくる、ざっと見る)
flipは「弾く」「パタパタさせる」という音や動きの速さに焦点を当てた表現です。thumb throughよりも少しテンポ良く、素早くページを送るニュアンスがあります。
skim through
(ざっと目を通す、斜め読みする)
必要な情報を探し出すために、要点だけをすくい取る(skim)ように読む、という知的なニュアンスが強くなります。ブレナンが論文を読む前に行うのは、まさにこの動作ですね。
深掘り知識:身体のパーツが動詞に化ける魔法
英語の面白さの一つに、「名詞(身体のパーツ)をそのまま動詞として使う」というダイナミックな特徴があります。
今回の「thumb(親指)」もそうですが、ただ「読む」「見る」と言うよりも、身体のどの部分を使ってその動作をしているかを明示することで、驚くほど映像的な表現になるのです。
例えば、「hand(手)」を動詞にして「hand the document(書類を手渡す)」。「elbow(肘)」を使って「elbow one’s way(肘で人をかき分けて進む)」。「eye(目)」を使って「eye the cake(ケーキをじろじろ見る)」。
さらに「thumb」には、道端で親指を立ててヒッチハイクをする(thumb a ride)という使い方まであるんですよ。
上級者を目指すなら、動詞を覚える際に「これはどの身体のパーツから生まれた言葉だろう?」と想像してみてください。無味乾燥に思えた英単語が、途端に血の通った生き生きとしたアクションとして脳内にインプットされ、表現の幅が劇的に広がります。
まとめ|言葉はキャラクターの性格を映し出す
いかがでしたか?「thumb through」一つをとっても、ブースの親しみやすさとブレナンの学究肌という見事な対比が表現されていましたね。
身体の動きが直結したイディオムは、一度イメージを掴めば忘れにくくなります。
ぜひ次に雑誌やスマホを見る時は、ご自身の「thumb」の動きを意識しながら、このフレーズを思い出してみてくださいね。


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