海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『メンタリスト』シーズン2エピソード10には、怪我を巡って交わされる、ジェーンとリズボンの軽妙なやり取りがあります。今回の記事で取り上げるのは、平気なふりをする側と、それを見抜く側との間で交わされる、”I’m fine”や”Now you’re really selling it”といった英語表現です。
事件の緊迫したやり取りから少し離れた、二人の掛け合いに目を向けながら、表現の使い方を見ていきます。
「I’m fine」― 平気を装う一言
ファウルボールを頭に受けたジェーンを、リズボンとチョウが介抱する場面があります。リズボンは茶化すような一言を挟みながら、チョウに付き添いを任せようとします。
Lisbon: Technically, you still haven’t. Cho, you take him.
(正確には、まだ受け止めていないわ。チョウ、彼をお願い。)Jane: Oh, no, no, no, no. I’m fine.
(いやいやいや、大丈夫だから。)The Mentalist Season2 Episode10 (Throwing Fire)
I’m fine は「大丈夫」「平気」と自分の状態を伝える定番表現ですが、ここでのジェーンのように、本当は無理をしている場面でも使われる言い回しです。医者に連れて行かれることへの抵抗が、繰り返しのnoと合わせて強調されています。日常の場面でも、体調を気づかわれて反射的にI’m fine.と返してしまう場面はよくあり、必ずしも本当の状態を表しているとは限らない一言です。技術的にはまだ受け止めていない、と切り返すリズボンのtechnically は、相手の言い分の抜け穴を軽く指摘するときに便利な副詞で、真面目な訂正というより軽い皮肉のニュアンスで使われています。平気なふりをする側と、それを見透かす側のやり取りが、この後の展開への伏線にもなっています。
「Now you’re really selling it」― 演技を見抜かれる一言
物語の終盤、実はあのふらつきも演技だったとジェーンが明かす場面が続きます。
Jane: Oh, I was just pretending. I hate these kind of dramatic scenes. Poor kid.
(ああ、演技だったんだ。ああいう芝居がかった場面は苦手でね。かわいそうに。)Lisbon: Liar. You just don’t want to go to the doctor.
(嘘つき。本当はただ医者に行きたくないだけでしょう。)Jane: “You banged your head. Be careful.”
(頭を打ちましたね。気をつけて。)Jane: Oh. Now you’re really selling it. Sounds great.
(おや。ずいぶん本気で売り込んでくるね。それはいいね。)The Mentalist Season2 Episode10 (Throwing Fire)
I was just pretending は「ふりをしていただけ」と、それまでの様子が演技だったと明かす言い方です。リズボンのliarという一言は強い非難というより、気心の知れた相手への軽いツッコミの響きがあります。このあとジェーンは「じゃあ医者は何て言うと思う?」と切り返し、自ら医者の物真似で模範解答を演じてみせます。この物真似を受けて、リズボンは今度は本気でM.R.I.の心配をし、ジェーンはNow you’re really selling it と切り返します。sell it は「それらしく見せる」「演技をうまく売り込む」という意味の口語表現で、商品を売り込む場面だけでなく、こうした冗談や演技のうまさを評する場面でもよく使われます。ここでは相手の心配ぶりがかえって本物らしく響いたことをからかう一言として使われています。平気なふりから始まったやり取りが、最後は演技の巧拙を茶化す言葉で締めくくられているのが面白いところです。
まとめ|平気なふりと、それを見抜く言葉
I’m fineは平気を装う一言、now you’re really selling itは演技の巧みさを茶化す一言です。二つの表現の間には、軽口を交わす二人の距離の近さが見えてきます。
『メンタリスト』の場面を通して、こうした軽妙なやり取りの英語もこれからも見ていきます。
同じエピソードの他のコラムやフレーズ記事もあわせて読むと、場面全体の英語がより立体的に見えてきます。


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