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『メンタリスト』シーズン3第16話の博物館の場面では、仕事に戻るよう促す一言や頼みごとに、素直な返事とは違う答えが返されます。丁寧な頼み方の「Could we ~, please?」に、あえて問い返したり、言葉を正したりする返し方が並びます。
促しや頼み、切り上げの言葉にどう返すのか、問い返す返事と、名前を正す返事と、「まだ」と言う返事を、台詞の流れに沿って見ていきます。
「Must I justify my every action?」と問い返す
博物館の展示室で、恐竜の骨格標本を紹介する台詞のあとに、こんなやり取りが続きます。
— We’ve got a dead man over there.
(向こうで人が亡くなっているんです。)
— Dead men I’ve seen. But this…
(死んだ人なら見てきた。でも、これは……)
— Could we get back to work, please?
(そろそろ仕事に戻りませんか。)
— Must I justify my every action?
(私のすることに、いちいち理由が要りますか。)
The Mentalist Season3 Episode16 (Red Queen)
Could we get back to work, please? は、get back to ~ で「〜に戻る」、Could we ~? で「一緒に〜しませんか」と持ちかける形です。末尾に please が付くので文面は丁寧ですが、話が仕事からそれていることを指摘し、戻るよう促す働きをしています。事件の話に引き戻す、という場面です。主語が we なので、相手だけに求めず、自分も含めて「一緒に戻ろう」と呼びかける形になり、指示よりも柔らかく響きます。
それに対する Must I justify my every action? は、justify が「正当化する、理由を示す」、every action が「すべての行動」です。Must I ~? は「私は〜しなければならないのですか」という、かなり改まった言い方で、日常の会話では大げさに響きます。この大げささのおかげで、促しに従うかどうかを答える前に、理由を求められる筋合いなのかを問い返す返事になっています。
同じ意味を Do I have to ~? と言うこともできますが、Must I ~? のほうが言い回しが固く、芝居がかった印象になります。皮肉を含んだ返しとして読めますが、声の調子は文字だけでは分かりません。
直前の Dead men I’ve seen. But this… は、言葉が途中で途切れています。dead men と複数形で並べ、「死んだ人なら見たことがある」と言ったあと、目の前の標本に話題が向かう流れです。促される前に、すでに話が仕事から離れていたことが分かります。
「It’s not a Stegosaurus.」と「I haven’t.」頼みや切り上げに別の形で返す
標本の話が続くなかで、同じ Could we get ~, please? の形が、別の頼みごとにも使われます。
— Could we get somebody to dust the Stegosaurus for prints, please?
(だれかに、ステゴサウルスの指紋を調べてもらえませんか。)
— It’s not a Stegosaurus. It’s a Triceratops.
(ステゴサウルスじゃない。トリケラトプスだ。)
The Mentalist Season3 Episode16 (Red Queen)
dust ~ for prints は、指紋を調べるために粉をはたく作業を指す言い方です。get somebody to ~ は「だれかに〜してもらう」で、Could we ~, please? と組み合わせると、人手の手配を丁寧に頼む形になります。
返しの It’s not A. It’s B. は、頼みに応じるかどうかを答えず、名前の取り違えを正しています。標本の名前をめぐる訂正が先に立つので、頼まれた作業の話は置き去りになります。頼みごとを受けたときに、中身ではなく言葉の正確さに反応する、という返し方です。It’s not A. と先に打ち消してから It’s B. と正しい名前を続けるので、訂正の中身が一度で伝わります。
同じ博物館でのやり取りが続くなかで、帰る側と残る側の食い違いが短い言葉で表れます。
— I’m ready to go. I’ve seen enough. I haven’t.
(帰る用意はできている。もう十分見た。私はまだだ。)
— You know they have mastodons here? Giant sloths.
(ここにはマストドンもいるって知ってる?大きなナマケモノも。)
The Mentalist Season3 Episode16 (Red Queen)
はじめの二文と最後の I haven’t. は、内容から別々の発言と読めます。I haven’t. は I haven’t seen enough. を省いた形で、直前の I’ve seen enough. を受けて、現在完了の文をそのまま打ち返しています。I’m ready to go は「出る準備ができている」という意味で、I’ve seen enough. は「もう十分に見た」と、見ることを切り上げる宣言です。そこへ I haven’t. が重なるため、短い三つの文だけで、帰りたい側とまだ見たい側の食い違いが浮かびます。
次の You know they have ~ here? は「ここには〜があるって知っていますか」と、相手の関心を別の展示へ向ける聞き方です。mastodon はゾウに似た大型の絶滅動物、giant sloth は大型のナマケモノを指します。帰ろうという流れのなかで、展示の話を足していく返しです。
まとめ|促されたときの返事の幅
Could we ~, please? という丁寧な促しや頼みに Must I ~? で問い返し、It’s not A. It’s B. で名前を正す返し方と、I’ve seen enough. という切り上げに I haven’t. で「まだ」と返す形を見てきました。いずれも、求められた答えをそのまま返さず、別の角度から返す形です。
丁寧な頼みに、どんな言葉が返されるのかを聞き比べると、場面の空気が見えてきます。
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