海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン8第14話では、ジェイの会社を率いるクレアが、経費削減に不満を募らせる社員たちと正面から向き合います。そこへグロリアが、クレアの誕生日を祝う贈り物を持って職場にやって来ます。
厳しい知らせを伝える立場の人は、どんな言葉で理解を求めるのか。社員への呼びかけから、うっかり出た一言の打ち消しまで、職場で役立つ英語が詰まった回です。
「I’m in this with you」で同じ立場に立つ
職場に着いたクレアを、アシスタントのベンが「社員が経費削減で大騒ぎになっている」と出迎えます。クレアは事情をこう打ち明けます。
Claire: I don’t know what else to do.
(ほかにどうしたらいいか分からないのよ。)Claire: Sales-wise we didn’t exactly have the Christmas I was hoping for.
(売上の面では、期待してたほどのクリスマスにはならなかったの。)Claire: What do people give each other, anyway?
(そもそも、みんな何を贈り合ってるのよ?)Ben: Well, just spitballing here maybe we could fire Kenny from the warehouse.
(えっと、思いつきで言うだけですけど、倉庫のケニーをクビにするとか。)Claire: No one’s getting fired.
(誰もクビにはしないわ。)Modern Family Season8 Episode14 (Heavy is the Head)
Sales-wise の -wise は名詞の後ろに付いて「〜の面では」を表し、会話でよく使われます。didn’t exactly ~ は「必ずしも〜ではなかった」と、悪い結果を少し和らげて伝える形です。ベンの just spitballing here は「思いつきで言うだけだけど」と、案を軽く投げるときの前置きです。クレアの No one’s getting fired. は、進行形で「誰もクビにならない」と今後の方針をはっきり示し、社員の不安を打ち消す言葉になっています。
このあと、クレアは社員を集めて話します。
Claire: Everybody gather round.
(みんな、集まって。)Claire: I don’t like these budget cuts any more than you do, but I want you to know I’m in this with you.
(この経費削減が嫌なのはみんなと同じよ。でも、私もみんなと一緒だってことは分かってほしいの。)Claire: I’ve cut my expenses.
(私も自分の経費を削ったわ。)Claire: All the execs are flying coach.
(役員は全員、エコノミークラスで移動してる。)Modern Family Season8 Episode14 (Heavy is the Head)
I don’t like ~ any more than you do は「あなたと同じくらい私も〜が嫌だ」という言い方で、相手の不満をまず受け止める働きをします。続く I’m in this with you. は「この状況に一緒にいる」、つまり上から押し付けるのではなく同じ側に立っていると伝える一言です。I’ve cut my expenses. や flying coach(エコノミークラスで移動する)のように、自分たちも負担を引き受けていると具体的に示しているのが分かります。
「my office door is always open」と冗談で場を和らげる
クレアの話は、さらにこう続きます。
Claire: So, not only is my office door always open to you, I’ve actually had it removed.
(だから、私の部屋のドアはいつでもみんなに開かれてるだけじゃなくて、実際に外しちゃったの。)Ben: That’s a very powerful metaphor, boss.
(すごく力強い比喩ですね、ボス。)Kenny: That’s a very powerful metaphor, boss.
(すごく力強い比喩ですね、ボス。)Claire: Kenny, thanks for keeping it light.
(ケニー、場を和ませてくれてありがとう。)Modern Family Season8 Episode14 (Heavy is the Head)
My door is always open. は「いつでも相談に来ていい」と伝える決まった言い方で、上司や先生が使う場面が多いと言われます。クレアはこれを文字どおり実行し、ドアを外してしまったと明かします。ベンの一言をケニーがそのまま繰り返し、クレアは thanks for keeping it light と返します。keep it light は「話を重くしない、場を明るく保つ」で、張りつめた空気をやわらげた相手に礼を言うときの形です。
ところが、この「ドアのない部屋」が後で効いてきます。グロリアが誕生日を祝いに職場へ現れ、So I brought the celebration to you.(だからお祝いを持ってきたわ)と言います。お祝いの品を前に、クレアはこう言います。
Claire: Get me a door.
(ドアを持ってきて。)Modern Family Season8 Episode14 (Heavy is the Head)
経費削減を伝えたばかりの職場で、誕生日のお祝いが社員から丸見えになる。たった4語の Get me a door. に、クレアの板挟みの状況が表れているのが面白いところです。
「That’s not what I meant」と「optics」で釈明する
その後、ベンが「小さな問題」があると切り出し、届いてしまった社員の誕生日のケーキの話になります。クレアの返事は次のとおりです。
Claire: It’s fine.
(いいわよ。)Claire: Let them eat cake.
(ケーキを食べさせておけばいいわ。)Modern Family Season8 Episode14 (Heavy is the Head)
Let them eat cake. は、18世紀フランスの王妃の言葉として知られる言い回しです(出典には諸説あります)。英語では、困っている人々の事情に無頓着な、上の立場の人の態度を皮肉るときに引き合いに出されることがあります。クレアはケーキを食べてもらえばいいと言ったつもりでも、経費削減の最中に口にすると別の意味に聞こえてしまいます。聞き返されたクレアは、すぐにこう打ち消します。
Claire: That’s not what I meant!
(そういう意味じゃないの!)Modern Family Season8 Episode14 (Heavy is the Head)
さらに社員たちを前に、クレアはこう認めます。
Claire: I realize that the optics are a bit troubling, especially today.
(この状況の見え方がちょっとまずいのは分かってる。特に今日はね。)Modern Family Season8 Episode14 (Heavy is the Head)
optics は本来「光学」ですが、ビジネスや政治の文脈では「人からどう見えるか、外からの印象」を指して使われます。I realize that ~ で「〜なのは分かっている」と先に認めてから説明に入る流れは、釈明の切り出しとして参考になります。
このあとグロリアが社員に You should all be ashamed of yourselves.(みんな恥を知りなさい)と一喝し、she deserves some pampering(彼女は少し甘やかされていい)とクレアをかばいます。説明する側と、かばう側の言葉が並ぶ場面と言えます。
まとめ|厳しい知らせを伝える側の英語
同じ側に立つ I’m in this with you、不安を打ち消す No one’s getting fired、失言を打ち消す That’s not what I meant、見え方を認める optics。伝える側の苦労が、言葉の選び方から伝わってきます。
『モダンファミリー』を観ながら、立場ごとの英語の言い回しにも耳を傾けていきましょう。
フィルとジェイの失敗の振り返りやヘイリーのとっさの嘘の英語は同じ回のほかのコラムで、個々の表現の使い方はフレーズ記事で扱っています。


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