海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
部屋や街を探していて、紹介文に「これから注目の地区」と書かれているのを見かけ、その言葉の中身が気になったことはありませんか。
そんなときにぴったりの「up-and-coming」を、『モダンファミリー』シーズン5第19話の序盤、グロリアの昔のアパートを売る手伝いをしていると語るフィルの一言から、一緒に見ていきましょう。
「up-and-coming」の意味とニュアンス
up-and-coming
意味:これから伸びてきている、新進の
up-and-comingは、まだ有名でも一流でもないけれど、これから成功や人気を手にしそうな人や場所、分野を形容する言い方です。「今すでにトップにいる」のではなく、「上り調子の途中にいる」という位置づけを表します。
形の面では、up-and-comingという3つの語をハイフンでつないで1つの形容詞にしています。使い方の基本は、名詞の前に置く形です。up-and-coming actress(新進の女優)、up-and-coming designer(新進のデザイナー)、up-and-coming neighborhood(これから伸びてきている地区)のように、後ろの名詞の将来性を一言で添えます。
修飾できる相手は人に限りません。俳優や選手といった個人のほか、地区、ブランド、企業、業界など、まだ発展の途中にあるものなら幅広く当てはまります。反対に、すでに広く知られて評価が定まったものには合いません。famousやpopularが「今の知名度」を述べるのに対し、up-and-comingは「これからの伸びしろ」に目を向けた言葉です。
日本語に置き換えるときは、「新進の」「売り出し中の」「これから伸びてきそうな」などが目安です。褒め言葉として使われる場面が中心で、紹介や売り込みの文章によく合う形容詞です。
【ここがポイント!】
- 「up-and-coming」の核は、まだ途中でもこれから上へ伸びていく上り調子の位置づけ
- 名詞の前に置いて、人にも場所にも使える形容詞
- 「今すでに人気」ではなく「これから」に目を向ける言葉だと押さえるのがコツ
『モダンファミリー』S05E19のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
フィルが、売りに出す古いアパートについて語る場面です。物件の持ち主の事情を説明したあと、その部屋がある地区を売り文句のように紹介する一言に、up-and-comingが出てきます。
Phil: I’m helping Gloria sell the old apartment that she and Manny lived in before she met Jay.
(グロリアが、ジェイと出会う前にマニーと住んでた古いアパートを売るのを手伝ってるんだ。)Phil: It’s in an up-and-coming neighborhood with a distinct multicultural bent that’s undergoing an exciting urban renewal.
(これから伸びてきそうな地区でね、多文化の色がはっきりしていて、ワクワクするような再開発の真っただ中なんだ。)Modern Family Season5 Episode19 (A Hard Jay’s Night)
シーン解説と心理考察
フィルは最初の発言で、グロリアがジェイと出会う前にマニーと暮らしていた古いアパートの売却を手伝っていると明かします。グロリアの過去の住まいを、フィルが手伝って売りに出しているという状況の説明にあたる部分です。
続く発言でフィルは、その部屋のある場所を「It’s in an up-and-coming neighborhood」と切り出します。Itは直前に出てきた古いアパートを指していて、部屋そのものではなく、それが建っている地区の将来性を先に押し出しています。物件を紹介するときに、建物の状態より地区の勢いを売りにする流れが、この一言に出ています。
さらにフィルは、地区の説明を長い修飾語でたたみかけます。up-and-comingのあとに続く言葉が次々に連なるため、不動産の広告に並ぶような、少し気取った売り文句の調子になっています。exciting(ワクワクするような)と添えているところにも、フィルの弾んだ話し方がにじみます。
ここでのup-and-comingは、地区の値打ちがこれから上がっていくという見込みを、短く言い表す働きをしています。すでに人気の街ではなく、これから伸びてくる街だと伝えることで、物件の魅力を先取りして見せる言い方です。売る側の立場に立つ人物が使う言葉として、up-and-comingの響きがよく合っています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
up(上へ)とcoming(やって来る)という2つの語を、階段の下から人が上へ上へと登ってくる様子に重ねてみましょう。今はまだ途中の段にいても、上り調子でこちらに近づいてくるので、「これから伸びてくる」という意味につながります。
フィルの場合、階段を登ってくるのは1軒のアパートがある地区そのものです。まだ頂上には着いていないけれど、一段ずつ確実に上がってきているという見立てを、売る側の言葉としてup-and-comingの一語に込めています。
覚えるときは、名詞の前に置く形をセットにするのが近道です。up-and-coming artist、up-and-coming brand、up-and-coming neighborhoodのように、「上り調子の途中にある」と紹介したい名詞を後ろに並べていくと、使える場面が自然に増えていきます。階段を上ってくる姿を思い浮かべながら、身近な「これから伸びそうなもの」を当てはめてみてください。
例文で覚える「up-and-coming」
人にも場所にも使えるup-and-comingを、3つの例文で確認していきましょう。
We moved into an up-and-coming neighborhood, and new cafes keep opening.
(私たちはこれから伸びてきそうな地区に引っ越しました。新しいカフェが次々にオープンしています。)
引っ越し先の街を紹介する場面です。カフェが増えていくという具体的な変化を添えると、上り調子の様子が伝わります。
Our firm is looking to partner with up-and-coming designers.
(当社は、新進のデザイナーとの提携を考えています。)
取引先や候補者に方針を伝えるビジネスの場面です。まだ知名度は高くない人材に目を向けている姿勢を、丁寧な調子で示せます。
A: Who’s that guy on stage?
B: He’s an up-and-coming comedian. Keep an eye on him.
(A:舞台に出てるあの人は誰?)
(B:売り出し中のコメディアンだよ。注目しておいて。)
友人同士でライブを見ている場面です。Keep an eye on himと組み合わせると、これから人気が出る人を勧める軽い会話になります。
あわせて覚えたい関連表現
on the rise
(上り調子の、勢いを増している)
on the riseは、人気や数値が上昇している状態を述べる言い方で、名詞の後ろにも置けます。up-and-comingは主に名詞の前に置き、まだ無名でも将来性のある新顔を形容する点が違います。
promising
(有望な、将来性のある)
promisingは、才能や見通しが良いという評価そのものを述べる形容詞です。up-and-comingは、世に出てくる途中にあるという位置づけに重点があります。
rising star
(新星、期待の星)
rising starは人そのものを指す名詞の言い方です。up-and-comingは形容詞なので、artistやneighborhoodといった後ろの名詞を修飾して使います。
Note|「これから」の言い分け、up-and-coming・on the rise・promising
「これから伸びる」ことを表す英語は1つではなく、何を主役にして述べるかによって使う言葉が変わります。ここでは、up-and-coming、on the rise、promisingの3つを、辞書的な意味の範囲で整理します。
まず、up-and-comingは「位置づけ」を述べる言葉です。まだ頂点にいないが、これから上へ来る途中の新顔だと紹介するときに使います。an up-and-coming artistなら、「新進の芸術家」という紹介になります。次に、on the riseは「上昇している状態」を述べる言葉です。Housing prices are on the rise.のように、数値や人気が現に上がっている様子を、名詞の後ろから述べる形でも使えます。そしてpromisingは「見込みがある」という評価を述べる言葉です。a promising studentは、伸びる見込みがあると評価された学生を指します。
同じ「これから」でも、新顔として紹介したいのか、上昇中だと状況を伝えたいのか、見込みを評価したいのかで、選ぶ言葉が変わります。フィルは物件のある地区を新顔として売り込む立場だったため、位置づけを述べるup-and-comingがよく合っていました。もしフィルが「地価が上がっている」という状況を伝えたいなら、on the riseの出番になります。
言いたいことの中心を決めてから言葉を選ぶと、3つの使い分けが自然に身についていきます。
まとめ|これから伸びる街を、ひと言で売り込む
up-and-comingは、まだ有名でなくても、これから成功や人気を手にしそうな人や場所を形容する表現です。名詞の前に置いて、新進の女優、新進のデザイナー、これから伸びてきている地区のように、将来性を一言で添えられます。
人物の紹介でも、街の紹介でも、ビジネスの提携相手の紹介でも使えるため、「これから」に目を向けた話をするときの引き出しになります。on the riseやpromisingとの違いも押さえておくと、位置づけを述べたいのか、上昇の状態を伝えたいのか、見込みを評価したいのかに合わせて選べます。
古いアパートがある地区を勢いよく売り込んだフィルの一言は、この表現の弾んだ使いどころをよく示していました。身近な「これから伸びそうなもの」を紹介する場面で、表現の引き出しに加えてみてください。


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