海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。『ビッグバン★セオリー』シーズン3第3話「The Gothowitz Deviation」は、ハワードとラージがゴス・クラブへ出向く一方、シェルドンがペニーの行動を心理学の手法で変えようと試みる回です。この回の英語の面白さは、人を動かす方法を科学的に設計する英語と、集団に馴染もうとして試行錯誤する英語が、同じ夜の別々の場所で響くところにあります。10個のフレーズは、ペニーを条件づけようとするシェルドンの理屈と、初対面のゴスガールたちに話を合わせるハワードたちの言葉、両方の場面から選びました。
あらすじ(ネタバレなし)
『ビッグバン★セオリー』S03E03では、夜の街のゴス・クラブに繰り出したハワードとラージをよそに、シェルドンは部屋に居着くペニーを心理学的なテクニックでコントロールしようとします。シェルドンは褒美と罰でペニーの行動を修正しようとし、ハワードとラージは慣れない見た目と話し方でその場をやり過ごそうとします。ここでは結末や核心の展開には触れず、心理学の用語、行動を褒める表現に関わる会話の場面を中心に整理します。この回の英語は、心理学の専門用語をそのまま日常会話に持ち込む言い方と、初対面の相手に話を合わせるための取り繕った言い方が対照的に並ぶのが特徴です。
このエピソードで学べる英語フレーズ
1. catch more flies with honey than with vinegar
酢よりも蜜のほうが多くハエを捕まえられる(=強く出るより、優しく穏やかに接したほうが人を動かせる)。
Leonard: I’m just saying, you can catch more flies with honey than with vinegar.
(ただ言いたいのは、酢より蜜のほうがハエをたくさん捕まえられるってことだよ。)
オートミールにこだわり続けるシェルドンに、レナードは「ペニーへの接し方を考え直したほうがいい」と忠告し、この表現を持ち出します。ことわざの意味は「強く出るより穏やかに接したほうが人を動かせる」ですが、シェルドンはYou can catch even more flies with manure.(肥料ならもっと捕まえられる)と切り返し、比喩の意図をまるごと外してしまいます。
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2. what are the odds
そんな偶然ある?/確率はどれくらい?。
Penny: What are the odds?
(そんな偶然ってある?)
職場の同僚の後任がまた似た名前だったという偶然に驚いたペニーは、素直な感嘆としてこう口にします。what are the oddsは「そんな偶然ある?」という決まり文句ですが、この直後にシェルドンが確率を大真面目に計算し始め、ペニーの素朴な驚きを台無しにしてしまいます。
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3. leave it at that
その辺にしておく/それで終わりにする。
Leonard: It’s an amazing coincidence, can we leave it at that?
(すごい偶然だよね、それでもう終わりにしない?)
シェルドンが名前の偶然を統計的に説明し始めると、レナードは話が長引く前にこう割って入ります。leave it at thatは「その辺にしておく」という意味で、レナードは説明の正しさよりも、会話をこれ以上脱線させないことを優先しています。
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4. what’s the big deal
それの何が問題なの/大したことじゃないでしょ。
Bethany: What’s the big deal, you’ve done this before.
(何がそんなに大変なの、前にもやったことあるでしょ。)
タトゥーの針を見て怖気づいたハワードに、ベサニーは「タトゥーはやったことがあるはずでしょ」という前提でこう問いかけます。what’s the big dealは「それの何が問題なの」という意味で、この時点でハワードのタトゥーは本物ではなく後から外せる袖状のものだったため、ベサニーの疑問がそのままハワードの嘘を追い詰めていく形になります。
5. positive reinforcement
正の強化(望ましい行動を報酬で増やす働きかけ)。
Leonard: You’re using chocolates as positive reinforcement for what you consider correct behaviour.
(きみは、自分が正しいと思う行動に対して、チョコレートを正の強化として使っているんだ。)
ペニーが電話を早めに切り上げてチョコレートを受け取る様子を見たレナードは、シェルドンの意図を見抜いてこう指摘します。positive reinforcementは「望ましい行動を報酬で増やす働きかけ」を指す心理学用語で、レナードはシェルドンが恋人を実験動物のように訓練していることに気づき、遠回しな非難としてこの専門用語をそのまま突きつけています。
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6. in the meantime
その間に。
Sheldon: But in the meantime, I still want oatmeal.
(でもその間も、オートミールは食べたいんだ。)
ペニーとの付き合い方を見直すよう促されたシェルドンは、それはいつか解決するとしながらも、朝食のオートミールへの要求だけは譲りません。in the meantimeは「その間に」という意味で、シェルドンは人間関係の課題を将来へ先送りしつつ、目の前の些細なこだわりだけは即座に主張するという優先順位のねじれを見せています。
7. fit in
(周囲に)なじむ、溶け込む。
Raj: I think we’re fitting in quite nicely.
(僕らはかなりうまくなじめてると思うな。)
ゴス・クラブに乗り込んだラージは、周囲を見回してこう自己評価します。fit inは「周囲になじむ」という意味ですが、直後にハワードから飲み物の選び方まで細かくだめ出しされるとおり、実際にはまったくなじめておらず、本人の自己評価と周りの目のずれが笑いどころになっています。
8. sum up
要約する、まとめる。
Raj: But I was summing up.
(でも僕はまとめようとしてたんだよ。)
タトゥーが偽物だと露見し、ハワードが先に「僕たちは詐欺師だ」と認めてしまった後、ラージも同じことを言おうとしますが、ハワードに「もう言った」と遮られ、こう不満げに言い返します。sum upは「要約する」という意味で、ラージは自分なりに場を締めくくろうとしていた矢先に先を越されたことを、この短い一言で表しています。
9. not that anyone cares
誰も気にしていないけど。
Sarah: Not that anyone cares.
(誰も気にしてないだろうけど。)
自己紹介の場面で名乗った直後、サラはすかさずこう付け加えます。not that anyone caresは「誰も気にしていないけど」という自嘲的な決まり文句で、サラはこの回を通じて何度も同じ調子の一言を口にしており、初対面から一貫して斜に構えた態度を保っています。
10. it turns out
実は、結果的に分かると。
Sheldon: Actually, it turns out I can.
(実は、僕にもできることが分かったんだ。)
「ペニーを訓練するのはやめろ」とレナードに止められたシェルドンは、悪びれもせずこう言い切ります。it turns outは「実は、結果的に分かると」という意味で、シェルドンは禁止された行為の是非ではなく、自分にそれができるという事実だけに焦点を当てて答えており、話がまったくかみ合っていません。
このエピソードの英語学習ポイント
ペニーに対するシェルドンの試みは、心理学の用語を日常の行動へそのまま持ち込むところから始まります。褒める、報酬を渡す、禁止するという行為が、普通の友人関係ではどのように聞こえるかが笑いの中心になります。
ゴス・クラブでは、ハワードとラージが外見や飲み物を使って集団に近づこうとします。自分を大きく見せる説明と、正体が露見した後の短い謝罪を比べると、同じ人物の英語が見栄と本音の間でどう変わるかが分かります。
表現を聞くときは、意味だけでなく、発話が相手を動かすためのものか、自分の立場を守るためのものかを区別します。心理学の専門語と日常の軽口が隣り合うため、語彙の難しさと会話の目的を別々に聞くのが手がかりになります。
10個のフレーズを復習するときは、冒頭のcatch more flies with honey than with vinegarから終盤のit turns outまでを単語の一覧として扱わず、場面の目的がどう移ったかに沿って並べ直します。恋人の行動を実験のように操作しようとする部屋の言葉と、初対面の相手に話を合わせようとする夜の街の言葉は、同じ夜のふたつの場所で対照的に響きます。片方は命令や条件節が多く、もう片方は相づちや自己弁護が多い点を比べると、目的に応じて文の形が変わる様子がつかめます。
キャラクター別|英語の特徴
レナード|相手の気持ちを守りながら言い直す
レナードは、シェルドンの言動をやんわり正そうとするとき、直接指摘せずことわざや比喩に言い換えます。
引用の「Leonard: I’m just saying, you can catch more flies with honey than with vinegar.」は、ペニーへの接し方を改めるようシェルドンを諭す場面のセリフです。I’m just sayingという柔らかい前置きと、直接的な命令を避けたことわざの形が、レナードなりの気遣いを表しています。ただしシェルドンには比喩が通じず、話がそのまま脱線してしまう点も、この場面の可笑しさになっています。
シェルドン|論理を積み上げて相手の行動を変える
シェルドンは、忠告や禁止に対して正面から反論せず、自分の主張を静かに言い切ることで押し通します。
引用の「Sheldon: But in the meantime, I still want oatmeal.」は、ペニーとの関係を見直すよう言われた直後の返事です。Butという逆接で相手の指摘を受け止めた形にしながらも、続く一文で自分の要求だけは変えないと宣言しており、譲歩したように見せて実際には何も譲っていません。
ハワード|冗談を足して距離を測る
ハワードは、慣れない場に飛び込むとき、深刻に構えず軽い調子で自分を鼓舞します。
ゴス・クラブでの振る舞いから分かるように、ハワードは初対面の相手との会話でも冗談を絶やしません。fit inを自信満々に口にするラージの隣で、ハワードはさらに踏み込んだ嘘(本物のタトゥーだという偽装)まで冗談の延長として重ね、後戻りできないところまで話を大きくしています。
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