海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
何か確認したいことがあって、電話一本で遠くの相手にすぐ連絡を取ろうと決めた瞬間は、誰にでもあるのではないでしょうか。
そんな「電話をかけて連絡を取る」を表す「call up」を、『ホワイトカラー』シーズン3第7話の序盤、銀行から巨額の資金が消えたハッキング事件の捜査会議で、ピーターがチームに次々と指示を飛ばす場面から、一緒に見ていきましょう。
「call up」の意味とニュアンス
call up
意味:(電話で)連絡する、電話をかける
call up は「電話をかけて相手を呼び出す」という意味の口語的な句動詞です。call だけでも「電話する」という意味は成り立ちますが、up が加わることで「わざわざ連絡を取る」「相手の注意をこちらに向ける」という積極的なニュアンスが生まれます。
この表現は、上司が部下に電話連絡を指示する場面や、しばらく連絡を取っていなかった相手に思い立って電話をかける場面など、フォーマル・カジュアルの両方で幅広く使われます。call up の後には連絡先の人物や機関の名前がそのまま続くことが多く、「call up + 相手」という形で覚えておくと、様々な場面に応用が利きます。
【ここがポイント!】
- 「call up」の核は、電話を使って相手をこちらに呼び出すという行動
- up の一語が「連絡を取りにいく」積極性を表現に添えている
- call up の後に人物や組織名を続けるだけで指示・依頼の表現になる
『ホワイトカラー』S03E07のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
銀行から1億2500万ドルが盗まれたハッキング事件の捜査会議で、ピーターが技術班と資金追跡班に矢継ぎ早に指示を出しています。資金の逃避先とみられるスイスの口座に触れる場面に注目です。
Peter: Jones, maybe there’s a language in the virus that can point us to the programmer. Diana, call up Zurich. We need access to the Duponte account. That’s it.
(ジョーンズ、そのウイルスの中にプログラマーを特定できる手がかりがあるかもしれない。ダイアナ、チューリヒに電話をかけてくれ。デュポンテの口座にアクセスする必要がある。以上だ。)— So?
(それで?)Peter: I got good news and bad news. We traced the money to a Swiss bank.
(いい知らせと悪い知らせがある。金の足取りをスイスの銀行まで追えた。)— Is that the good news or the bad news?
(それはいい知らせ、それとも悪い知らせ?)Peter: Both. Until we prove something definitively, the account’s untouchable.
(両方だ。何か確定的な証拠を出すまでは、その口座には手を出せない。)White Collar Season3 Episode7 (Taking Account)
シーン解説と心理考察
「ジョーンズ、そのウイルスの中にプログラマーを特定できる手がかりがあるかもしれない」と技術班に指示を出した直後、間髪入れずに「ダイアナ、チューリヒに電話をかけてくれ」と資金追跡の指示に切り替えるピーターの言葉には、複数の部下に同時進行で役割を割り振る手際のよさが表れています。一文ごとに宛先を変えながら要点だけを伝えるテンポの速さが、緊迫した捜査会議の空気をそのまま映し出しています。
続くやり取りでは、被害に遭った側とみられる相手からの「それで?」という短い問いかけに対し、ピーターは「いい知らせと悪い知らせがある」と前置きしてから、口座の所在は突き止めたもののまだ手が出せない状況を淡々と説明します。「いい知らせと悪い知らせ、どちらか」と尋ね返されても、「両方だ」と正直に答える姿勢には、結果を誇張せず事実をそのまま伝えようとする捜査官としての実直さが表れています。
『ホワイトカラー』流・覚え方のコツ
call up を覚えるコツは、電話の受話器を取り上げ、遠くにいる相手の注意をこちらへ「呼び起こす」動作をイメージすることです。up は方向としての「上」ではなく、相手を意識の外から意識の中へ引っ張り出すような、呼びかけの勢いを添える働きをしています。
劇中でも、ピーターが部下に短い言葉で的確に指示を飛ばす場面で使われており、「連絡を取ってすぐに動かす」という実務的な響きとセットで覚えると、記憶に残りやすくなります。電話をかける動作そのものより、相手を巻き込んで物事を前に進める感覚を意識しておくと、とっさの場面でも使いやすくなります。
例文で覚える「call up」
上司の指示から日常の思いつきまで、call up を3つの例文で確認していきましょう。
Could you call up the client and confirm the meeting time?
(取引先に電話をかけて、打ち合わせの時間を確認してもらえますか?)
上司が部下に電話連絡を指示するビジネスの場面です。confirm the meeting time を添えることで、何を確認するための電話かが明確に伝わります。
I should call up my old college roommate one of these days.
(そろそろ大学時代のルームメイトに電話してみようかな。)
しばらく連絡を取っていなかった旧友をふと思い出す日常の場面です。one of these days という言い回しが、まだ具体的な予定はないという軽さを添えています。
A: Did you hear back from the bank about the transaction?
B: Not yet. I’ll call up their support line this afternoon.
(A:銀行から取引の件で連絡あった?)
(B:まだだよ。午後にサポート窓口に電話してみる。)
気になる問い合わせの状況を確認するカジュアルな会話です。support line という具体的な連絡先を添えることで、次の行動がはっきりと伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
give someone a call
(人に電話をかける)
call up とほぼ同じ意味ですが、give someone a call の方がより口語的でカジュアルな響きを持ちます。日常会話での言い換えとしてよく使われる表現です。
get in touch with
(人と連絡を取る)
call up が電話という手段に限定されるのに対し、get in touch with はメールやメッセージなど手段を問わず「連絡を取る」ことを表す、より広い意味を持つ表現です。
ring someone up
(人に電話をかける)
call up とほぼ同義ですが、イギリス英語でよりよく使われる表現です。アメリカ英語の会話では call up の方が一般的に使われます。
Note|電話交換手の時代から続く、call up の「呼び出す」感覚
call up という表現には、電話がまだ自動でつながらなかった時代の名残が感じ取れます。初期の電話網では、利用者は交換手に相手先を伝え、交換手がケーブルを差し替えて回線をつなぎ、その先で「呼び出し音」を鳴らして相手を電話口まで呼び寄せるという手順を踏んでいました。call は「呼ぶ」、up はその呼びかけを「起こす、立ち上がらせる」という感覚を添えており、この2つが組み合わさることで「(交換を通じて)相手を呼び出す」という行為そのものを表す言葉として定着したと考えられます。
自動交換の時代になり、電話をかける動作自体は単純になりましたが、call up という言葉づかいはそのまま生き続けています。ボタンひとつで相手につながる現代でも、この表現には「わざわざ手間をかけて相手を呼び出す」という、どこか手作業めいた響きが残っているのが興味深いところです。
劇中でピーターが「ダイアナ、チューリヒに電話をかけてくれ」と指示を出す場面も、まさにこの「遠くの相手を呼び出して動かす」という call up 本来の感覚がそのまま生きている一例だと言えます。電話一本で海を越えた相手とつながる、その手軽さと重みが同居する瞬間に、この表現はよく似合います。
技術がどれだけ進化しても、誰かに「連絡を取る」という行為の本質は変わりません。call up という一語には、その変わらない部分がそっと刻まれています。
まとめ|電話一本で相手を呼び起こす表現
call up は、電話をかけて相手をこちらへ呼び出す、日常でもビジネスでも使える表現です。up が添える「呼び起こす」積極性を覚えておけば、単なる「電話する」以上のニュアンスがそのまま伝わります。
上司から部下への指示を伝えるときも、ふと思い立って旧友に連絡を取るときも、この一言があれば行動をコンパクトに描写できます。
複数の部下に的確に役割を割り振り、そのまま被害者への正直な報告に切り替えるピーターの姿には、捜査官としての手際のよさと誠実さが同時に表れていると言えます。短いやり取りの中にも、状況を淡々と処理していく落ち着きが感じられる場面です。


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