海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は『ホワイトカラー』シーズン4第12話の終盤から、早期退職を持ちかけられたヒューズが、ピーターやニールに言葉を残す場面を取り上げます。去る側が自分の置かれた事情をどう受け入れ、残る側に何を頼むのか、その両方が短い英語の中に込められています。
選択の余地がなかったことの伝え方から、後を託す一言とその受け止め方まで、順番に見ていきます。
「It wasn’t a choice.」から「walk out with my head up」へ
プラットとの対決のあと、ヒューズは自分の身に起きたことを説明します。
Hughes: An hour later, the Director phoned me and put early retirement on the table.
(その1時間後、長官から電話があって、早期退職を持ちかけられた。)White Collar Season4 Episode12 (Brass Tacks)
put ~ on the table は「〜を交渉の席に出す」、つまり条件や選択肢として提示することです。ただ、ヒューズはこのあと、これが実際には選べる話ではなかったと言い添えます。
Hughes: It wasn’t a choice. A.G. made it clear. My pension was at risk if I didn’t cooperate.
(選択の余地などなかった。司法長官ははっきり示した。協力しなければ、私の年金が危うかったんだ。)White Collar Season4 Episode12 (Brass Tacks)
It wasn’t a choice. は、短い否定文で「選んだわけではない」と言い切る形です。at risk は「危険にさらされて」で、後ろに if 節を置くと、どんな条件で失うおそれがあったのかを添えられます。A.G. は Attorney General(司法長官)の略です。
引き止めようとする言葉が出ても、ヒューズは受け入れる理由をこう語ります。
Hughes: It’s the best offer I’m gonna get. And I can walk out with my head up.
(これが私の望める一番の条件だ。それに、胸を張って去ることができる。)White Collar Season4 Episode12 (Brass Tacks)
the best offer I’m gonna get は、offer の後ろに関係代名詞が省かれた形で、「自分が受けられる中で最良の申し出」を指します。これ以上は望めないと認めつつ、不満を並べない言い方です。
walk out は「出て行く・去る」、with my head up は「頭を上げたまま」で、合わせると「うつむかずに、誇りを保って去る」という意味です。反対に、恥じ入る様子は hang one’s head(うなだれる)で表されます。同じ head を使って、去り方の違いを言い分けられるのが面白いところです。
責任を引き取り、「Take care of ~」で後を託す
事態を招いたのは自分だと言うピーターに、ヒューズは責任の所在をはっきりさせます。
Peter: Reese, I did this.
(リース、俺のせいだ。)
Hughes: This isn’t about you, Peter. I signed off on the op. I knew the risks.
(君のせいではないよ、ピーター。作戦を承認したのは私だ。危険は承知していた。)White Collar Season4 Episode12 (Brass Tacks)
I did this. は「これは自分がやったことだ」、つまり「俺のせいだ」と自分を責める一言です。ヒューズは sign off on ~(〜を正式に承認する)と knew the risks(危険を承知していた)を重ね、作戦の責任は承認した自分にあると引き取っています。sign off on の使い方は、本話のフレーズ記事でも詳しく扱っています。
ヒューズはチームへの言葉を残したあと、ニールにも声をかけます。
Hughes: No one could ever ask for a better team than I found in you.
(ここで出会った以上のチームなど、誰にも望めないだろう。)White Collar Season4 Episode12 (Brass Tacks)
Hughes: Take care of Peter.
(ピーターを頼む。)
Neal: I will.
(そうするよ。)White Collar Season4 Episode12 (Brass Tacks)
No one could ever ask for a better ~ は「これ以上の〜は誰も望めない」で、比較級を使って最上の賛辞を伝える形です。Take care of ~ は「〜の面倒を見る」で、去る側が使うと後を託す頼みになります。I will. は I will take care of him. の後半を省いた引き受けの返事です。
去る側が頼み、残る側が I will. で応じる型は、同じ回の別の場面にも見られます。事故のあと、エリザベスに頼まれて席を外すダイアナの言葉です。
Diana: Um, I’ll take these back to the office. Keep me posted, okay?
(ええと、これは私がオフィスに持ち帰る。何か分かったら知らせてね。)
Elizabeth: I will.
(ええ。)White Collar Season4 Episode12 (Brass Tacks)
Keep me posted. は「進展があったら知らせて」という決まった頼み方で、ここでも短い I will. が引き受けの合図になっています。
まとめ|去り際の受け入れと後を託す言葉
It wasn’t a choice. で事情を伝え、walk out with my head up で誇りを保った去り方を語り、Take care of ~ と I will. で後を託して引き受ける流れを見てきました。短い言葉ほど、去り際の重みを運ぶことが分かります。
ヒューズの去り際を見届けながら、『ホワイトカラー』の会話を味わっていきましょう。
この回のほかの場面の英語は、別のコラムやフレーズ記事で扱っています。


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