海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
シットコム『ヤングシェルドン』シーズン1第4話では、シェルドンと高校の友人タムが、コミックをめぐって何度か言葉を交わします。前の場面で言い切ったことが、あとの場面で本人に返ってくるのがこの回の面白いところです。
理由を聞かれたとき、矛盾を突かれたとき、言い返されたときに、英語ではどう受け流すのか。昼食の席から始まる三つの場面を、順に見ていきます。
「It’s complicated.」で理由をはぐらかす
昼食の席で、シェルドンはタムが座っている場所を自分の席だと言います。
Sheldon: You’re sitting in my spot.
(そこ、僕の席だよ。)Tam: Why is it your spot?
(なんで君の席なんだよ?)Sheldon: It’s complicated. Just move.
(複雑なんだ。とにかくどいて。)Young Sheldon Season1 Episode4(A Therapist, a Comic Book, and a Breakfast Sausage)
It’s complicated. は「事情が込み入っている」と言って、理由の説明を避けるときの決まり文句です。続く Just move. のように Just + 命令文 を重ねると、「いいから〜して」と話を打ち切る響きになります。Why is it your spot? という素朴な問いに、シェルドンは理由を一つも示さずに要求だけを重ねているわけです。
続けてシェルドンは、タムが読んでいるコミックに話題を移します。
Sheldon: You’re reading a comic book.
(コミックを読んでるんだね。)Tam: I am.
(読んでるよ。)Sheldon: You do understand those are for children.
(それが子ども向けだって、ちゃんと分かってるよね。)Tam: Have you ever read one?
(読んだことあるの?)Sheldon: I outgrew picture books when I was three.
(絵本は3歳で卒業したよ。)Tam: Just eat your lunch.
(いいから昼ごはん食べなよ。)Young Sheldon Season1 Episode4(A Therapist, a Comic Book, and a Breakfast Sausage)
You do understand ~ は、動詞の前に do を置いて「ちゃんと分かっているよね」と念を押す形です。I outgrew ~ は「〜を卒業した」「〜から成長して離れた」という意味で、シェルドンはコミックを絵本と同じ扱いにしています。最後はタムが Just eat your lunch. と返し、今度はタムの側が同じ Just + 命令文で話を打ち切りました。
- A: Why do you always sit by the window?
(どうしていつも窓際に座るの?) - B: It’s complicated. Just trust me.
(話せば長いんだ。とにかく信じて。)
「I thought you said ~」に返す「I’m a complicated young man.」
場面が変わり、シェルドンはタムと顔を合わせます。タムはすぐに、昼食の席での言葉を持ち出しました。
Tam: What are you doing here?
(ここで何してるの?)Sheldon: Oh, hello, Tam.
(ああ、こんにちは、タム。)Tam: I thought you said comic books are for children.
(コミックは子ども向けだって言ってなかった?)Sheldon: I’m a complicated young man.
(僕は複雑な若者なんだよ。)Young Sheldon Season1 Episode4(A Therapist, a Comic Book, and a Breakfast Sausage)
I thought you said ~ は「〜と言っていたと思ったけど」と、相手の前言を持ち出して食い違いを指摘する言い方です。thought を過去形にすることで、「そう聞いていたのに、今の様子は違うよね」という含みが生まれます。責める調子にも、軽くからかう調子にもなる形で、どちらに聞こえるかは言い方と場面しだいです。
シェルドンの返事 I’m a complicated young man. は、昼食の席で使った complicated を今度は自分自身に向けたものです。前の場面では事情を、この場面では自分という人間を「複雑」と言い表し、矛盾の説明を同じ一語で済ませています。What are you doing here? に対して、直接は答えずに Oh, hello と返している点も、話をそらす流れの一部と読み取れます。young man は「若者」を表す言い方で、9歳の本人が使うと少し大人びた響きになり、そこにこの返事のおかしみがあります。
- A: I thought you said you didn’t like scary movies.
(怖い映画は苦手って言ってなかった?) - B: Well, I’m a complicated person.
(まあ、僕は複雑な人間なんだよ。)
言い返されて「You challenge me. I like that.」
さらに別の場面では、コミックを読んでいるシェルドンが、タムに苦手な点を打ち明けます。
Sheldon: I’m enjoying this, but I’m having trouble with the onomatopoeia.
(楽しんではいるけど、オノマトペに手こずってるんだ。)Tam: The what?
(何それ?)Sheldon: The onomatopoeia. Words that imitate sounds.
(オノマトペだよ。音をまねた言葉のこと。)Young Sheldon Season1 Episode4(A Therapist, a Comic Book, and a Breakfast Sausage)
I’m having trouble with ~ は「〜に手こずっている」と苦手を認める言い方です。タムの The what? は、聞き取れなかった語の部分だけを what に置き換えた聞き返しで、「その何?」という感覚になります。
擬音語の例がいくつか挙がったあと、シェルドンは作り言葉への不満を口にしました。
Sheldon: Writers shouldn’t make up words.
(作家が言葉をでっち上げるべきじゃない。)Tam: Somebody made up “onomatopoeia.”
(「オノマトペ」だって誰かが作った言葉だろ。)Sheldon: You challenge me. I like that.
(君は僕に挑んでくるね。そういうの、好きだよ。)Young Sheldon Season1 Episode4(A Therapist, a Comic Book, and a Breakfast Sausage)
make up は「(言葉や話を)作り出す」という句動詞で、shouldn’t と組み合わせると「〜すべきではない」という意見になります。タムはシェルドンの言葉をそのまま使い、onomatopoeia という語も誰かが作ったものだと返しました。ここでもシェルドンは前言を引っ込めず、You challenge me. I like that. と、言い返されたこと自体を受け止める返事をしています。
challenge は「挑む」「異議を唱える」という意味の動詞で、ここでは相手が自分の考えに疑問をぶつけてくることを指しています。日本語の「チャレンジ」とは使い方が違い、人を目的語にとって「〜に異を唱える」となる点に注意が必要です。
- A: Actually, I don’t think that’s true.
(実は、それは違うと思うな。) - B: You challenge me. I like that.
(言い返してくるね。そういうの、好きだよ。)
まとめ|「complicated」で受け流す会話の型
理由を避ける It’s complicated.、前言を持ち出す I thought you said ~、言い返されたときの You challenge me. I like that.。タムとの三つの場面を並べると、食い違いを突かれたときの受け流し方が一続きで見えてきます。
コミックをめぐる二人のやり取りを観ながら、英語の切り返しを味わってみてください。


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