海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
シットコム『ヤングシェルドン』シーズン1第11話には、一家のもとを訪れたジェフ牧師を、家族がそれぞれどう呼ぶかをめぐる短いやり取りがあります。名前で呼んでほしいと頼む牧師に対し、肩書きで通すと言ったあとで、別の呼び方を思いつく人もいます。同じ相手でも、呼ぶ人によって言葉が変わります。
呼び方の希望を伝える言い方と、それを受け入れたり受け流したりする言い方を、会話の順にたどります。
「Please, call me ~.」で呼び方を伝える
一家と過ごすジェフ牧師に、父ジョージが肩書きで呼びかけて近況を尋ねます。
George Sr.: So, Pastor… How’s things going at the church?
(で、牧師さん……教会のほうはどうだい?)Pastor Jeff: Please, call me Jeff.
(どうか、ジェフと呼んでください。)Young Sheldon Season1 Episode11(Demons, Sunday School, and Prime Numbers)
ジョージの So, Pastor… は、名前を付けずに肩書きだけで相手を呼ぶ形です。続く How’s things going? は「調子はどう?」と近況を尋ねる言い方で、How are things going? を崩した、くだけた話し言葉の形になっています。
これに対して牧師は、まず Please, call me Jeff. と返しました。call +人+名前 で「〜を…と呼ぶ」という形になり、me を目的語にすると「私のことは〜と呼んで」という希望の言い方になります。Please を前に置くことで、指示ではなく、丁寧なお願いとして伝わります。
肩書きで呼ばれたときに、もっと気軽な呼び方を自分から申し出る。初対面や改まった場面で距離を縮めたいときに使える、短くて分かりやすい一言です。
- A: Nice to meet you, Mr. Tanaka.
(はじめまして、田中さん。) - B: Please, call me Ken.
(どうか、ケンと呼んでください。)
「stick with」で自分の呼び方を通す
牧師の希望を聞いたあと、ミーモーは自分の呼び方をはっきり宣言します。
Meemaw: I’m-I’m gonna stick with Pastor.
(私は……私は「牧師さん」で通させてもらうわ。)Pastor Jeff: Sure.
(もちろんです。)Meemaw: Thank you, Pastor. Yeah, that feels better.
(ありがとう、牧師さん。うん、このほうがしっくりくる。)Young Sheldon Season1 Episode11(Demons, Sunday School, and Prime Numbers)
stick with ~ は「〜のままでいく、〜を変えずに続ける」という意味です。stick には「くっつく」という意味があり、ほかの選択肢に移らず、今のものから離れない感覚が込められています。gonna は going to のくだけた形で、I’m を重ねているのは言いよどみです。ここでの Pastor は名前を付けない肩書きだけの呼び方で、ジョージの最初の呼びかけと同じ形です。
牧師の Sure. は、相手の選んだ呼び方をそのまま受け入れる短い返事です。自分の希望を伝えたうえで、相手の選択にこだわらない対応が読み取れます。受け入れる返事としては、Of course. や No problem. なども同じ働きをします。
ミーモーはさっそく Thank you, Pastor. と肩書きで呼び、that feels better と続けました。feel better は「気分がよくなる」のほか、ここでは「このほうがしっくりくる」という意味で、that は肩書きで呼ぶことを指します。
- A: Do you want to try the new coffee?
(新しいコーヒー、試してみる?) - B: No, I’ll stick with tea.
(ううん、紅茶のままにしておく。)
「He prefers ~」と「go with」で呼び方が揺れる
同じ場で、母メアリーが肩書きと名前を合わせた呼び方で礼を言うと、話はもう一度呼び方に戻ります。
Mary: So nice of you to come over, Pastor Jeff.
(来てくださってうれしいです、ジェフ牧師。)George Sr.: He prefers Jeff.
(ジェフって呼ばれたいんだとさ。)Meemaw: I’m sticking with Pastor. Wait, I changed my mind. I’m going with PJ.
(私は「牧師さん」で通すわ。待って、気が変わった。「PJ」にする。)Pastor Jeff: Brings to mind pajamas, but that’s fine, too.
(パジャマを思い出しますが、それもいいですね。)Young Sheldon Season1 Episode11(Demons, Sunday School, and Prime Numbers)
メアリーの So nice of you to come over は、It’s を省いた「来てくれてありがとう」にあたる言い方です。ジョージの He prefers Jeff. は、本人に代わって呼び方の希望を伝える形で、prefer +名前で「〜のほうを好む」となります。メアリーの Pastor Jeff は肩書きと名前を組み合わせた呼び方で、名前だけの Jeff とも肩書きだけの Pastor とも違う、その中間にあたる形です。
ミーモーは stick with をもう一度口にしたあと、Wait, I changed my mind. と言い直し、I’m going with PJ. と別の呼び方を選びました。go with ~ は「〜にする」と選択を決める言い方で、stick with が「変えずに続ける」のに対し、こちらは「新しく選ぶ」側の表現です。
牧師の返事は、It を省いた Brings to mind ~ で「〜を思い出させる」と連想を口にし、that’s fine, too と受け入れる形になっています。呼び方が二転三転しても、軽く受け止める会話の流れが見どころです。
- A: Which one do you want?
(どっちにする?) - B: I’ll go with the blue one.
(青いほうにするよ。)
| 表現 | 場面での働き |
|---|---|
| Please, call me ~. | 自分の呼び方の希望を伝える |
| He prefers ~. | 本人に代わって希望を伝える |
| stick with ~ | 今の呼び方を変えずに通す |
| go with ~ | 別の呼び方を新しく選ぶ |
| that’s fine, too | 相手の選択を受け入れる |
まとめ|呼び方を頼む言葉、受け流す言葉
Please, call me ~. で希望を伝え、He prefers ~. で代わりに伝える。stick with で今の呼び方を通し、go with で選び直し、Sure. や that’s fine, too で受け止めます。呼び方ひとつで、人それぞれの距離の取り方が見えてくる場面です。
家族の軽いやり取りに耳を傾けながら、次の回の英語もたどっていきましょう。
同じ回のフレーズ記事では、別の場面の表現を扱っています。


コメント