謝るのは誰が先?「bad precedent」の英語|『ヤングシェルドン』S01E12で学ぶ英会話

『Young Sheldon』コラム: 謝るのは誰が先?「bad precedent」の英語|『ヤングシェルドン』S01E12で学ぶ英会話

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

シットコム『ヤングシェルドン』シーズン1第12話は、お金をめぐる言い合いのあと、母メアリーがシェルドンとミッシーを連れて祖母ミーモーの家に泊まる回です。離れて過ごす両親のまわりで、謝るかどうかが話題になります。

けんかの大きさを言い表す語、謝らない理由として持ち出される precedent、本心からでない謝罪をめぐる mean の使い方を、場面ごとに見ていきます。

目次

「a little spat」か「a long time coming」か

ミーモーの家で、メアリーは今回の言い合いを大きな出来事として語ります。ミーモーはそれを、軽くいなします。

Mary: Sorry the end of my marriage is inconveniencing you.
(私の結婚が終わるせいで迷惑かけてごめんなさいね。)

Meemaw: Oh, don’t be so dramatic. It’s a little spat.
(もう、大げさだね。ちょっとした口げんかじゃないか。)

Mary: No, this was a long time coming. This goes to the very core of our relationship.
(いいえ、これはずっと前から起こるべくして起きたの。私たちの関係の根っこに関わることなのよ。)

Meemaw: I see we’re sticking with dramatic.
(どうやら大げさなままでいくんだね。)

Young Sheldon Season1 Episode12(A Computer, a Plastic Pony, and a Case of Beer)

spat は「ちょっとした口げんか」を指す語で、a little を添えるとさらに小さな出来事として扱う響きになります。ミーモーは don’t be so dramatic(大げさに言わないで)と前置きして、メアリーの言い方をたしなめています。

これに対してメアリーの a long time coming は、「ずっと前から起こるべくして起きた」という意味です。さらに go to the very core of ~(〜の核心に関わる)と続けて、ささいな言い合いではないと言い返しました。

ミーモーの I see we’re sticking with dramatic. は、stick with ~(〜のままでいく)を使った皮肉です。メアリーの最初の言葉も、深刻さを強調するための大げさな言い方として受け止められています。けんかを小さく言うか大きく言うかで、2人の見方の違いがはっきり出る場面です。

  • A: Are you two still not talking?
    (2人はまだ口をきいてないの?)
  • B: Don’t be so dramatic. It was just a little spat.
    (大げさだな。ちょっとした口げんかだよ。)

「set a bad precedent」は謝らない理由

母のいない家では、朝食の場面で兄ジョージーが父ジョージに謝りに行くよう勧めます。

Georgie: Maybe you should go across the street and apologize.
(通りの向こうに行って謝ったほうがいいんじゃない?)

George Sr.: I can’t do that.
(それはできない。)

Georgie: Why not?
(なんで?)

George Sr.: ‘Cause if I do, it sets a bad precedent.
(謝ったら、悪い前例を作っちまうからだ。)

Young Sheldon Season1 Episode12(A Computer, a Plastic Pony, and a Case of Beer)

precedent は「前例」で、set a bad precedent は「悪い前例を作る」という意味です。一度謝れば、次からも自分が折れる流れができてしまう、という理屈で断っています。Maybe you should ~ は「〜したほうがいいんじゃない?」とやわらかく勧める形です。

ジョージーの勧めには、母が身を寄せている家が通りの向かいにあることも表れています。go across the street は「通りを渡って向こうへ行く」で、謝りに行く先がすぐそこにあるのに、ジョージはその一歩を前例を理由に拒んでいます。

ミーモーの家でも、メアリーが自分から謝るべきかを尋ねます。そこで返ってきたのは、同じ precedent を使った答えでした。

Mary: You think I should apologize to George?
(私からジョージに謝るべきだと思う?)

Meemaw: Well, of course not. That would set a terrible precedent. I think you should go back over there to pick up some clothes for the kids and be all cold and distant, so he has to apologize to you.
(まさか、そんなわけないよ。それこそひどい前例になる。子どもたちの服を取りに向こうへ戻って、思いきり冷たくよそよそしくしてやりな。そうすりゃ向こうが謝るしかなくなる。)

Mary: Oh, that’s not bad.
(あら、悪くないわね。)

Young Sheldon Season1 Episode12(A Computer, a Plastic Pony, and a Case of Beer)

ジョージは自分が謝らない理由として、ミーモーはメアリーに謝らないよう勧める理由として、別々の場所で同じ precedent を持ち出しています。ミーモーは bad ではなく terrible を使い、前例の悪さをさらに強めました。be all cold and distant の all は「すっかり、思いきり」と強める語で、態度で相手に謝らせようという作戦です。

  • A: Should I let him skip practice just this once?
    (今回だけ練習を休ませてもいいかな?)
  • B: I wouldn’t. It might set a bad precedent.
    (やめておいたら。悪い前例になるかもしれないよ。)

「You don’t have to mean it.」と mean の使い方

別の場面で、ジョージーは父にもう一度、謝りに行くよう勧めます。

Georgie: Go across the street and apologize to Mom.
(通りの向こうに行って、母さんに謝りなよ。)

George Sr.: I got nothin’ to apologize for.
(俺には謝ることなんか何もない。)

Georgie: You don’t have to mean it. I never do.
(本気じゃなくていいんだよ。俺なんか本気で謝ったことないし。)

George Sr.: Georgie, just mind your business.
(ジョージー、お前は口を出すな。)

Georgie: Okay, sorry. I didn’t mean that. See how easy it is?
(わかった、ごめん。今のは本気じゃないけどね。ほら、簡単だろ?)

Young Sheldon Season1 Episode12(A Computer, a Plastic Pony, and a Case of Beer)

nothing to apologize for は「謝ることは何もない」という言い方で、作中では got nothin’ とくだけた形で出てきます。ジョージーの You don’t have to mean it. は「本気で言わなくていい」という意味で、mean はここでは「本心から言う」を表します。

続く I never do. は、自分は本気で謝ったことがないと言う軽口です。父にたしなめられたジョージーは Okay, sorry. と謝り、すぐに I didn’t mean that. と取り消してみせました。謝罪を実演して「ほら、簡単だろ?」と見せる流れに、この場面の笑いがあります。

ジョージの mind your business は「自分のことだけ気にしていろ」という意味で、口出しをやめさせる言い方です。また、この場面では apologize の後ろの前置詞にも違いが見えます。謝る相手は apologize to Mom のように to で、謝る理由は apologize for ~ のように for で示します。

  • A: You should apologize to her for being late.
    (遅れたことを彼女に謝ったほうがいいよ。)
  • B: I already did, and I meant it.
    (もう謝ったし、本気で謝ったよ。)
表現 意味
a little spat ちょっとした口げんか
a long time coming 起こるべくして起きた
set a bad precedent 悪い前例を作る
nothing to apologize for 謝ることは何もない
You don’t have to mean it. 本気で言わなくていい

まとめ|謝罪をめぐる意地と本音

a little spat と a long time coming でけんかの大きさを言い表し、set a bad precedent で謝らない理由を語る。You don’t have to mean it. のように、謝罪の本気度を mean で表す言い方もこの回の見どころです。

『ヤングシェルドン』の家族の会話を観ながら、英語表現を一緒に拾っていきましょう。



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