「look the other way」の意味と使い方|『BONES』S01E03で学ぶ英会話

「look the other way」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

「見なかったことにする」——この日本語には、見えていたという事実がしっかり残っています。見落としたのではなく、見たうえで、なかったことにする。英語にも、まったく同じ構造を持つ表現があります。

それが「look the other way」、見て見ぬふりをするという表現です。『BONES』シーズン1第3話から、ブースが地元の保安官に取引の構造を突きつける場面をもとに、一緒に見ていきましょう。

目次

「look the other way」の意味とニュアンス

look the other way
意味:見て見ぬふりをする、黙認する

直訳すれば「別の方を見る」。不正や問題に気づいていながら、意図的に視線を逸らして関与しないことを指します。

この表現を理解する鍵は、the という定冠詞にあります。look away なら「目を逸らす」で終わりますが、the other way は「もう一方」。見るべき方向がそこにあると知ったうえで、あえて反対側を選んでいることになります。つまりこの表現は、単なる見落としではありません。気づいているという前提が、the の一語に畳み込まれています。

そのため、この表現には常に責任の匂いがつきまといます。権力者が不正を黙認する、上司が違反を見逃す、身内の過ちに目をつぶる——描かれるのは、見る義務があった人が見なかった場面です。

For years, everyone looked the other way.(何年も、誰もが見ないふりをしてきた)のように主語を広げると、組織ぐるみの黙認を告発する響きになります。報道やドキュメンタリーで頻繁に登場する用法です。

【ここがポイント!】

  • 「見えなかった」ではなく「見なかった」——選択としての無視を指す一言
  • the other way の the が「気づいている」ことを暗に示している
  • 見る義務があった人に使うと、責任を問う響きが強く出るのがポイント

『BONES』S01E03のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

名門私立校で見つかった証拠のテープ。地元の保安官ロウチは、それを大したことではないと片づけようとします。ブースは、学校と保安官のあいだにある取引の構造を、初めて相手の面前に置きます。

Sheriff Roach: Kids having sex. There’s no law against that.
(子供がそういうことをしてるだけだ。法に触れることじゃない)

Booth: I’m thinking Hanover Prep gets you elected and you look the other way when you see these tapes.
(ハノーバー・プレップがあんたを当選させて、あんたはこのテープを見ても見ないふりをする——そういう筋書きだと思ってる)

Sheriff Roach: Let’s hope that’s the worse thing that we find.
(それが見つかる中で一番マシなことだといいがな)

Bones Season1 Episode3(A Boy in the Tree)

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シーン解説と心理考察

ブースの一文は、二つの動詞を等号で結ぶ形になっています。gets you elected(あんたを当選させる)と look the other way(見ないふりをする)。便宜と黙認が交換されているという構造を、一息で描いてみせます。

注目したいのは、彼が誰も名指ししていないことです。賄賂とも、不正とも言っていません。ただ二つの出来事を並べただけ。それでも、並べられた瞬間に取引の輪郭が浮かび上がります。名指しを避けたまま核心に触れる、この言い方の切れ味がこの場面を支えています。

I’m thinking(〜だと思ってる)という前置きも効いています。断定ではなく推測の形を取ることで、相手に否定の余地を残す。けれど残された余地は、否定しなければならないという圧力にもなります。

ロウチの返しは、その圧力を正面から受けずに横へ流すものでした。認めも否定もせず、この先もっと悪いものが出てくるかもしれないと示唆する。取引の存在を認めないまま、事件の底の深さだけを匂わせる応答になっています。

『BONES』流・覚え方のコツ

目の前で何かが起きている。見えていないわけではありません。ただ、首をゆっくり横に向ける——それだけの動作です。

大事なのは、その首がどちらを向くかです。away(離れた方)ではなく、the other way(もう一方)。見るべきものがどこにあるかを知っているからこそ、「もう一方」という言い方が成り立ちます。知らなければ、反対側という概念すら生まれません。

このシーンのロウチは、テープの中身を知らないのではありません。知ったうえで首を向けない。「見えなかった」と「見なかった」の差が、the という一語に収まっています。

首を横に向ける動作と、the other way の the。この二つをセットで覚えておくと、単なる見落としとの違いが自然に区別できます。

このエピソードの他のフレーズ

例文で覚える「look the other way」

責任を問う響きを持つ表現です。3つの場面で見ていきましょう。

The manager looked the other way when staff clocked out early.
(店長はスタッフの早上がりを見て見ぬふりした)
職場の暗黙の慣行を語る場面です。過去形で淡々と描写すると、かえって黙認の常態化が伝わります。

For years, everyone looked the other way.
(何年も、誰もが見ないふりをしてきた)
組織的な黙認を告発する一文です。主語を everyone まで広げることで、誰か一人の責任ではなく構造の問題として提示できます。

A: Can’t you just look the other way this once?
B: Are you asking me to break the rules for you?
(A:今回だけ、見逃してもらえませんか?)
(B:私にルールを破れと言ってるのか?)
黙認を求める側と、それを拒む側の会話です。just と this once を添えると懇願の色が出ますが、Bの切り返しがその要求の中身を明るみに出しています。

あわせて覚えたい関連表現

turn a blind eye
(見て見ぬふりをする)
ほぼ同義ですが、より慣用句としての色が濃い表現です。to 〜 を伴う形が定型で、turn a blind eye to the problem のように使います。look the other way の方が口語的で、日常寄りの響きになります。

sweep under the rug
(隠蔽する、なかったことにする)
見ないだけでなく、能動的に隠す行為を指します。look the other way が何もしないことなのに対し、こちらは手を動かしている点が決定的に違います。

let it slide
(大目に見る、見逃す)
軽微な過ちを許す場面で使う表現です。深刻さが低く、寛容のニュアンスが前に出るため、不正の黙認に使うには軽すぎます。

Note|「見て見ぬふり」を四つに言い分ける英語

日本語の「見て見ぬふり」は、それ一語でだいたい用が足ります。英語はここを、少なくとも四つに切り分けています。

並べる軸を一つ決めると、その全体像が見えてきます。関与の度合いです。

最も何もしていないのが look the other way。首を横に向けるだけで、体は動きません。turn a blind eye も同じ位置に立ちますが、こちらは片目をつぶるという身体の絵を持っており、その分だけ意図が濃く出ます。どちらも、行為としてはゼロです。

sweep under the rug で、線を越えます。絨毯をめくり、その下に押し込む。見ないのではなく、見えなくする。ゼロだったはずの行為が、ここで初めてプラスに転じます。

let it slide は、軸の別の端にあります。slide(滑らせる)が示すのは、通り過ぎるに任せること。責める調子が抜け、寛容の色が差します。友人の遅刻なら let it slide ですが、汚職を let it slide とは言いにくい。

つまり四つは、何もしない・意図的に何もしない・隠す・許す、という順に並びます。同じ「見ない」を、責任の重さで四段階に刻んでいることになります。

日本語がひとまとめにしているところを、英語は語彙で分けている。どちらが優れているという話ではなく、何を言葉にする必要があると考えてきたかの差なのかもしれません。ロウチがどの段階にいたのかは、ブースが look the other way を選んだ時点で、すでに示されています。

まとめ|首がどちらを向いたか

look the other way は、気づいていながら意図的に視線を逸らすことを指す表現です。the other way の the が「見るべき方向を知っている」ことを示しており、単なる見落としとは区別されます。

この一言が使えるようになると、黙認という行為を英語で正確に名指しできるようになります。責める側にも、責められる側にも立てる言葉です。

ブースが保安官に突きつけたのは、テープの中身ではなく、その首がどちらを向いたのかという問いでした。そんな場面に出会ったときのために、表現の引き出しに加えてみてください。

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