海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
なかなか口を割ってくれない相手に、「ちゃんとお礼はするから」とそれとなく条件を匂わせて協力を引き出そうとした経験はありませんか。
そんな駆け引きの場面にぴったりのmake it worth your whileを、『ホワイトカラー』シーズン1第13話、行方を追う音楽箱の在りかを教えようとしないアレックスに、ニールが交換条件を持ちかける場面から、一緒に見ていきましょう。
「make it worth your while」の意味とニュアンス
make it worth your while
意味:(その人にとって)十分な見返りがあるようにする、それだけの価値があるようにする
whileは「〜する間」という接続詞のイメージが強い単語ですが、名詞としては「(ひとまとまりの)時間」を意味します。worth your whileは直訳すると「あなたの時間に見合うだけの価値」となり、この表現は相手が割いてくれる時間や労力に対して、話し手が対価(worth)を用意するというのが文字通りの構造です。転じて、頼み事や交渉の場面で「協力してくれたら、それに見合うだけの見返りを用意する」という約束・説得のニュアンスで使われます。見返りの中身は金銭とは限らず、便宜や信頼、将来的なメリットなど幅広く指すことができます。ビジネスの交渉はもちろん、日常会話でも「頼みを聞いてくれたら埋め合わせするから」といった軽いニュアンスで使われることがあり、相手に行動を促すための一言としてよく登場します。似た表現にit’s worth itがありますが、こちらは物事や経験そのものの価値を評価する言い方で、話し手が相手のために価値を作り出すという能動的な響きはありません。
【ここがポイント!】
- 「相手の時間や労力(while)に見合う価値(worth)を用意する」が核
- 金銭に限らず、便宜や信頼など見返りの中身は幅広い
- 押しつけがましくならない軽い口調で添えるのがコツ
『ホワイトカラー』S01E13のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
長年追いかけてきた音楽箱の行方を確かめようと、ニールは裏社会に顔が利く旧知の女性アレックスを訪ねます。ニールがFBIの協力者である限り在りかは教えないと突っぱねるアレックスに対し、ニールはあくまで軽い調子で交換条件を持ちかけます。
Alex: What do you want, Neal?
(用件は何?ニール。)Neal: I want the music box.
(音楽箱が欲しいんだ。)Alex: I think you have a memory problem. I said that as long as you’re a fed, I’m not telling you where it is.
(記憶が飛んでるんじゃない?あなたがFBIの手先でいる限り、在りかは教えないって言ったはずよ。)Neal: I’ll make it worth your while.
(ちゃんとお礼はするよ。)White Collar Season1 Episode13 (Front Man)
シーン解説と心理考察
在りかを教えることを拒むアレックスに対して、ニールが選ぶのは威圧ではなく駆け引きです。「ちゃんとお礼はするよ」という短い一言には、FBIの協力者だからと突っぱねる相手の態度をやわらげながら、それでも音楽箱を手に入れようとする計算がにじみます。旧知の間柄であっても情報を明かさないアレックスに対して、力づくで迫るのではなく見返りを提示して態度を変えさせようとするところに、詐欺師として培ってきた交渉の呼吸が表れています。声のトーンを抑えたまま条件を差し出す姿には、押し引きに慣れた余裕も見え隠れします。アレックスの側も、突き放す態度を崩さないまでも、ニールの申し出にどう応じるか探る様子が伝わってきます。緊張感のある場面でありながら、旧知の二人のやり取りにはどこか軽妙な駆け引きの空気が漂う一幕です。
『ホワイトカラー』流・覚え方のコツ
make it worth your whileを覚えるときは、天秤の片方に相手の「時間や労力」、もう片方に自分が用意する「見返り」を乗せ、両方が釣り合うように調整していく場面をイメージしてみましょう。ニールがアレックスに持ちかけた一言も、FBIの協力者だからと拒む相手の警戒という重りに見合うだけの見返りを、言葉ひとつでそっと積み足す駆け引きでした。この釣り合いのイメージを持っておくと、頼み事をするときに「ただお願いする」のではなく「相手にとっての価値も用意する」という発想が自然と結びついてきます。
例文で覚える「make it worth your while」
make it worth your whileは、頼み事や交渉の場面で相手の協力を引き出したいときに使えます。3つの例文で、その使い方を見ていきましょう。
If you help me move this weekend, I’ll make it worth your while.
(今週末の引っ越し、手伝ってくれたらちゃんとお礼するから。)
友人に力仕事を頼むようなカジュアルな場面で使われる言い方です。見返りの中身を言わなくても、感謝の気持ちを込めた約束として伝わります。
We’d like you to consult on this project, and we’ll make it worth your while.
(このプロジェクトのコンサルをお願いしたいのですが、それに見合う報酬はご用意します。)
ビジネスの交渉場面で使われる、やや丁寧な言い回しです。金銭的な条件を明言せずに交渉の余地を残せる表現です。
A: I know something about the missing files, but I’m not saying anything.
B: Come on, I’ll make it worth your while.
(A:行方不明のファイルについて知ってることはあるけど、何も話さないよ。)
(B:頼むよ、ちゃんとお礼はするから。)
情報を渋る相手を口説き落とそうとする場面での短いやり取りです。
あわせて覚えたい関連表現
sweeten the deal
(取引の条件をよくする、おまけをつける)
make it worth your whileが相手への見返り全般を指すのに対し、こちらは既にある取引・提案に追加の魅力を加えるという、より具体的な行動を表します。
scratch someone’s back
(人の役に立つ、便宜を図る)
持ちつ持たれつの関係性を表す言い回しで、make it worth your whileの「先に見返りを約束する」ニュアンスとは違い、相互に助け合う対等な関係を示します。
it’s not worth it
(それだけの価値はない)
make it worth your whileが「価値を作り出す」という能動的な表現であるのに対し、こちらは物事の価値を評価する言い方で、否定形で使われることが多い表現です。
Note|「while」に隠された、時間と価値の結びつき
make it worth your whileというフレーズを分解すると、whileという単語の面白い性質が見えてきます。
whileは現代英語では「〜する間」という接続詞として使われることが多い単語ですが、名詞としては「(ひとまとまりの)時間」を指します。worth your whileは直訳すれば「あなたの時間の分だけの価値」となり、この表現は本来、相手が費やす時間そのものに対価を支払うという発想から生まれた言い回しです。英語にはほかにもin a whileやonce in a whileのように、whileを時間の単位として扱う表現がいくつも存在しており、この単語が長きにわたって「時間」を表す語として使われてきたことがうかがえます。make it worth someone’s whileという言い回し自体は、日常のやり取りから商取引まで幅広い文脈で使われてきた表現で、相手の労力や時間を軽んじず、それに見合う対価を示すという考え方が土台にあります。時間そのものを対価の単位として扱う発想は、時は金なりということわざにも通じるものがあり、時間と価値を結びつける感覚は英語圏の会話に根強く息づいています。
このフレーズがニールの口から自然に出てくるのも、相手の時間や協力を軽んじず、きちんと対価を用意するという駆け引きの基本を体現しているからと言えます。
時間そのものに価値を見出す発想は、今もビジネスの交渉の場で息づいています。
まとめ|駆け引きの中でそっと差し出す「見返りの約束」
make it worth your whileは、相手の労力や協力に見合うだけの見返りを用意する、と伝えたいときに使われる表現です。金銭に限らず、便宜や信頼など見返りの中身を柔軟に指せる点が、日常会話からビジネスの交渉まで幅広く活躍する理由になっています。ドラマの中でニールがアレックスに向けた一言も、力づくではなく相手にとっての価値を示すことで態度を変えさせる、駆け引きの呼吸を映していました。頼み事をするときに、ただお願いするだけでなく相手への見返りも添えられると、交渉の説得力がぐっと増します。会話の引き出しに加えてみてください。


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