「have a move up my sleeve」の意味と使い方|『ホワイトカラー』S01E12で学ぶ英会話

「have a move up my sleeve」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

追い詰められたように見える相手が、それでもどこか涼しい顔をしていて、実はまだ手の内をすべて明かしてはいなかった――そんな驚きの瞬間が、ドラマには時々あります。

そんな余裕の一言にぴったりのhave a move up my sleeveを、『ホワイトカラー』シーズン1第12話、オークション会場でニールとピーターが交わす会話から、一緒に見ていきましょう。

目次

「have a move up my sleeve」の意味とニュアンス

have a move up my sleeve
意味:とっておきの一手がある、奥の手がある

定番イディオム have a trick up one’s sleeve(袖に切り札を隠し持つ)の trick を move(一手)に置き換えた表現です。相手にまだ見せていない秘策を隠し持っていることを、余裕を込めて示す言い回しで、move への置き換えがチェスや駆け引きの文脈と響き合います。

交渉・競争・ゲームなどで劣勢に見えるときに、「まだ手はある」と落ち着いて宣言する場面で使われます。sleeve(袖)という具体的な場所が、隠し持つという行為に手触りを与えているのも、この表現の面白いところです。my・your・its のように所有格を入れ替えるだけで、自分にもチームにも使い回せる柔軟さも持っています。

trick や ace ではなく move という語を選ぶことで、単なる隠し玉というより「盤上の一手」という戦略性が前面に出るのも特徴です。相手を出し抜くというより、次の展開を冷静に見据えているという印象を与えたいときに向いています。

【ここがポイント!】

  • 「袖の中に、まだ見せていない一手を隠している」のが核心のイメージ
  • trick up one’s sleeve の trick を move に言い換えた、駆け引き寄りの表現
  • 劣勢に見える場面でこそ、落ち着いて使うと効果を発揮する一言

『ホワイトカラー』S01E12のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

因縁の相手ケラーの企みを崩すため、ニールとピーターはある品をオークションに出品して鑑定テストを強制する作戦を立てていますが、出品受付はすでに締め切られています。会場のどこかからケラーが見ているはずだと読み合いをするなかでのやり取りです。

Neal: Keller wouldn’t miss the chance to see my face when this goes down. He must be watching.
(ケラーはこの結末のときの僕の顔を見るチャンスを逃さないはずだ。どこかで見ているよ。)

Peter: So, he could be anywhere.
(じゃあ、どこにいてもおかしくないな。)

Neal: No, he’ll be nearby, just in case anything goes wrong.
(いや、近くにいるはずだ。何かあったときのためにね。)

Peter: Doesn’t help us much. You think we can get this into the auction?
(あまり役には立たないな。これをオークションに出せると思うか?)

Neal: I have a move up my sleeve.
(とっておきの一手があるのさ。)

White Collar Season1 Episode12 (Bottlenecked)

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シーン解説と心理考察

出品の道が閉ざされたように見える状況で、ピーターが Doesn’t help us much. You think we can get this into the auction? と半信半疑に尋ねると、ニールは涼しい顔で I have a move up my sleeve. と応じます。この直後、ニールは担当者が断れない材料を切り札として持ち出し、状況をひっくり返すことになります。

ニールは劣勢に見える局面でも余裕を崩さず、勝負の「次の一手」をすでに用意しています。詐欺師としての誇りと、ピーターへの「任せておけ」という信頼のサインが、この短い一言に凝縮されていると読み取れます。ケラーが見ているはずだと警戒しながらも動じない構えが、この会話の緊張感を保っています。

『ホワイトカラー』流・覚え方のコツ

手品師がシャツの袖の中にカードを一枚だけ隠していて、勝負どころでするりと取り出す映像を思い浮かべてみましょう。袖の中に隠されているのは、ただのカードではなく「次の一手」です。

オークション会場で、出品の道が閉ざされたように見えた瞬間に、ニールが涼しい顔でこの一言を口にする場面と重ねると、「表向きは手詰まり、でも袖の中には次の一手」という感覚が体感的につかめます。チェスの駒を袖からそっと盤に置くイメージで覚えると、move という単語選びまで一緒に記憶に残ります。

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例文で覚える「have a move up my sleeve」

ボードゲームの軽い勝負から、ビジネスの交渉まで、have a move up my sleeve は「まだ余裕がある」ことを伝える場面で幅広く使われます。3つの例文で見ていきましょう。

Don’t give up yet. I still have a move up my sleeve.
(まだ諦めないで。とっておきの一手が残っているから。)
ボードゲームや勝負ごとで押されている友人を安心させる一言です。still と組み合わせる頻出パターンです。

The negotiation isn’t over. Our team has a move up its sleeve.
(交渉はまだ終わっていません。こちらのチームには奥の手があります。)
社内で交渉の見通しを共有する場面での一言です。主語をチームにした応用形で、フォーマルな場でも使えます。

A: You always have a move up your sleeve, don’t you?
B: Well, someone has to keep this team one step ahead.
(A:君はいつもとっておきの一手を隠し持っているよね?)
(B:まあ、誰かがチームを一歩先に進めておかないとね。)
機転の利く相手への軽い賞賛と、それを受けた余裕のある返しが伝わる会話です。

あわせて覚えたい関連表現

have a trick up one’s sleeve
(とっておきの策がある)
辞書に載る定番形です。trick は「たくらみ・仕掛け」の含みが強く、move は「(ゲームの)一手」として駆け引きの文脈に寄ります。

have an ace up one’s sleeve
(切り札を隠し持っている)
ace(エース)はカードの最強札で、「最後の決定打」の含みが強まります。move よりも一発逆転の響きを持ちます。

keep something in reserve
(〜を取っておく、温存しておく)
比喩ではなく直接的な言い方で、フォーマルな場面でも使いやすい表現です。隠している含みは薄く、「備え」のニュアンスが中心で、相手を出し抜く駆け引きの響きはほとんどありません。

Note|袖にカードを隠す:up one’s sleeveのイディオム群の由来

ニールが涼しい顔で口にしたこの一言のように、up one’s sleeve という形のイディオムには、袖の中に何かを隠すという具体的な動作のイメージが共通して流れています。

up one’s sleeve 系の表現は、トランプ遊びで袖の中に札を隠して不正をする、いわゆるいかさまの発想に由来するとされています。ゆったりとした袖のあるシャツやジャケットは、手品師やギャンブラーにとって都合のよい隠し場所であり、そこから trick(仕掛け)・ace(切り札)・card(手札)といった「袖に隠すもの」のバリエーションが次々に生まれていきました。今回登場した move もその流れに乗った言い換えで、trick が持つ「仕掛け」の響きを、ゲームや勝負における「一手」という語に置き換えることで、チェスや将棋のような駆け引きの場面に自然になじむ表現へと調整されています。定番イディオムの型を保ったまま、中身の単語だけを入れ替えて新しい響きを生み出すのは、英語の慣用表現によく見られる遊び方のひとつです。

オークション会場で追い詰められて見えたニールが、涼しい顔で口にしたのが、まさにこの「袖に隠した一手」でした。手品師のような余裕そのものが、move up my sleeve という言葉選びに重なっています。詐欺師として鍛えてきた駆け引きの技術が、こうした言い回しの選び方にも自然とにじんでいるように見えます。

袖の中に何を隠しているかで、その人の余裕の質が見えてきます。

まとめ|涼しい顔で切った一枚のカード

have a move up my sleeve は、trick up one’s sleeve の言い換えとして、勝負や交渉の場面で「まだ手はある」という余裕を伝える表現です。ボードゲームの軽い駆け引きから、ビジネスの交渉まで、幅広い場面で使うことができます。

劣勢に見える局面で相手を安心させたいとき、逆に自分の余裕を静かに示したいときにも、この一言が効いてきます。

出品の道が閉ざされたように見えた瞬間にこの一言を口にしたニールの姿は、追い詰められてもなお一枚のカードを隠し持つ余裕そのものを体現していると言えます。

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