海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回取り上げるのは、BONESのシーズン1第7話です。ある事件の再捜査をめぐり、判事の自宅や取調室で、話の内容が筋の通ったものかどうかが繰り返し話題になる場面が描かれています。
日本語の「辻褄が合う」に近い感覚を、英語の会話ではどう言い表しているのか、シーンの流れに沿って見ていきます。
話が噛み合わない場面で使う add up
弁護士のエイミーは、古い事件を蒸し返そうとして検察官から「時間の無駄」と切り捨てられます。それでもエイミーは引き下がらず、判事の前でこう言い返します。
Amy: That’s true. But it doesn’t mean I’m not right. This case doesn’t add up.
(それはそうよ。でも、私が間違っているとは限らないわ。この事件は辻褄が合わない。)BONES Season1 Episode7 (A Man on Death Row)
add upはもともと「合計する」「積み上がる」という意味の句動詞で、そこから「筋が通る」「辻褄が合う」という意味に広がった表現です。This case doesn’t add up.のように否定形で使うと、話のどこかにつじつまの合わない部分があるという違和感が伝わります。
同じ表現は、肯定形にすると裏返しの意味を持ちます。ブレナンは後の場面で、この事件を気にかける理由を尋ねられ、こう答えます。
Brennan: Because the facts have to add up.
(事実は、辻褄が合っていなければならないもの。)BONES Season1 Episode7 (A Man on Death Row)
facts have to add upは「事実は矛盾なく揃っていなければならない」という考え方そのものを表す言い方です。エイミーの発話では「合わない」への違和感として、ブレナンの発話では「合っているべきだ」という原則として、同じadd upが対照的な役割で使われているのが見どころです。
「腑に落ちた」を伝える it tracks と、ぼかす cloud the issue
取調室での尋問を経て、ブースは容疑者の供述を聞いた末にこう漏らします。
Booth: It adds up. It tracks.
(辻褄が合う。筋が通ってるな。)BONES Season1 Episode7 (A Man on Death Row)
it tracksは、話の内容が筋道立って理解できるときに使われる口語表現です。trackという単語1つで「論理的に筋が通っている」という納得感を短く伝えられ、add upよりも軽い相槌として使いやすいのが特徴です。
この納得に至る直前、ブースは容疑者に対して事実を隠していることを、次のように指摘していました。
Booth: By not admitting that you were there that night, by not confessing that you were with her, you’re clouding the issue.
(あの夜そこにいたと認めず、彼女と一緒にいたと白状しないから、お前は話をぼかしてるんだ。)BONES Season1 Episode7 (A Man on Death Row)
cloud the issueは、雲(cloud)が視界を覆うイメージから、「論点を曖昧にする」「話を分かりにくくする」という意味で使われる表現です。事実を伏せることでadd upしない状態が続いていた会話が、真実が語られたことでit tracksという納得に変わる、という流れが見えてきます。
| 表現 | 意味 | 使われ方 |
|---|---|---|
| add up(否定形) | 辻褄が合わない | 違和感の指摘 |
| add up(肯定形) | 辻褄が合っている | 原則・納得の表明 |
| it tracks | 筋が通る、腑に落ちる | 口語の相槌 |
| cloud the issue | 論点をぼかす | 話を分かりにくくする |
まとめ|add upとit tracksが描く「辻褄」の感覚
add upは否定形と肯定形で「合わない違和感」と「合っているべき原則」の両方を表せる表現で、it tracksはより口語的に「筋が通る」という納得を伝えます。反対にcloud the issueは、その辻褄を崩す側の行為を指す言い方です。会話の流れとあわせて見ると、それぞれの言葉が担う役割の違いが分かります。
次回も『BONES』の会話を通して、英語表現を見ていきましょう。
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