「kick it up」と「kick it down」に学ぶ、事件のたらい回し|『BONES』S01E12で学ぶ英会話

『BONES』コラム: 「kick it up」と「kick it down」に学ぶ、事件のたらい回し|『BONES』S01E12で学ぶ英会話

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

今回は『BONES』シーズン1、第12話の冒頭、事件現場でブースとFBI副長官のカレンが交わす会話から、事件がどこかから自分の手元に回ってくる様子を表す英語表現を取り上げます。組織の中を情報や仕事が上下に動く感覚は、日本語でも英語でも共通するところがあります。

ニュースが注目する事件ならではの言い回しを、順番に見ていきましょう。

目次

press caseとkick it up、kick it downにみる、事件の回り方

事件現場に到着したブースは、カメラが並ぶ様子を見て、この事件がなぜ自分の担当になったのかをカレンに愚痴ります。

BOOTH: I hate press cases.
(報道が絡む事件は苦手なんだよ。)

CULLEN: Yes sir. More than three cameras show up, some homicide detective kicks it up to his captain who kicks it up to the chief, who kicks it to the F.B.I.-
(そうですね。カメラが3台を超えると、殺人課の刑事が上司の警部に蹴り上げて、警部が本部長に蹴り上げて、本部長がFBIに蹴ってくるんです。)

BOOTH: And you – bang – kick it down to me. Which I thank you for, sir – the opportunity.
(そしてあんたが――バン――それを俺に蹴り下ろすってわけだ。そのチャンス、感謝しますよ。)

BONES Season1 Episode12 (The Superhero in the Alley)

press case(注目度の高い、報道が絡む事件)は、カメラの台数という具体的な基準で語られているのが面白いところです。そこから続くkick it up(上に回す、上申する)とkick it down(下に回す、押し付ける)は、同じkickという動詞にupとdownを組み合わせただけで、情報や仕事が組織の中を上下する様子を表せる便利な言い回しです。

表現 方向 意味
kick it up (to 人) 下から上へ 上司・上部組織に報告する、上申する
kick it down (to 人) 上から下へ 部下・下の立場に回す、押し付ける

刑事から警部、警部から本部長、本部長からFBI、FBIからブースへと、事件がバケツリレーのように回っていく様子がkick it up / kick it downという一組の表現でつながっているのが読み取れます。

ブースが返す Which I thank you for, sir – the opportunity という一言には、皮肉が滲んでいます。thank youと言いながらも、実際には面倒な仕事を押し付けられたことへの軽い不満が透けて見える場面です。文字どおりの意味と、実際の気持ちがずれる言い回しは、皮肉っぽい相槌を訳すときのヒントにもなります。

I’m on it――自分から動くときの一言

副長官から念を押されたブースは、報道に漏れないよう自分が責任を持つという姿勢を、短い一言で示します。

BOOTH: I garantee you won’t read that, sir. Okay? I-I’m on it.
(誓って、それが記事になることはないですよ。いいですね? もう取り掛かってます。)

BONES Season1 Episode12 (The Superhero in the Alley)

I’m on itは、任された仕事や問題に対して「もう着手している」「自分に任せてくれ」という気持ちを一言で伝える表現です。kick it downで回されてきた仕事を、ブースがすぐさま自分のものとして引き受ける様子が、このひとことに凝縮されています。上から下へと回された事件が、ここで初めて担当者の手の中に落ち着いた瞬間とも言えます。

似た場面で使えるI’ll take care of itやLeave it to meと比べると、I’m on itはより短く、すでに動き出していることを強調するニュアンスがあります。上司や同僚から仕事を振られた直後に返す一言として、実務の会話でそのまま使える表現です。garanteeの綴りはスクリプト上の表記のままですが、guaranteeと同じ「誓って」「保証する」という意味で使われています。

まとめ|事件がたらい回しになる仕組みと、それを受け取る側の言葉

press case、kick it up、kick it down、I’m on itという、組織の中を事件が回っていく様子を追いかけてきました。上下に蹴り合うようなkickの使い方も、最後に自分の手元で仕事を引き受けるI’m on itも、日常の職場のやり取りにそのまま置き換えられる表現です。

このエピソードの英語表現は、フレーズ記事やエピソードまとめでも扱っています。あわせて読むと、事件現場の会話がより立体的に見えてきます。


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