海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回も『メンタリスト』シーズン1第9話から。放火事件の関係者ベン・マチャドを確保した取調室で、ジェーンとリズボンが交わす短いやり取りを取り上げます。マチャドをおとりとして解放するかどうかを巡り、上司と部下という立場を越えて、2人の間で「正義」と「復讐」の違いを問う応酬が起こります。
日本語にすると似たような響きに聞こえるこの2つの言葉を、英語ではどう言い分けているのか。取調室での短い応酬から、justiceとvengeanceの境界線を見ていきます。
「officers of the law」と「justice」―法とジェーンの立場の違い
マチャドを解放しておとりに使うようジェーンが持ちかけると、リズボンは自分たちの立場を理由にたしなめます。
Jane: Machado helped burn Dave Martin alive out of greed.
Lisbon: Jane, we’re officers of the law.
Jane: You are. I don’t care about the law. I care about justice, and justice says Machado deserves to suffer.
(「マチャドは強欲からデイヴ・マーティンを生きたまま焼き殺すのに手を貸した」「ジェーン、私たちは法の執行者よ」「君はね。僕は法なんてどうでもいい。僕が気にかけているのは正義だ。そして正義は、マチャドは苦しんで当然だと言っている」)
The Mentalist Season1 Episode9 (Flame Red)
officers of the law は「法の執行者」を意味するフォーマルな言い方で、警察官や捜査官が自らの職務上の立場を強調するときに使われます。リズボンはこの言葉で、感情ではなく職責としてルールに従う必要があることをジェーンに示しています。対してジェーンは justice(正義)という言葉を持ち出し、法とは別の基準で物事を見ていることを表明します。同じ「正しさ」を語りながらも、2人が拠り所にしているものが違うことが、このやり取りから伝わってきます。
「That’s not justice. It’s vengeance.」―justiceとvengeanceの境界線
ジェーンの言い分に対し、リズボンは短い一言でその考えを退けます。
Lisbon: That’s not justice. It’s vengeance
Jane: What’s the difference?
(「それは正義じゃない。復讐よ」「何が違うんだ?」)
The Mentalist Season1 Episode9 (Flame Red)
justice は法や社会の規範に基づいて下される公正な報いを指す言葉で、個人の感情から切り離された概念として使われます。一方 vengeance は、当事者自身の手で私的に返す報復を意味し、怒りや憎しみといった感情と強く結びついた言葉です。リズボンの一言は、この2つの違いをそのまま言い当てています。
| 語 | 立場・視点 | 想定される行動 |
|---|---|---|
| justice | 制度・規範に基づく公正な報い | 法の枠組みの中で第三者が下す |
| vengeance | 個人の感情に基づく仕返し | 当事者自身が私的に下す |
| officers of the law | 法を執行する立場そのもの | 職務として法に従う |
ジェーンが最後に返す What’s the difference? は「何が違うんだ?」という素朴な疑問文ですが、justiceとvengeanceの境界を平然と踏み越えようとするジェーンらしい切り返しにもなっています。ジェーンには家族を奪われた過去があり、法の枠内では収まらない決着を望む思いを抱えている、という背景がこの短いやり取りの温度に滲んでいます。
まとめ|justiceとvengeanceを分ける英語
officers of the law、justice、vengeanceという3つの語を並べてみると、「誰が」「どんな立場で」報いを下すのかという視点の違いが、justiceとvengeanceを分けるポイントだと分かります。似た響きの2語でも、使い分けを意識すると英文のニュアンスがより正確に読み取れます。
次回も『メンタリスト』の場面と一緒に、ドラマに登場する英語表現を見ていきましょう。
このエピソードの英語表現は、フレーズ記事やエピソードまとめでも扱っています。
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