海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
知らせを伝えたら相手がどんな反応をするか気になって、とっさに本当のことを言えず取り繕ってしまった経験はありませんか。動揺を見せたくない気持ちが先に立って、つい話を丸く収めてしまうこともあるものです。
そんな場面にぴったりの「take it well」を、『フレンズ』シーズン6第3話の前半、レイチェルにまだ離婚の話をしていないことを友人のフィービーから問い詰められたロスが、思わず事実をごまかしてしまう場面から、一緒に見ていきましょう。
「take it well」の意味とニュアンス
take it well
意味:(知らせや出来事を)すんなり受け止める、前向きに受け入れる
take it well は、誰かに知らせや報告を伝えたときの相手の反応を表す口語表現です。take it の it は「伝えられた事柄」を指し、それを well(うまく、前向きに)受け止めたということを示します。
この表現の面白いところは、well の部分を badly に入れ替えるだけで、まったく逆の反応を表せる点です。take it badly なら「うまく受け止められなかった、ひどく落ち込んだ」という意味になり、well と badly が対になって、相手の反応の良し悪しをシンプルに描き分けます。
主語には知らせを受け取った本人が入り、She took it well.(彼女はすんなり受け止めた)のように過去形で使われることが多い表現です。良い知らせにも悪い知らせにも使えますが、特に難しい話や気まずい話を伝えたあとの反応を報告する場面でよく登場します。
really や surprisingly のような副詞を well の前に添えると、「予想していたよりもずっとうまく受け止めた」という驚きのニュアンスを加えられます。反応そのものを描写する表現でありながら、話し手が抱いていた不安の大きさまで一緒に伝わってくる、便利な言い回しです。
【ここがポイント!】
- 核は「知らせを受け止める」という相手の反応そのものを表すこと
- well を badly に入れ替えると、意味がまるごと反対になる対の表現
- 誰の反応かを明確にしたうえで過去形で使うのがコツ、really を添えて驚きを足すのも一手
『フレンズ』S06E03のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ベガスでの結婚がまだ解消されていないことを、レイチェルに打ち明けられずにいるロスが、友人のフィービーから「レイチェルに話したとき、なんて言われたの?」と聞かれ、とっさにこの take it well を使ってその場をしのごうとします。しかしその場しのぎの一言は、すぐさま鋭い追及にさらされることになります。
Phoebe: So what did Rachel say when you told her you were still married to her?
(それで、まだ結婚してるってレイチェルに話したとき、彼女はなんて言ったの?)Ross: Oh, that. Um, she took it really well.
(ああ、あれね。うん、彼女はすごく素直に受け止めてくれたよ。)Phoebe: Oh. You didn’t tell her, did you?
(あら。……本当は話してないんでしょ?)Ross: No.
(ああ、話してない。)Phoebe: Of course not. Because you’re in love with her.
(でしょうね。だってロス、彼女のこと好きなんだもん。)Ross: I am not in love with her. She was very upset about having to move out.
(惚れてなんかない。彼女は引っ越さなきゃいけないことにひどく動揺してたんだ。)Friends Season6 Episode3(The One with Ross’ Denial)
シーン解説と心理考察
she took it really well という一言は、事実の報告ではなく、問い詰められた瞬間にとっさに口から出た取り繕いとして機能しています。相手はすぐに「話してないんでしょ?」と見抜き、答える側は一拍置いて「No」と認めるほかありません。
さらに「彼女に惚れてるんでしょ」と核心を突かれると、「I am not in love with her」と強い調子で否定に転じます。この否定の勢いの強さが、かえって図星であることをにじませているのが会話の温度を変えています。とっさの嘘がすぐに崩れ、次の話題(彼女を動揺させたこと)へと逃げるように話をすり替える流れにも、本音から目を逸らそうとする態度が表れています。
このエピソードのタイトルどおり「否認(denial)」がテーマになっており、take it well という何気ない一言が、その否認の入り口として機能している場面です。とっさに出てきた言葉が、本人も気づかないうちに核心をぼかす方向へ会話を運んでいくところに、このシーンならではのおかしみがあります。
『フレンズ』流・覚え方のコツ
take it well を覚えるコツは、投げられたボールを受け止める動作をイメージすることです。it が「投げられた知らせ」で、それを well(うまく)キャッチできれば take it well、落としてしまえば take it badly。同じ動作の結果が良いか悪いかで表現が分かれる、とイメージすると整理しやすくなります。
そのうえでこの場面を思い出してみると、答える側が使った she took it really well は、実際には投げてすらいない嘘のボールでした。相手の反応を先回りして「うまく受け止めてくれた」と決めつけてしまう、とっさの取り繕いの一言だったわけです。「本当は投げていないのに、受け止めてもらったことにする」――この逆転のイメージごと覚えると、忘れにくくなります。
例文で覚える「take it well」
知らせを伝えたあとの相手の反応を報告する take it well を、3つの例文で感覚をつかんでいきましょう。
I told her about the schedule change, and she took it well.
(予定変更のことを伝えたら、彼女はすんなり受け止めてくれた)
日常のちょっとした変更を報告する場面です。深刻な話でなくても気軽に使える一言です。
My manager took the feedback surprisingly well during the review.
(上司は評価面談でのフィードバックを意外なほど前向きに受け止めていた)
職場での率直な意見交換を振り返る場面です。surprisingly を添えると「予想より」というニュアンスが加わります。
A: How did your parents react when you told them you’re moving abroad?
B: Honestly, they took it better than I expected.
(A:海外に引っ越すって伝えたとき、ご両親の反応はどうだった?)
(B:正直、思ってたよりずっとすんなり受け止めてくれたよ)
家族への報告を振り返るやりとりです。比較級 better を使うと「予想と実際の差」を強調できます。
あわせて覚えたい関連表現
take it hard
(ひどく落ち込む、深刻に受け止める)
take it well の反対側にある表現で、badly よりも「精神的にこたえる」という響きが強くなります。今回のフレーズと対にして覚えると、反応の幅を一度に整理できます。
come to terms with
(〜を受け入れる、折り合いをつける)
take it well が「知らされた瞬間の反応」を表すのに対し、こちらは受け入れるまでの時間の経過を含みます。一瞬の反応か、プロセス全体かという違いです。
handle it well
(それをうまく処理する、うまく対応する)
take it well が「気持ちの受け止め方」に寄るのに対し、handle it well は行動や対応の適切さに重心が置かれます。トラブルへの対処ぶりを評価するときにはこちらの方が自然に響く、似た場面で使い分けられる一言です。
Note|「うまく受け止める」が変わる場所―仕事と日常での take it well
take it well は難しい知らせへの反応を表す便利な一言ですが、使われる場面によって「うまく受け止める」の中身が変わってきます。
日常会話での take it well は、多くの場合そのまま「感情的に動揺しなかった」ことを指します。友人に予定変更を伝えたときや、家族に引っ越しの話をしたときに使われる she took it well は、驚きや落胆をあまり見せずに受け入れてくれた、という素直な意味合いです。ところが職場のフィードバック面談のような場面での take it well は、少し違うニュアンスを帯びます。He took the criticism well. と言うとき、それは単に感情を乱さなかっただけでなく、「防御的にならず、改善点として受け止めた」という、プロフェッショナルな姿勢の評価まで含んでいることが多いのです。同じ表現でも、私生活では気持ちの動揺の有無を、ビジネスの文脈では受け止め方の成熟度を表すというように、評価の軸そのものが変わります。
この違いを踏まえてこの場面を振り返ると、答える側が使った she took it really well は、まさに私生活側の「動揺しなかった」という意味で使われています。本当は何も伝えていないのに、まるで難しい報告を無事に終えたかのように装った、その場しのぎの一言だったわけです。もし本当にこの言葉どおりの会話が交わされていたなら、それは私生活側の使い方として何の問題もない、ごく自然な一言だったはずです。
場面が変われば、うまく受け止めるの中身も変わります。
まとめ|相手の反応をひと言で伝える言い回し
take it well は、知らせや出来事への相手の反応を「うまく受け止めた」と一言で表せる便利な表現です。well と badly を入れ替えるだけで、反応の良し悪しをシンプルに描き分けられる、という一点さえ押さえれば迷うことはありません。
友人への報告でも、職場でのフィードバックの振り返りでも、この一言があれば相手の反応をコンパクトに伝えられます。今回の場面では、まだ何も報告していないのに「うまく受け止めてもらった」と先回りして装ってしまった、なんとも危うい使い方でした。
知らせを伝えたあとの反応を語るときの一言として、表現の引き出しに加えてみてください。


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