「back and forth」の意味と使い方|『Friends』S06E03で学ぶ英会話

「back and forth」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

やるべきかやめるべきか、気持ちが定まらないまま同じところをぐるぐる考え続けてしまった経験はありませんか。周りにはっきりした顔を見せながらも、内心では答えの出ないまま揺れ続けていることもあるものです。

そんな迷いを表す「back and forth」を、『フレンズ』シーズン6第3話の終盤、レイチェルとの同居について友人から単刀直入に聞かれたロスが、思わず本音の揺れをこぼしてしまうシーンから、一緒に見ていきましょう。

目次

「back and forth」の意味とニュアンス

back and forth
意味:行ったり来たりする、(気持ちが)揺れ動く、迷う

back and forth はもともと「前後に往復する」動きを表す表現ですが、口語では気持ちや考えが定まらず、あっちにしようかこっちにしようかと揺れ動く状態を表すのにもよく使われます。

I’ve been back and forth (on it) の形で「まだ決めかねている」という迷いを簡潔に伝えられるのが、この表現の便利なところです。決断そのものを避けているのではなく、両方の選択肢のあいだで気持ちが行き来している、というニュアンスがしっかり込められています。

物理的な往復運動を表すときにも、the ball went back and forth(ボールが行ったり来たりした)のように使われますが、気持ちの揺れを表す用法とあわせて覚えておくと、幅広い場面で応用できます。会話が行き交う様子を指して、話し合いが back and forth した(意見のやり取りが続いた)と表現することもある、応用範囲の広い言い回しです。

【ここがポイント!】

  • 核は「前後に往復する」という物理的なイメージから来た、気持ちの揺れ動く感覚
  • I’ve been back and forth で「まだ決めかねている」を簡潔に伝えられる
  • 決断を避けているのではなく、両方の間で揺れているニュアンスを持つのがコツ

『フレンズ』S06E03のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

友人から「レイチェルとの同居、本当にいい考えだと思ってるのか?」と単刀直入に聞かれたロスは、それまで周囲に見せていた強気な態度をひとまず脇に置き、この back and forth という一言で、隠していた正直な迷いをぽつりと口にします。普段のロスなら見せない、飾らない一面がのぞく瞬間です。

Joey: Uh, listen, Ross. You really think this moving in with Rachel is a good idea?
(なあ、ロス。レイチェルと同居するのって、本当にいい考えだと思ってるのか?)

Ross: I’ve been back and forth.
(正直、気持ちが行ったり来たりしてるんだ。)

Joey: Yeah, well, maybe you should go back, okay? Rachel moves in, and before you know it, you’re right where you don’t wanna be, back together.
(だったら、「戻る」方に決めた方がいいんじゃないか? レイチェルが引っ越してきたら、あっという間に、お前が一番避けたい場所――よりを戻すってところに行き着くぞ。)

Ross: Yeah, I don’t think so. She’s already talking about, you know, dating other guys.
(いや、そうはならないと思う。彼女はもう他の男とデートする話をしてるくらいだから。)

Friends Season6 Episode3(The One with Ross’ Denial)

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シーン解説と心理考察

「I’ve been back and forth」というたった四語の返答に、それまでロスが周囲に見せていた余裕のある態度とは違う、率直な迷いが表れています。友人からの単刀直入な問いかけに、言い訳や強がりを挟まずすぐに認めてしまうところに、この話題に関しては本音を隠しきれていない様子がうかがえます。

友人はすかさず「maybe you should go back(だったら『戻る』方に決めろ)」と back and forth の back を掛け言葉のように受けて茶化しつつ、「レイチェルが同居を始めれば、あっという間によりを戻すことになるぞ」と核心を突いた忠告をします。ロスは「Yeah, I don’t think so(いや、そうはならない)」と否定しますが、その根拠として持ち出すのは「彼女はもう他の男とデートする話をしている」という、自分から目を逸らすような理屈です。

back and forth という短い一言に、ロスがまだ心の整理をつけられていない揺れ動きが凝縮されており、直後の否定の弱さがその揺れをさらに裏づけています。理由として持ち出した内容が相手の状況の説明にすぎず、自分自身の気持ちには触れていない点にも、核心を避けようとする姿勢が表れています。

『フレンズ』流・覚え方のコツ

back and forth を覚えるコツは、振り子が左右に揺れ続ける様子をイメージすることです。どちらか一方に完全に振り切れるのではなく、真ん中のあたりを行ったり来たりし続ける――そんな動きを思い浮かべると、決めかねている状態がそのまま形になって伝わってきます。

そのうえでロスの場面を思い出してみてください。「I’ve been back and forth」という短い一言のあとに、すぐさま「そうはならないと思う」という否定が続く構成そのものが、振り子がまだ揺れ続けている証拠のように読み取れます。決着がついていないからこそ出てくる言葉、というイメージごと覚えておくと、使いどころに迷いません。

このエピソードの他のフレーズ

例文で覚える「back and forth」

決めかねている気持ちを伝えるときに使われる back and forth を、3つの例文で感覚をつかんでいきましょう。

I’ve been back and forth about whether to accept the job offer.
(その仕事のオファーを受けるかどうか、気持ちが行ったり来たりしている)
仕事の決断について迷いを語る場面です。about のあとに迷っている対象を続けると自然に伝わります。

We went back and forth for an hour before finally agreeing on a restaurant.
(レストランを決めるまで、1時間も行ったり来たりの議論をした)
複数人での話し合いが長引いた様子を語る場面です。ここでは意見のやり取りそのものが「行き来」として描かれています。

A: Have you decided where to go for vacation yet?
B: Not really. I’ve been back and forth between the beach and the mountains.
(A:休暇の行き先、もう決まった?)
(B:いや、まだなんだ。海にするか山にするか、ずっと迷ってる)
旅行の相談をする場面です。between A and B を添えると、何と何のあいだで迷っているかが明確になります。

あわせて覚えたい関連表現

on the fence
(態度を決めかねている、どっちつかずの状態)
back and forth が「気持ちが行き来している過程」を表すのに対し、on the fence は「どちらにも決めていない状態」そのものを表す静止したイメージの表現です。

torn between
(〜のあいだで板挟みになっている、迷っている)
back and forth よりも感情的な葛藤の強さを伴う表現で、両方の選択肢に強く心を引かれている場合に向いています。今回のフレーズより一段深い迷いを表すニュアンスです。

waver
(揺れる、迷う、決心が揺らぐ)
一度固まりかけた決意が再び揺らぐ場面で使われる、ややフォーマルな響きを持つ動詞です。口語的な back and forth と比べて、文章語としても使いやすい表現です。

Note|決められない気持ちの正体―アプローチ・アボイダンス葛藤という視点

back and forth が表す「行ったり来たり」の迷いには、心理学の分野で説明される葛藤の仕組みが重なります。

心理学には、一つの対象に「近づきたい気持ち」と「避けたい気持ち」が同時に存在する状態を指す、アプローチ・アボイダンス葛藤(接近・回避葛藤)という考え方があります。対象に近づくほど不安や恐れが強くなり、遠ざかるほど惹かれる気持ちが強くなる――この綱引きのような力学によって、人は同じ場所を行ったり来たりし続けてしまうとされています。ロスの状況は、まさにこの仕組みで説明できます。レイチェルとの同居という選択肢に近づくほど、昔の関係がよみがえることへの不安が強まり、かといって完全に遠ざかろうとすると、彼女への未練が顔を出す。どちらの方向にも踏み切れないまま、気持ちだけが往復し続けているのです。back and forth という一言が的確に響くのは、こうした綱引きの構造を短い言葉で言い当てているからだと言えます。

このように見ると、決めかねている状態を「優柔不断」と単純に片付けるのではなく、両方に引かれる力が働いている自然な状態として捉え直すことができます。back and forth という表現自体が、どちらか一方を責めるのではなく、揺れ動くこと自体をそのまま言葉にする、中立的な響きを持っているのも興味深いところです。

迷いにも、ちゃんとした仕組みがあります。

まとめ|揺れ動く気持ちをそのまま言葉にする一言

back and forth は、決めかねている気持ちの揺れをそのまま言葉にできる表現です。前後に往復するという物理的なイメージから来ている、という一点さえ押さえれば、気持ちの迷いを伝える場面での使い方に迷うことはありません。

仕事の決断でも、旅行先を決める相談でも、この一言があれば「まだ決めきれていない」という状態を簡潔に伝えられます。ロスの場面では、周囲に見せていた余裕をひとまず脇に置いて、この短い一言に本音の揺れがそのまま表れていました。決めかねていること自体を、隠さずそのまま口にできる便利さも、この表現の魅力の一つです。

どちらとも決めきれずに揺れているときの正直な一言として、表現の引き出しに加えてみてください。

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