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今回扱うのは、『ビッグバン★セオリー』シーズン3 第15話に登場する、バレンタインの計画を”手がかり”だけで当てさせようとするやりとりです。大学からスイス出張の話を持ち帰ったレナードが、行き先をそのまま告げるのではなく、トレイに並べた品物をヒントに変えてペニーに差し出す場面から始まります。一つずつ検討しながら答えに迫っていく二人の会話には、サプライズの切り出し方と、遊びを切り上げるタイミングの両方が詰まっています。
「This tray contains clues as to…」のような言い方から見ていきましょう。
中身を明かさずに”手がかり”として示す切り出し方
バレンタインの計画を内緒にしていたレナードは、大学からスイス出張の話を持ち帰った後、答えを直接言う代わりに、トレイに並べた品物をヒントとして差し出します。すぐに結論を告げず、いったん謎かけの形に変える切り出し方です。
Leonard: Just a minute. This tray contains clues as to what you and I are going to be doing on Valentine’s Day.
(ちょっと待って。このトレイには、バレンタインに僕たちが何をするかの手がかりが乗ってるんだ。)TBBT Season3 Episode15 (The Large Hadron Collision)
This [名詞] contains clues as to what ~ は、「この〜には、〜についての手がかりが入っている」と、答えそのものではなく手がかりを差し出す切り出し方です。clues as to は「〜についての手がかり」という意味で、as to の後に疑問詞節(what/where/who など)を続けると、手がかりが指し示す対象を明確にできます。似た言い方に clues about もありますが、as to のほうがやや改まった響きを持ち、種明かしの前置きらしい仰々しさを添える効果があります。トレイという小道具を使って”謎かけ”の体裁を整えている点も、この切り出し方の演出効果を高めています。答えをすぐに明かさず、相手に推理する余地を残す言い方と言えます。
サプライズを企画したときに、いきなり結論を言わず、相手の反応を楽しみながら小出しにするスタイルの切り出し方として応用できます。誕生日プレゼントの中身をほのめかしたり、旅行の行き先を当てさせたりする場面でも使える型です。Just a minute. と一拍置いてから切り出す出だしも、これから何かが始まる合図として機能しています。
一つずつ検討しながら推測し、外れを訂正する言い方
トレイの中身(ミルクチョコ、スイスチーズ、フォンデュ)を手がかりに、ペニーが答えを探っていく場面です。材料を並べてから推理を組み立てていく過程が、そのまま声に出されています。
Penny: Oh. Wow. Okay. Let’s see. We’ve got, uh, milk chocolate, Swiss cheese, fondue. My lactose-intolerant boyfriend is going to eat all this, then I’m going to climb on his back and rocket to the moon?
(あら、すごい。えっと、見てみようか。ミルクチョコにスイスチーズ、フォンデュ……乳糖不耐症の彼氏がこれを全部食べて、それから私が彼の背中によじ登って月までロケット発射、とか?)TBBT Season3 Episode15 (The Large Hadron Collision)
Let’s see… は、手がかりを一つずつ検討しながら考えている間を持たせる言い方です。答えを急がず、材料を並べてから推理する過程をそのまま口に出すことで、聞き手にも一緒に考えているような臨場感が生まれます。似た働きの間つなぎに Hmm… や Well… もありますが、Let’s see… は「これから一緒に考えていこう」というニュアンスが強く、相手を推理に巻き込む響きがあります。
月ロケットという突飛な推測を軽く否定しつつ、レナードはここで本物の手がかりを一つ付け加えます。
Leonard: No. But it does involve air travel. Okay, um, let me slice this Swiss cheese with my Swiss army knife, and then you can wash it down with a cup of Swiss Miss instant cocoa.
(違うよ。でも飛行機での移動は関係あるんだ。よし、このスイスチーズをスイスアーミーナイフで切ってあげるから、スイスミスのインスタントココアで流し込んで。)TBBT Season3 Episode15 (The Large Hadron Collision)
No. But it does involve X. は、間違った推測をきっぱり否定したうえで、すぐに本物の条件を付け加える言い方です。ヒントを小出しにする側が、外れを伝えるだけで終わらせず、次の推理につながる材料を必ず一つ残しているのが分かります。
このヒントをもとに、ペニーはスイスにまつわる別の候補を挙げます。
Penny: We’re going to Disneyland and ride the Matterhorn?
(ディズニーランドに行って、マッターホルンに乗るの?)TBBT Season3 Episode15 (The Large Hadron Collision)
飛行機での移動という条件をまだ満たさない候補に対して、レナードは条件を一つ付け足して軌道修正します。
Leonard: How does that involve air travel?
(それのどこが飛行機での移動と関係あるのさ?)TBBT Season3 Episode15 (The Large Hadron Collision)
How does that involve X? は、相手の推測がすでに出ている条件(この場合は「飛行機での移動を伴う」という手がかり)に当てはまっていないことを、頭ごなしに否定せず確認する形で指摘する言い方です。「それ、Xとどう関係あるの?」と問い返すことで、相手に自分の推測を見直させています。先ほどの No. But it does involve X. のように断定で否定するのではなく、疑問形に変えることで、相手に条件を自分で見直させる分だけ、当てっこのゲーム性を保ったまま軌道修正できる言い方です。
遊びを切り上げるサインと、種明かしの一言
ディズニーランドかディズニーワールドかと候補を絞り込んでもなお正解にたどり着けず、手がかりを重ねられたペニーがだんだん飽きてくる場面です。
Penny: Okay, sweetie, this started out fun, but I’m over it.
(ねえ、最初は楽しかったけど、もう飽きちゃった。)TBBT Season3 Episode15 (The Large Hadron Collision)
this started out fun, but I’m over it. は、「最初は楽しかったけど、もう十分」と遊びを切り上げたい気持ちを伝える言い方です。be over it は「(それに)飽きた、もう十分だ」という意味の口語表現で、はっきり「やめて」と言う代わりに使うと角が立ちにくい表現になります。this started out fun という前置きを添えることで、相手の企画自体を否定するのではなく、あくまで「楽しかったけれど今は違う」という気持ちの変化として伝えている点も見どころです。
急かされたレナードは、ここでようやく答えを明かします。
Leonard: We’re going to Switzerland to see the CERN supercollider! And ski. We’ll also go skiing.
(スイスに行って、CERNの加速器を見るんだ! それとスキーも。スキーもしに行くよ。)TBBT Season3 Episode15 (The Large Hadron Collision)
種明かしのタイミングでは、答えを一気に言い切ってから And ski. We’ll also go skiing. と言い足しを重ねる、話し言葉らしい勢いのある伝え方が見られます。行き先を告げるだけで満足せず、興奮のままに情報を継ぎ足していく口調そのものが、ここまで手がかりを小出しにしてきた企画の種明かしらしい盛り上がりを演出しています。切り出しから種明かしまでを通して見ると、答えを急がせず一つずつ確かめさせる進め方と、最後に勢いよく明かす締めくくり方の対比も楽しめます。
まとめ|手がかりで当てっこするサプライズの型
This tray contains clues as to…、Let’s see…、How does that involve air travel?、I’m over it.。中身を明かさずに切り出す言い方から、一つずつ検討しながら当てっこを進める言い方、そして遊びを切り上げるサインまで、サプライズの伝え方には一連の型があることが見えてきます。同じ手がかりでも、切り出し方・推測の重ね方・切り上げ方でずいぶん表情が変わるのも興味深いところです。
次回も『ビッグバン★セオリー』の会話を通して、英語表現の型を見ていきましょう。
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