「let go of」の意味と使い方|『ホワイトカラー』S03E08で学ぶ英会話

「let go of」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

一度は担当を外れたはずの仕事なのに、気づけばまた同じ案件に口を出してしまっている——そんな居心地の悪さを覚えたことはありませんか。周りからは「もう引き継いだのに」と思われていても、自分では割り切れていないことがあるものです。

そんな心理にぴったりの「let go of」を、『ホワイトカラー』シーズン3第8話の序盤、担当を外れたはずの美術品捜査に固執するピーターの様子を、盟友のモジーが見抜くやり取りから、一緒に見ていきましょう。

目次

「let go of」の意味とニュアンス

let go of
意味:〜を手放す、〜への執着をやめる

let go of は、握っていた手を開いて離す動作が土台にあり、of の後ろに「役割」「人」「感情」「考え」といった手放す対象を置くことで、比喩的に「執着をやめる」「関わりを断つ」という意味になります。文字どおりの手を離す物理的な動作から、心理的な執着を手放す場面まで、幅広く使える表現です。

このドラマのシーンでは、書類上は役割を引き継いだ(hand over)はずなのに、気持ちの面では捜査を手放していない(wouldn’t let go of)という対比の中でこの表現が使われています。役職や仕事を正式に人へ譲った後も、実際には手を引けずにいる状況を表すときにぴったりの言い回しです。

似た表現に give up がありますが、give up は「続けること自体をやめる」ことに重点があるのに対し、let go of は握っていたものを手放す感覚に近く、感情や執着にも使いやすいという違いがあります。

【ここがポイント!】

  • 「let go of」の核は、握っていた手をそっと開いて離す動作のイメージ
  • 書類上の引き継ぎと心の中の執着のズレを表せる、対比に強い表現
  • of の後ろに対象を置く形を覚えると、感情にも仕事にも応用できる

『ホワイトカラー』S03E08のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

美術品を巡る捜査がFBI内部からD.C.の専門部署へ引き継がれたはずの状況で、ニールの相棒モジーは、直前に隠し撮りした映像からピーターの動向を読み取り、まだ捜査に未練を残しているその執着ぶりをニールに報告します。書類上の引き継ぎと、実際の心理状態のズレという、このシーンならではの対比に注目してみてください。

Neal: Not good, Moz. Peter’s still looking into the art from the u-boat?
(良くないね、モズ。ピーターはまだUボートの美術品を調べているのか?)

Mozzie: Yeah, he’s not one to give up.
(ああ、彼は簡単に諦める男ではない。)

Neal: I thought he handed the investigation over to D.C. Art Crimes.
(捜査はD.C.の美術犯罪課に引き継いだと思っていたけど。)

Mozzie: He may have handed over the partial manifest, but he wouldn’t let go of the investigation.
(積荷目録の一部は渡したかもしれないが、彼は捜査そのものを手放しはしないだろう。)

Neal: Think you can find out what he’s up to?
(彼が何を企んでいるか、調べられそうか?)

Mozzie: I’ll do what I can.
(できる限りのことはしよう。)

White Collar Season3 Episode8 (As You Were)

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シーン解説と心理考察

Uボートに眠っていた美術品を巡る捜査の行方について、ニールとモジーが言葉を交わす場面です。表向きこの捜査はFBI内部からD.C.の専門部署へ引き継がれたはずですが、モジーは「積荷目録の一部を渡しただけで、捜査そのものは手放していない」というピーターの本音を見抜いています。

ここで効いてくるのがlet go ofです。書類上の引き継ぎ(hand over)と、実際の心理的な執着(wouldn’t let go of)との対比が、フレーズの働きをくっきりと際立たせています。

直前の場面でモジーがピーターとダイアナの密談をひそかに撮影していたことからも分かるように、モジーは常にピーター(モジー曰く”the Suit”)の動きを警戒しています。宝の行方を巡る攻防が水面下でまだ続いていることが、二人のやり取りからさりげなく伝わってきます。

『ホワイトカラー』流・覚え方のコツ

何かを固く握りしめた手を、ゆっくり開いて離す動作を思い浮かべてみましょう。let go(離す)+ of(〜から)という組み合わせが、そのまま「握っていたものから手を離す」比喩になっています。

このシーンでは、書類上は手放した(handed over)はずなのに、気持ちの面では握ったまま(wouldn’t let go of)という対比が描かれていました。形の上での引き渡しと、本当の意味での手放しの違いを、この場面と一緒に覚えておくと記憶に残りやすくなります。

例文で覚える「let go of」

let go of は、仕事から感情まで幅広い対象に使える表現です。日常・ビジネス・感情それぞれの場面で、3つの例文を確認していきましょう。

Even after retiring, he couldn’t let go of the company he built.
(引退した後も、彼は自分が築いた会社を手放せなかった。)
創業者が引退後も経営に口を出してしまう状況を説明する場面です。retire と let go of の対比が、権限移譲の難しさを際立たせています。

It’s time to let go of the past and move forward.
(過去を手放して、前に進むときだ。)
友人に前向きなアドバイスをする、カジュアルな場面です。move forward とセットで使うと、切り替えのニュアンスがより伝わります。

A: The new manager took over my old responsibilities.
B: Good. Now you can finally let go of that project.
(A:新しいマネージャーが私の以前の担当業務を引き継いだよ。)
(B:よかった。これでようやくあのプロジェクトを手放せるね。)
職場での引き継ぎについて話す、往復会話形式の例文です。役割を譲った後の安堵感が伝わる言い回しです。

あわせて覚えたい関連表現

give up (on)
(諦める)
give up は「続けることをやめる」ニュアンスが強く、努力や試み自体の放棄を指すことが多い表現です。let go of は握っていたものを手放す感覚に近く、感情や執着にも使いやすいという違いがあります。

hold on to
(〜にしがみつく、〜を保持し続ける)
let go of とちょうど反対の意味を持つ表現です。今回のシーンのように「let go of しない=hold on to している」という形で、対比的に使われることもあります。

move on (from)
((気持ちの整理をつけて)前に進む)
let go of が「手放す動作そのもの」に焦点を当てるのに対し、move on は手放した後に「新しい段階に進む」ことまで含むニュアンスがあります。

Note|引き継いだはずが、まだ手放していない ― アメリカ職場文化の「権限移譲」の建前と本音

役職や仕事を正式に人へ譲る「権限移譲」は、アメリカのビジネス文化でもたびたび話題になるテーマです。書類上の引き継ぎと、実際の心理的な執着との間には、しばしば大きな隔たりがあります。

アメリカの職場では、マネジメント論の文脈で delegation(権限移譲)の重要性がよく語られます。役職や担当業務を後任に譲ったはずのリーダーが、細部への口出しをやめられない状態は、部下のモチベーションを下げる典型的な失敗例として、ビジネス書やコラムで繰り返し取り上げられてきました。日本語の「院政を敷く」という言葉が示す状況とも重なる部分があり、正式な引き継ぎ(hand over)と実際の手放し(let go of)のズレは、国や文化を問わず起こりうる職場の悩みだと言えます。

今回のシーンでピーターが見せていたのも、まさにこの「引き継いだはずが手放せない」心理でした。let go of という一語には、こうした立場と本音のギャップを表す力が込められています。

役割を譲ることと、気持ちの整理をつけることは、必ずしも同時には進まないものです。

まとめ|モジーの見立てに宿る、手放さない執念

let go of は、握っていたものを手放す動作から転じて、仕事や感情への執着を手放すという意味を持つ表現です。

役割を人に譲った後もつい口を出してしまう場面や、過去の出来事をなかなか吹っ切れない場面で、この一言が状況を的確に言い表してくれます。

積荷目録の一部だけを渡し、捜査そのものは手放さなかったピーターの本音を見抜いたモジーの観察眼は、この物語を通じて繰り返し発揮される力の一端だったのかもしれません。

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