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何か大きな計画を進めるとき、いざという瞬間に慌てないよう、頼れる相手や必要な人材をあらかじめ確保しておくと安心できるものです。土壇場になってから探し始めるのでは間に合わないことも多く、前もっての段取りが物事の成否を分けることは少なくありません。
そんな抜け目のない段取りにぴったりの「line someone up」を、『ホワイトカラー』シーズン3第9話の序盤、盗み出したナチス由来の美術品の噂が広まり始めたことに焦るモジーと、それでも冷静さを崩さないニールのやり取りから、一緒に見ていきましょう。
「line someone up」の意味とニュアンス
line someone up
意味:(何かの目的のために)人を事前に手配する、確保しておく
line up はもともと「物や人を一列に並べる、整列させる」という意味の句動詞です。誰かをその列に並ばせておくというイメージから、line someone up は「何らかの役割・目的のために、あらかじめ人材を確保しておく」という意味で使われるようになりました。
この表現が持つ響きは、単に「頼んでおく」というだけでなく、事前に段取りを済ませて準備万端にしておくというビジネスライクなニュアンスです。イベントの登壇者を確保する場面や、仕事の依頼先をあらかじめ手配しておく場面など、計画性や先を見越した準備を評価するような文脈で好んで使われます。
似た響きを持つ set someone up と混同しやすい表現ですが、ニュアンスは大きく異なります。set someone up は文脈次第で「(人を)陥れる、罠にはめる」という否定的な意味にもなり得るのに対し、line someone up にそうしたネガティブな含みはなく、純粋に「必要な人材を段取りよく確保しておく」という前向きな行為を指します。
【ここがポイント!】
- 「line someone up」の核は、何かの目的のために人をあらかじめ一列に並べて確保しておくイメージ
- set someone up のような否定的な含みはなく、段取りの良さを評価する響きを持つ
- ビジネスシーンで、登壇者や協力者の手配状況を伝える際によく使われる
『ホワイトカラー』S03E09のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ナチス由来の美術品を積んだUボートの財宝を手に入れたニールとモジーですが、その存在が世間に少しずつ漏れ始めていることに気づき、二人で対応を話し合う場面です。モジーはFBIの捜査官たち(モジーが「スーツ」と呼ぶピーターたち)がD.C.の美術犯罪班まで巻き込んでいることを引き合いに出し、秘密が漏れる危うさをニールに訴えます。
Mozzie: Yeah, but the suit and his suit cohorts brought in D.C. Art Crimes, one of whom was willing to spill the Nazi beans in a hotel bar.
(ああ、だがスーツとその取り巻きたちがD.C.の美術犯罪班を呼び寄せて、その中の一人がホテルのバーでナチスの秘密をペラペラ喋る羽目になったんだぞ。)Neal: Uh-huh. She thought I was Interpol.
(ふうん。その女は僕をインターポールの人間だと思い込んでたよ。)Mozzie: My point exactly.
(まさにそこが言いたかったことだ。)Neal: I get it, Moz. Secrets can’t be kept forever. But no one can trace this to us. Except Hale, who I’ve already lined up to fence the Degas.
(わかってるよ、モジー。秘密は永遠には隠せない。でも、僕らまで辿り着ける者はいない。ドガをさばく相手として、もう手配してあるヘイルを除けばね。)White Collar Season3 Episode9 (On the Fence)
シーン解説と心理考察
秘密を漏らすまいと神経を尖らせるモジーは、FBIの捜査網がD.C.の美術犯罪班にまで広がっている事実を突きつけ、ニールに警戒を促します。ホテルのバーで口を滑らせた捜査官がいたという話は、モジーにとって「秘密はいつか漏れる」という不安を裏づける具体的な根拠であり、皮肉屋らしい淡々とした口調の裏に苛立ちがにじみます。対するニールは「その女は僕をインターポールの人間だと思い込んでたよ」と、深刻な話をどこか軽い調子で受け流し、モジーの懸念にすぐには本腰を入れません。
しかしモジーが「My point exactly(まさにそこが言いたかった)」と鋭く切り返すと、ニールも「わかってるよ、モジー」と一歩譲り、秘密が永遠には守れないという現実を認めます。それでもすぐに「でも、僕らまで辿り着ける者はいない」と自信をのぞかせるのがニールらしいところで、唯一の例外として名前を挙げるのがすでに手配済みのヘイルです。この一言は、盗品を現金化するための故買屋を先手を打って確保しているという、ニールの抜け目のなさを端的に示しています。慎重に構えるモジーと、リスクを織り込み済みで淡々と段取りを進めるニール。この対比が、緊張しながらもどこか軽妙な二人のやり取りに独特のリズムを生んでいます。
『ホワイトカラー』流・覚え方のコツ
複数の候補者や協力者を、まるで面接や採用の順番待ちのように「一列に並ばせておく」イメージを持つと、この表現は覚えやすくなります。line(列)に沿って、必要なときにすぐ動ける人をあらかじめ並べておく感覚です。
劇中でニールが語った「もう手配してあるヘイル」というひと言も、まさにこの「いざというときのために一列の先頭に並べておいた人材」というイメージそのものです。財宝の噂が漏れて状況が緊迫する中でも、抜け目なく次の一手を段取り済みにしているニールの余裕が、このフレーズの持つ「準備万端」の響きとぴたりと重なります。
例文で覚える「line someone up」
仕事の依頼からイベントの準備まで、line someone up を、3つの例文で確認していきましょう。
We’ve already lined up a speaker for next month’s seminar.
(来月のセミナーの登壇者は、もう手配してあります。)
イベント準備の進み具合を報告する場面です。already を添えることで、段取りがすでに済んでいる安心感が伝わります。
I’ve lined up a few contractors to give us quotes.
(見積もりを出してもらう業者を何社か手配しておいたよ。)
工事や外注先の手配状況を共有する場面です。a few を使うことで、複数の候補を比較検討している段階であることが伝わります。
Can you line someone up to cover my shift this weekend?
(今週末、僕のシフトを代わってくれる人を誰か手配してもらえる?)
職場でシフトの代役を頼むカジュアルな場面です。疑問形にすることで、相手に段取りを頼む柔らかい依頼になります。
あわせて覚えたい関連表現
set someone up
((人に)ある状況・役割を用意する、場合によっては陥れる)
line someone up が「事前に確保・手配する」という段取りの意味合いが強いのに対し、set someone up は文脈次第で「陥れる、罠にはめる」というネガティブな意味にもなる点に注意が必要です。
arrange for
(〜の手はずを整える)
line someone up よりもフォーマルで一般的な表現です。ビジネス文書やアナウンスなど、より硬い場面でも使いやすい言い回しです。
book someone
((人を)予約する、依頼して確保する)
講演者やパフォーマーなど、特定のサービス提供者を「予約」するニュアンスが強く、line someone up よりも用途が限定されます。
Note|line up・set up・arrange for、「手配する」表現の違い
「手配する」という同じ日本語に訳せる表現でも、line up・set up・arrange for が持つニュアンスにはそれぞれ違いがあります。
line up は、必要な人や物をあらかじめ段取りよく準備しておくという、計画性を評価するようなポジティブな響きを持つ表現です。一方 set up は文脈の幅が広く、単に「用意する」という意味でも使われますが、set someone up のように人が目的語になると「陥れる、罠にはめる」という意味に転じる場合がある点に注意が必要です。arrange for はより一般的でフォーマルな表現で、ビジネス文書やアナウンスなど、硬い場面にもなじみます。
同じ「準備しておく」という行為でも、選ぶ語によって伝わる印象は少しずつ違います。段取りの良さを前向きに評価したいのか、単なる手はずを説明したいのか。場面に応じてこれらを使い分けられると、英語表現の幅がぐっと広がります。劇中でニールが語った「もう手配してあるヘイル」という一言も、line up が持つ「先を見越した段取りの良さ」という響きがあってこそ、抜け目のなさが際立つ表現になっています。
まとめ|先手を打つ段取りの良さ
line someone up は、何かの目的のためにあらかじめ人材を確保・手配しておくという、計画性を感じさせる表現です。set someone up のような否定的な含みがないことを覚えておけば、ビジネスの場面でも安心して使えます。
イベントの登壇者を確保するときも、仕事の依頼先を手配するときも、この一言があれば段取りの良さをそのまま伝えられます。
財宝の噂が漏れ始めて緊迫する状況でも、故買屋のヘイルをすでに確保していたニールの一言には、リスクを織り込みながら次の一手を先回りして打っておく、元詐欺師らしい抜け目のなさが表れていると言えます。


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