「have one’s heart set on」の意味と使い方|『ホワイトカラー』S03E09で学ぶ英会話

「have one's heart set on」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

代わりの案を出しても見向きもされないほど、特定の一点にこだわり抜いている人がいます。他の選択肢では絶対に納得してもらえないと分かっているとき、その執着の強さを言葉にしたくなる瞬間があります。

そんな強いこだわりにぴったりの「have one’s heart set on」を、『ホワイトカラー』シーズン3第9話の序盤、盗品の絵画をさばく相手として手配された故買屋ヘイルと、代替案を提案しようとするニールのやり取りから、一緒に見ていきましょう。

目次

「have one’s heart set on」の意味とニュアンス

have one’s heart set on
意味:(あるもの)を強く望んでいる、それに心を奪われている

have one’s heart set on は、心臓(heart)をある対象の上に「置いている(set on)」という直訳のとおり、単に「欲しい」というレベルを超えて、心そのものがそのものに固定されているというニュアンスを持つ表現です。set one’s heart on とほぼ同じ意味で、set は「決意する」という動作、have は「その状態にある」という点にそれぞれ焦点がありますが、実際の使用ではほぼ同義で使われます。

この表現は、感情的な強いこだわりや執着を表すため、代替案では簡単に納得してもらえないという状況でよく使われます。誰かが特定の商品・進路・目標に強くこだわっていて他の選択肢を受け入れない、という文脈で使うと、その頑なさが的確に伝わります。

似た響きを持つ be keen on と比べると、こだわりの強さの違いがはっきりします。be keen on が「とても興味がある、好きだ」という程度の穏やかな熱意を表すのに対し、have one’s heart set on はそれよりもずっと強く、心そのものが対象に固定されて動かないという切実さを帯びた表現です。だからこそ、周囲がいくら別の選択肢を勧めても、当人の気持ちはまったく動かない、という頑なさまで含めて伝えたいときに選ばれる言い回しでもあります。

【ここがポイント!】

  • 「have one’s heart set on」の核は、心そのものが特定の対象に固定されて動かないというイメージ
  • 代替案を出しても簡単には納得してもらえない、強いこだわりを表すときに使われる
  • be keen on よりもずっと強い、切実な執着のニュアンスを持つ

『ホワイトカラー』S03E09のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

盗品の絵画をさばく相手として、ニールはすでに故買屋のヘイルを手配しています。しかしヘイルは約束されたドガの受け渡しを催促してきており、ニールは事情が複雑化したことを認めつつ、代わりの品を提案しようとします。

Hale: I’ll settle for that Degas you keep promising.
(お前がずっと約束してるあのドガで手を打つとするか。)

Neal: It’s coming. Soon. Yeah, we had a minor complication. What if we could get you something better?
(近いうちに手に入る。もうすぐだ。ああ、ちょっとした厄介事があってね。もっといい物を用意できるとしたらどうだ?)

Hale: Well, my buyer has his heart set on that Degas —
(いや、うちの買い手はあのドガにすっかり心を奪われてるんでね……)

Neal: Before we can move any of it, do you know a fence named Raquel Laroque?
(そいつを動かす前に聞きたいんだが、ラクエル・ラロックという故買屋を知ってるか?)

White Collar Season3 Episode9 (On the Fence)

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シーン解説と心理考察

「約束されたドガで手を打つ」というヘイルの一言には、絵画そのものの受け渡しを急かす催促の色がにじみます。ニールは「It’s coming. Soon.」と時間を稼ぎつつ、「ちょっとした厄介事があった」ことを認め、代わりの品を提案しようとします。財宝を巡る事情が複雑化する中で、なんとか約束を果たそうとするニールの苦しい立ち回りが表れている場面です。

しかしヘイルは代替案には興味を示さず、「うちの買い手はあのドガに心を奪われている」ときっぱりと退けます。買い手が特定の一点に強くこだわっているという事実は、交渉の余地がほとんどないことを示しており、ニールにとってはさらにプレッシャーが増す展開です。話題を変えたニールが「ラクエル・ラロック」という別の故買屋の名前を尋ねる場面につながり、事態が新たな方向へ展開していくことが示唆されます。代替案があっさり退けられたことで、ニールが次の一手を探さざるを得なくなる、その切り替えの早さにも注目したい場面です。

『ホワイトカラー』流・覚え方のコツ

心臓(heart)を、まるでコンパスの針のようにひとつの対象(on 以下)にピタリと固定して置いてしまうイメージを持つと、この表現は覚えやすくなります。他の選択肢には目もくれず、心そのものがその一点に据えられている感覚です。

劇中では、買い手がドガという一点にこだわり抜き、代替案を受け付けないという強いこだわりを表す場面で使われています。ニールが持ちかけた「もっといい物」という提案がまったく響かなかったのも、まさに心がすでに固定されて動かせない状態だったからだと考えると、フレーズの持つ切実さが実感として伝わってきます。

例文で覚える「have one’s heart set on」

家族の進路の話から交渉が難航する場面まで、have one’s heart set on を、3つの例文で確認していきましょう。

My daughter has her heart set on that university.
(娘はあの大学にすっかり心を奪われているんだ。)
家族の進路の希望について話すカジュアルな場面です。娘の強い意志が、他の選択肢を寄せつけないほどのこだわりとして伝わります。

The client has her heart set on the original design, so changes may be difficult.
(クライアントは元のデザインに強くこだわっているので、変更は難しいかもしれません。)
交渉が難航しそうな状況を報告するフォーマルな場面です。so changes may be difficult を添えることで、説得の難しさが具体的に伝わります。

They had their hearts set on that house, but it was sold before they could make an offer.
(彼らはあの家にすっかり心を奪われていたが、申し込む前に売れてしまった。)
欲しかったものを逃してしまった状況を語るカジュアルな場面です。but 以下を添えることで、強い執着とその後の落胆が対比的に伝わります。

あわせて覚えたい関連表現

set one’s heart on
(〜に心を決める、〜を強く望む)
have one’s heart set on とほぼ同じ意味を持つ表現です。set は「決意する」という動作、have は「その状態にある」という点に焦点がありますが、実際の使用ではほぼ同義で使われます。

be dead set on
(〜に断固としてこだわっている)
have one’s heart set on よりも強く、頑固で譲らないニュアンスが加わります。感情的なこだわりというより、意志の固さを強調したいときに使われます。

be keen on
(〜に熱心である、〜を強く好む)
have one’s heart set on ほどの強い執着ではなく、単に「とても興味がある・好きだ」という程度の熱意を表す、より穏やかな表現です。

Note|「心を置く」という発想はどこから生まれたのか

heart(心)をある対象の上に「置く(set on)」という発想は、感情を物理的な行為になぞらえる比喩表現のひとつです。心を持ち運べるものとして扱い、それを特定の場所に据え置くというイメージは、日本語の「心を奪われる」「心を寄せる」といった表現とも通じるところがあります。

英語には、心や感情を空間的な位置関係で語る比喩表現が数多く存在します。set one’s heart on もそのひとつで、対象の「上に」心を置くことで、視線や関心がそこから離れないというニュアンスを生み出しています。単に「欲しい」と言うよりも、心そのものが物理的にそこへ固定されているという表現のほうが、こだわりの強さをより鮮やかに伝えられるからこそ、この言い回しは長く使われ続けてきたと考えられます。

劇中でヘイルが語った「うちの買い手はあのドガに心を奪われている」という一言も、まさにこの比喩の力を借りたひと言です。代替品では決して埋められない一点への執着を、心を対象の上に据え置くというイメージで表現することで、交渉の余地のなさが一段と際立って伝わってきます。

まとめ|代替案では埋められない、心の在りか

have one’s heart set on は、特定の対象に心そのものが固定されて動かないという、強いこだわりを伝える表現です。set one’s heart on との言い換えや、be keen on との強さの違いを押さえておけば、感情のニュアンスを的確に使い分けられます。

家族の進路について話すときも、交渉が難航しそうな状況を説明するときも、この一言があれば「代替案では納得してもらえない」という切実さをそのまま伝えられます。

代替品を提案してもあっさり退けられたニールの一言には、買い手の執着の強さを前に、次の一手を考え直さざるを得ない交渉の難しさが表れていると言えます。

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