海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
入念に準備をしたはずなのに、結果は運次第だったと思われてしまうと、なんだか物足りない気持ちになりませんか。
そんな場面で使われる「leave something to chance」を、『ホワイトカラー』シーズン2第6話の終盤、潜入捜査中のポーカーで見事に大勝ちしたニールに、ピーターが疑いの目を向けるやり取りから、一緒に見ていきましょう。
「leave something to chance」の意味とニュアンス
leave something to chance
意味:〜を運任せにする、成り行きに任せる
leave something to chance は、chance(偶然・運)に何かを「委ねる(leave)」という構造から、準備や工夫をせず、結果を偶然に委ねるという意味になります。多くの場合、否定文や疑問文で「〜を運任せにはしない」という、周到さや計画性を強調する文脈で使われます。
重要な計画や試験の前に入念な準備をしたことを語る場面、逆に無計画な行動をたしなめる場面など、準備の有無や周到さの度合いを話題にするときに自然と登場する表現です。leave nothing to chance(何ひとつ運任せにしない)という形も非常によく使われ、徹底ぶりを強調する定番の言い回しになっています。
肯定文で使うと「結果を偶然に委ねる」という中立的な描写にもなりますが、実際の会話では否定形とセットで使われることが圧倒的に多く、計画性の高さを暗に自慢するようなニュアンスを帯びやすい表現でもあります。
【ここがポイント!】
- 「leave something to chance」の核は、結果をサイコロの目のような偶然に委ねてしまうイメージ
- 否定文で使われることが多く、周到さや計画性を強調する場面で活躍する
- leave nothing to chance の形で「徹底ぶり」を伝える定番表現になるのが実用上のコツ
『ホワイトカラー』S02E06のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
潜入捜査中のポーカーゲームで、ニールが見事な手役で大勝ちした直後の場面です。ピーターは「イカサマをしただろう」と半ば冗談交じりに問いただし、ニールは涼しい顔で切り返します。長年のパートナーだからこそ成立する、軽妙な駆け引きに注目です。
Peter: You cheated, right?
(お前、イカサマしただろ?)Neal: Peter, you insult me.
(ピーター、心外だな。)Peter: There’s no way you would have left it to chance.
(お前が運任せにするわけがない。)Neal: A true gambler never reveals his strategy.
(本物のギャンブラーは、自分の手の内を明かさないものさ。)White Collar Season2 Episode6 (In the Red)
シーン解説と心理考察
大勝ちしたニールに対してピーターが真っ先に投げかけるのは、「イカサマをしただろう」という半ば冗談交じりの疑いです。ニールは「心外だな」と涼しい顔で切り返しますが、この返しは否定とも肯定とも取れない曖昧な言い方にとどまっています。ピーターはすぐさま「お前が運任せにするわけがない」と、ニールの手腕を誰よりも知っているからこその皮肉を重ねます。ニールの「本物のギャンブラーは手の内を明かさない」という返しは、イカサマを否定も肯定もしない絶妙な言い回しであり、元詐欺師としての彼の身上そのものを体現しています。長年のパートナーであるピーターだからこそ成立する、信頼と疑念が入り混じった軽妙なやり取りが、二人の関係性の深さを感じさせる場面です。答えをはぐらかしながらも息の合った掛け合いになっている点に、この二人ならではの呼吸のよさが表れています。イカサマを疑いながらも本気で咎めるふうではないピーターの態度からは、ニールの手腕への一種の信頼にも似た感情がにじみ出ています。
『ホワイトカラー』流・覚え方のコツ
サイコロを振って結果を天に任せる人と、あらかじめすべての可能性を計算して手を打つ人を対比してイメージしてみましょう。leave A to chance は、A という結果をサイコロの目のような偶然に「置いていく」感覚です。
劇中でピーターが「ニールが運任せにするはずがない」と言う場面も、彼がいかに周到に計算して勝ちを掴んだかを暗に示すニュアンスとして響いてきます。運に頼る人物像とは正反対の、緻密な計算を重ねるニールという人物像を思い浮かべながらこの表現を捉えると、否定文で使われる理由もあわせて記憶に残りやすくなります。目に見えるサイコロを転がす動作と、水面下で着実に手を打っている静かな計算とを対比させておくと、フレーズが持つ「意図的な周到さ」という核心がぶれずに残ります。
例文で覚える「leave something to chance」
イベントの準備から仕事の場面まで、leave something to chance を3つの例文で確認していきましょう。
We didn’t leave anything to chance during the wedding preparations.
(結婚式の準備では、何ひとつ運任せにしなかった。)
入念な準備を語る場面です。didn’t leave anything to chance という否定形で、徹底した周到さを表しています。
In business, you can’t afford to leave important decisions to chance.
(ビジネスでは、重要な決断を運任せにする余裕はない。)
計画性の重要性を説くビジネスの場面です。can’t afford to と組み合わせることで、運任せにするリスクの大きさが強調されます。
A: Are you nervous about the presentation tomorrow?
B: Not really. I’ve rehearsed every slide, so I’m not leaving anything to chance.
(A:明日のプレゼン、緊張してる?)
(B:そうでもないよ。全スライド練習したから、何も運任せにしてないんだ。)
仕事の準備状況を友人に話す会話です。rehearsed という具体的な準備の描写と組み合わせることで、周到さの根拠が伝わります。Not really. という控えめな返答から入ることで、自信を押し付けがましく語らない自然な調子にもなっています。
あわせて覚えたい関連表現
take a chance
(一か八かやってみる、賭けに出る)
leave something to chance が「結果を偶然に委ねる」という受動的なニュアンスなのに対し、take a chance は自ら進んでリスクを取る能動的な行動を表します。
play it safe
(安全策を取る、無難に行動する)
leave nothing to chance(何も運任せにしない)と近い文脈で使われることが多いものの、play it safe はリスク回避そのものに焦点があります。
gamble on something
(〜に賭ける、〜に運を委ねる)
leave something to chance よりも「賭け」という行為そのものを強調する表現で、意図的にリスクを取るニュアンスが強くなります。
Note|leave something to chance / take a chance / gamble on の使い分け
「運」に関わる英語表現には、leave something to chance のほかにも take a chance や gamble on something など、いくつもの選択肢があります。同じ「運」を扱っていても、話し手が受け身なのか能動的なのかによって、選ぶべき表現は変わってきます。
leave something to chance は、あくまで結果を偶然に「委ねてしまう」という受け身の姿勢を表す表現です。多くは否定文で使われ、「そんな委ね方はしない」という周到さの主張として機能します。一方 take a chance は、リスクがあると分かった上で自ら一歩を踏み出す能動的な決断を表し、gamble on something はその中でもとりわけ賭けの要素を強調した、思い切りのよさが際立つ言い方です。この3つを受動から能動へのグラデーションとして並べてみると、同じ「運」というテーマでも、話し手がどのくらい主体的に関わっているかによって表現を選び分けられることが見えてきます。劇中でピーターが使った否定形の leave it to chance も、まさにこの受動側の用法にきれいに当てはまります。運任せにしないと言い切ることで、逆にニールの周到さを際立たせる効果を生んでいます。皮肉や疑いの言葉として使いながらも、結果的には相手への評価を高めてしまうという、否定形ならではの効果もこの場面から読み取れます。
受け身か能動かという軸を持っておくと、「運」にまつわる表現の使い分けがぐっと整理されます。
計算ずくの勝利を、あえて運のせいにしないという言い回しに、この使い分けの妙が凝縮されています。誰の行動を語っているのかを意識するだけで、同じ「運」の話題でもぐっと表現の幅が広がります。
まとめ|運任せにしない、という宣言
leave something to chance は、結果を偶然に委ねてしまうことを表す表現で、多くは否定文で使われて周到さや計画性を際立たせます。サイコロの目に委ねる人と、緻密に計算する人という対比のイメージを持っておくと、準備の徹底ぶりを語る場面で自然に使えるようになります。
大事な計画の前にどれだけ準備を重ねたかを語るときも、無計画な行動をたしなめたいときも、この一言で周到さの度合いを端的に伝えられます。
イカサマとも取れる大勝ちを、涼しい顔で「手の内を明かさない」とかわしたニールの姿には、長年の経験に裏打ちされた計算高さが表れていると言えます。疑いながらも信頼を隠しきれないピーターとのやり取りに、この二人ならではの息の合った関係性が滲む一幕でした。答えをはぐらかしながらも互いの手の内を分かり合っているような掛け合いは、長年の付き合いがあってこそ成立する呼吸と言えます。


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