海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
見張っていたはずなのに、肝心なところで見逃してしまうような場面が、日常にもあります。
そんな場面にぴったりの「right under one’s nose」を、『ホワイトカラー』シーズン5第3話の終盤、張り込みを任されていたニールとシーゲルが、絵画の盗難を防げなかったことでピーターに叱責される場面から、一緒に見ていきましょう。
「right under one’s nose」の意味とニュアンス
right under one’s nose
意味:すぐ目の前で、灯台下暗しに
right under one’s nose は、right(まさに)+ under one’s nose(鼻の下)という組み合わせで、物理的にすぐ近く、気づいていて当然の場所で何かが起きていたことを表す慣用句です。特に、見ていたはずなのに気づかなかった、あるいは防げなかったという皮肉や非難のニュアンスを伴って使われます。
The suspect was hiding right under our noses. のように、監督・監視していた側の落ち度を指摘する場面で使われることが多く、逆に I found it right under my nose. のように、身近すぎて逆に気づかなかった物事を発見する場面でも使われます。
nose(鼻)という体の中でも特に目の前にある部位を使うことで、「気づけたはずなのに」という距離の近さが強調される表現です。距離の近さそのものが皮肉の強さに直結するため、離れた場所での見落としよりも、はるかに強い非難のニュアンスを帯びる言い回しになっています。
【ここがポイント!】
- 「right under one’s nose」の核は、すぐ目の前にありながら見過ごしてしまうイメージ
- 見張っていた側の落ち度を指摘する場面で使われやすい表現
- 発見の驚きを表す場面にも使える、非難・驚き両方に対応できるのがコツ
『ホワイトカラー』S05E03のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
張り込みを任されていたニールとシーゲルは、絵画が盗まれたことをピーターから厳しく叱責されます。二人がどう応じるのか、そのやり取りに注目です。
Peter: The two of you sat outside the Gershon and let a thief steal a painting right under your noses.
(お前たち二人はゲルションの外に張り込んでおきながら、目と鼻の先で泥棒に絵を盗ませたんだぞ。)— There’s no excuse, sir.
(弁解の余地もありません。)— We’re gonna find him, Peter.
(必ず奴を見つけ出します、ピーター。)Peter: Yeah? How do you plan to do that? You have no evidence, no positive I.D.
(本当か? どうやって見つけるつもりだ? 証拠もない、身元確認もできていないのに。)White Collar Season5 Episode3 (One Last Stakeout)
シーン解説と心理考察
張り込みの最中に絵画を盗まれたニールとシーゲルは、ピーターから厳しく叱責されます。「目と鼻の先で泥棒に盗ませた」というピーターの言葉には、二人がすぐそばにいながら防げなかったことへの強い苛立ちが表れています。
二人のうちどちらかが「弁解の余地もありません」と即座に謝罪し、もう一方が「必ず見つけ出します」と巻き返しを誓う様子は、対照的な反応でありながらも、失態を取り返そうとする姿勢では共通しています。それでもピーターは「証拠も身元確認もないのに、どうやって見つけるつもりだ」と冷静に切り返し、感情論では終わらせない現実的な課題を突きつけます。結果を出せなかった部下を厳しく問い詰めながらも、次の一手を求める捜査官としての姿勢がこのやり取りに表れています。声を荒げるのではなく、具体的な材料の有無を淡々と確認していく問い方には、感情に流されず捜査を前に進めようとするピーターの冷静さが色濃く表れています。
『ホワイトカラー』流・覚え方のコツ
right under one’s nose を覚えるコツは、自分の鼻のすぐ下で何かが起きているのに、それに気づかないまま見過ごしてしまう様子を思い浮かべることです。一番近くにあるものほど、逆に見えなくなるという灯台下暗しのイメージが、right という「まさに」を意味する強調語と結びつくことで、「すぐそこで起きていたのに」という驚きや非難のニュアンスが記憶に残ります。
ピーターがニールとシーゲルに向けた「目と鼻の先で盗ませた」という叱責も、まさにこの灯台下暗しの状況そのものでした。見張っていたはずの場所で起きた見落としというシーンごと覚えておくと、非難のニュアンスを伴うこの表現の性質も自然と身につきます。
例文で覚える「right under one’s nose」
見落としに気づく場面から不正の発覚まで、right under one’s nose を、3つの例文で確認していきましょう。
The suspect was hiding right under our noses the whole time.
(容疑者はずっと、私たちのすぐ目の前に隠れていたんだ。)
見落としに気づいて驚くニュースや会話の場面です。the whole time を添えることで、ずっと気づかなかった間の長さが強調されます。
I can’t believe the mistake happened right under my nose.
(自分のすぐ目の前でミスが起きていたなんて信じられない。)
管理不行き届きを悔やむビジネスの場面です。I can’t believe という驚きの表現が、見落としの深刻さを伝えます。
A: How did he cheat without anyone noticing?
B: He did it right under our noses.
(A:誰にも気づかれずにどうやって不正をしたんだ?)
(B:みんなの目の前で堂々とやったんだよ。)
不正やごまかしが発覚した場面の会話です。堂々とした振る舞いだったことが、返答からうかがえます。
あわせて覚えたい関連表現
in plain sight
(誰の目にも見える場所で、堂々と)
right under one’s nose が「見張っていた人の目の前」という主体との近さを強調するのに対し、in plain sight は単に「隠れておらず見える状態」であることを客観的に表す表現です。
blind spot
(死角、見落としがちな点)
right under one’s nose が物理的・比喩的な「近さ」に焦点があるのに対し、blind spot は「見えていない領域」そのものを指す名詞表現です。
hiding in the open
(公然と隠れている)
right under one’s nose が被害者・監督者側の視点から語られることが多いのに対し、hiding in the open は隠れている側の大胆さに焦点がある表現です。
Note|捜査ドラマで多用される”right under our noses”という定番フレーズ
right under one’s nose は、日常会話でも使われる表現ですが、犯罪・捜査を題材にした作品では特に頻繁に登場する定番フレーズのひとつです。
捜査ドラマの物語構造には、「見張っていたはずなのに、まんまと出し抜かれる」という展開が繰り返し組み込まれます。監視カメラの死角、聞き込みの盲点、あるいは今回のような張り込みの隙をついて事件が起きることで、犯人側の狡猾さと捜査側の悔しさの両方を同時に描くことができるためです。上司が部下を叱責する場面で right under our noses という表現が使われるのは、単なる非難の言葉というだけでなく、「これほど近くにいながら見抜けなかった」という捜査側の油断そのものを視聴者に印象づける効果も持っています。刑事ドラマや法廷ドラマにおいて、この一言が挟まれると、それまでの捜査に対する評価が一気に揺らぐ場面転換の合図として機能することも少なくありません。
ピーターがニールとシーゲルに向けた叱責も、まさにこの定番の展開に沿ったものでした。張り込みという地道な作業の裏で、思わぬ形で裏をかかれるという構図が、right under one’s nose という一言に凝縮されています。
物語の緊張感を一段引き締める、捜査ドラマならではの決まり文句と言えます。
まとめ|見張っていたはずの場所で起きる、見落とし
right under one’s nose は、すぐ目の前にありながら気づけなかったことを表す表現です。鼻のすぐ下で何かが起きているのに見過ごしてしまうというイメージを持っておくと、非難や驚きのどちらの場面でも使いこなしやすくなります。
見落としに気づいて驚く場面でも、管理の甘さを悔やむ場面でも、この一言があれば状況を的確に言い表せます。
張り込みの最中に絵画を盗まれたニールとシーゲルへのピーターの叱責と、それに対する二人の対照的な反応には、失態を取り返そうとする姿勢と、感情論では終わらせない上司の現実的な視点の両方が表れています。証拠もないまま巻き返しを誓う部下に、次の一手を求め続けるピーターの姿勢が印象に残る場面です。


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