「slip up」の意味と使い方|『ホワイトカラー』S05E03で学ぶ英会話

「slip up」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

緊張していたはずなのに、思わぬところでうっかり口を滑らせてしまった経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。

そんな場面にぴったりの「slip up」を、『ホワイトカラー』シーズン5第3話の終盤、盗難被害に遭い、所有者へ返却されるコレクションを点検しながら犯人の心理を読み解こうとするピーターとニールのやり取りから、一緒に見ていきましょう。

目次

「slip up」の意味とニュアンス

slip up
意味:うっかりミスをする、へまをする

slip up は、slip(滑る)+ up(上へ、完全に)という組み合わせで、注意していたはずなのに思わぬところで小さなミスを犯してしまうことを表す口語表現です。深刻な失敗というより、緊張や焦りから来る「うっかり」のニュアンスが強い表現です。

Even the best of us can slip up. のように、誰にでも起こり得るミスとして使われることが多く、犯人が思わぬところで証拠を残してしまう場面など、緊張状態でつい油断してしまう文脈で好んで使われます。

名詞形の a slip-up(うっかりミス)としても使われ、動詞・名詞のどちらでも日常的に使い勝手のよい表現です。深刻な過失を表す fault や error と違い、誰にでも起こり得る些細な失態というニュアンスを保ったまま使える点も、この表現の使いやすさにつながっています。

【ここがポイント!】

  • 「slip up」の核は、氷の上で思わずバランスを崩すような、うっかりのミス
  • 緊張や焦りが原因で起きる、深刻すぎない失敗を表す表現
  • 動詞にも名詞(a slip-up)にも使える、使い勝手のよさがコツ

『ホワイトカラー』S05E03のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

盗難被害に遭い、所有者へ返却されるコレクションを点検しながら、ピーターはニールに犯人の心理を読み解かせようとします。警報が鳴った状況をニールがどう分析するのか、そのやり取りに注目です。

Peter: You really think he left something behind.
(本当に、何か置き忘れたと思っているのか?)

Neal: Well, an alarm went off. That can cause the best of us to slip up.
(まあ、警報が鳴ったからね。それがあれば、どんなに腕のいい人間でもうっかりミスをすることがあるよ。)

Peter: All right. Let’s say you were the thief.
(分かった。お前が泥棒だったとしよう。)

Neal: You got a ski mask for me too?
(僕の分のスキーマスクも用意してくれるのかい?)

White Collar Season5 Episode3 (One Last Stakeout)

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シーン解説と心理考察

盗難被害に遭ったコレクションの返却前点検中、ピーターはニールに「本当に何か置き忘れたと思うのか」と尋ねます。ニールは「警報が鳴ったから」と理由を挙げ、「それがあれば、どんなに腕のいい人間でもうっかりミスをすることがある」と、犯人の心理を読み解くように答えます。ピーターはすぐに「よし、お前が泥棒だったとしよう」と、ニールに犯人役を演じさせて手口を探ろうとします。

「僕の分のスキーマスクも用意してくれるのかい?」というニールの軽口には、元詐欺師としての経験を生かして捜査に協力しながらも、深刻になりすぎない飄々とした余裕が表れています。ニールの犯罪者としての知見をあっさり頼りにするピーターの態度と、その役割を茶化しつつ楽しんでいるようなニールの反応が会話の温度を変えており、二人の独特の信頼関係がにじむやり取りになっています。

『ホワイトカラー』流・覚え方のコツ

slip up を覚えるコツは、氷の上でうっかり足を滑らせて体勢を崩す様子を思い浮かべることです。up(上へ、完全に)が加わることで、「ちょっと滑った」というより「気づかぬうちにバランスを完全に崩してしまった」という、注意していたはずなのに思わぬところでミスをしてしまうニュアンスが記憶に残ります。

警報という予期せぬ音で犯人が動揺し、うっかりミスを犯したかもしれないというニールの推理も、まさにこの足を滑らせるイメージそのものでした。緊張状態で不意を突かれる場面とセットで覚えておくと、深刻すぎないミスを表すこの表現の性質もつかみやすくなります。

例文で覚える「slip up」

運転の場面から緊張による失言まで、slip up を、3つの例文で確認していきましょう。

Even experienced drivers can slip up in bad weather.
(経験豊富なドライバーでも、悪天候ではうっかりミスをすることがある。)
運転や注意力について語る日常会話の場面です。even experienced drivers という言い方が、誰にでも起こり得るミスであることを強調します。

She was so nervous confessing her feelings that she slipped up and called him by her ex’s name.
(緊張しすぎて気持ちを打ち明けている最中に、うっかり元恋人の名前で呼んでしまった。)
緊張から来る感情の乱れを語る場面です。called him by her ex’s name という具体例が、動揺の大きさを伝えます。

A: How did they catch the culprit?
B: He slipped up and left his phone at the scene.
(A:犯人はどうやって捕まったの?)
(B:うっかりミスをして、現場に携帯を置き忘れたんだ。)
事件の顛末を説明する会話です。left his phone at the scene という具体的な描写が、うっかりミスの内容を鮮明にします。

あわせて覚えたい関連表現

make a mistake
(間違いを犯す)
slip up が「うっかり」という不注意さに焦点があるのに対し、make a mistake はより一般的でニュートラルなミスの表現です。

drop the ball
(しくじる、責任を果たせない)
slip up が単発の小さなミスを指すのに対し、drop the ball は任された責任・役割を果たせなかったというニュアンスが強い表現です。

mess up
(台無しにする、へまをする)
slip up が比較的小さな不注意のミスを指すのに対し、mess up はより広範囲でカジュアルに「やらかす」ことを表す表現です。

Note|slip(滑る)がup(完全に)と結びついて「うっかりミス」を表すようになった成り立ち

slip up という表現は、なぜ up という上向きの前置詞と結びついているのでしょうか。この組み合わせには、英語の句動詞に共通する、up が持つ「完了・徹底」のニュアンスが関係しています。

slip という単語は、もともと氷や濡れた床で足を滑らせるような、物理的な動作を表す語でした。そこに up が加わることで、単に「少し滑った」という一時的な動作ではなく、「滑ってバランスを完全に崩してしまった」という、動作の結果までを含めた意味に変化します。英語の句動詞では、eat up(食べ尽くす)、clean up(すっかり片付ける)、mess up(すっかり乱す)のように、up が「最後までやり切る・完全な状態にする」という意味を添えるパターンが数多く見られます。slip up の場合、この up が加わることで、物理的な「滑る」という動作が、比喩的な「注意していたのに、気づかぬうちに失敗してしまう」という心理的な動作へと転じたと考えられます。

犯人が警報という予期せぬ出来事に動揺し、思わぬ形で証拠を残してしまうというニールの推理も、まさにこの「滑ってバランスを崩す」イメージと重なります。緊張していたはずの場面で、ふとした拍子に足元をすくわれるという構図が、slip up という一語に凝縮されています。

物理的な動作が、心理的な失敗の比喩へとそのまま転じていく。slip up は、そんな英語らしい発想の広がりを体感できる表現です。

まとめ|緊張の隙をつく、小さなつまずき

slip up は、注意していたはずなのに思わぬところで犯してしまう、小さなミスを表す表現です。足を滑らせてバランスを崩すイメージを持っておくと、深刻すぎない「うっかり」のニュアンスが自然と伝わってきます。

仕事や運転で気を抜けない場面でも、緊張が続く状況でのミスを語る場面でも、この一言があれば状況を軽やかに言い表せます。

警報の音に動揺した犯人の心理を読み解こうとするニールの推理と、それに乗じて犯人役を演じさせようとするピーターの提案には、元詐欺師としての知見を捜査に生かしながらも、深刻になりすぎない二人の独特な信頼関係が表れています。軽口を交わしながらも手口を探ろうとする姿勢に、この二人ならではの捜査の進め方がうかがえる場面です。

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