海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
理不尽な扱いにどうしても納得できなくて、「もう、文句を言ってやる!」と相手に抗議の電話をかけたくなった経験はありませんか。
そんなときにぴったりの「give someone what for」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン6第21話の冒頭、お気に入りのドラマが打ち切られたことに怒ったシェルドンが、放送局に抗議の電話をかけてやると息巻くシーンから、一緒に見ていきましょう。
「give someone what for」の意味とニュアンス
give someone what for
意味:〜を叱りつける、〜に文句を言ってやる
相手の落ち度に対して強く抗議したり、厳しく叱責したりするときに使う口語表現です。日本語の「言ってやる」「目にもの見せてやる」「お灸をすえる」に近い、ややくだけた威勢のいい響きを持っています。
おもしろいのは、文中の what for がそのまま「叱責・お仕置き」を表す名詞句として働いている点です。直訳すると「誰かに『何のために』を与える」となり、一見すると意味が取りづらいのですが、「お前は何のためにこんなことをした、と問い詰める=叱りつける」というイメージでとらえると腑に落ちます。
理不尽な目に遭った相手に抗議する場面や、子どもや部下を厳しく叱る場面など、怒りや不満をぶつける状況で広く使われます。芝居がかった威勢のよさを伴うため、深刻というよりはどこか威勢よく啖呵を切るニュアンスで響くことが多い表現です。
【ここがポイント!】
- 「what for」が丸ごと「叱責・お仕置き」を表す、ちょっと変わった成り立ちの表現
- 「言ってやる」「お灸をすえる」に近い、威勢のいいくだけた響き
- 深刻な叱責というより、啖呵を切るような勢いで使われることが多いのがコツ
『ビッグバン★セオリー』S06E21のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
お気に入りのドラマ『Alphas』が、続きの気になる終わり方のまま打ち切られたことに、シェルドンはどうしても納得できずにいます。ペニーが「自分で結末を考えれば」と軽く流そうとしますが、シェルドンは収まらず、ついに放送局に直接かけあうと宣言します。その啖呵に、まさに「give them what for」が飛び出します。
Sheldon: Oh, sure, what a wonderful idea. And after that, I’ll make up my own rules of oral hygiene. You know, instead of flossing, I’ll rub pudding on my gums. I’m going to get the number of the SyFy Channel and give them what for.
(ああ、いいとも、なんて素晴らしいアイデアだ。そのあとは口腔衛生のルールも自分で作るとしよう。フロスの代わりに、歯茎にプリンを塗りこむのだ。SyFyチャンネルの番号を調べて、文句を言ってやる。)Penny: I feel bad for whoever gets that phone call.
(その電話を受ける人がかわいそう。)The Big Bang Theory Season6 Episode21(The Closure Alternative)
シーン解説と心理考察
シェルドンにとって「区切りのなさ」は耐えがたいもので、その不満がそのまま放送局への抗議という形であふれ出しています。ペニーの「自分で結末を考えれば」という提案を、彼は皮肉たっぷりに「ならば口腔衛生のルールも自分で作る」と切り返し、いかに馬鹿げた提案かを論破しようとするあたりに、彼らしい理屈っぽさがにじむ場面です。
そのうえで放り込まれる「give them what for」は、怒りを理性的な言葉で包みながらも、どこか芝居がかった威勢のよさが会話の温度を変えています。受け手を気の毒がるペニーの一言が、シェルドンの意気込みのおおげささをやわらかく見せています。怒っているのに、どこか憎めない——そんな彼の魅力が一言ににじむ場面です。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
what for は本来「何のために?」という問いかけです。それを相手に「投げつける(give)」と想像してみてください。「お前、何のためにこんなことをした!?」と詰め寄って問い詰める——その勢いそのものが「叱りつける/文句を言ってやる」になります。受話器を握りしめ、放送局に「なぜ打ち切った!」と問い詰めようとするシェルドンの姿を思い浮かべれば、give someone what for の威勢のいいトーンがすっと記憶に残ります。
例文で覚える「give someone what for」
抗議の電話から子どもの叱責まで、怒りや不満を威勢よくぶつける場面で活躍する表現です。3つの例文で使い方の幅を見ていきましょう。
If the delivery is late again, I’m going to call the company and give them what for.
(また配達が遅れたら、会社に電話して文句を言ってやる。)
サービスへの不満から抗議しようとする場面です。シェルドンのセリフと同じく、「電話して言ってやる」という啖呵のニュアンスがよく出ています。
My grandmother gave the rude waiter what for when he ignored us.
(祖母は、私たちを無視した失礼なウェイターを叱りつけた。)
身近な人が誰かを叱る様子を語る場面です。過去形にすると、「ぴしゃりと言ってのけた」という痛快さが伝わります。
A: Did you hear how he talked to her? So rude.
B: I know. If I were her, I’d give him what for.
(A:彼が彼女にどんな口のきき方をしたか聞いた? 失礼すぎ。)
(B:ほんとに。私が彼女だったら、ガツンと言ってやるのに。)
友人同士で誰かの態度に憤慨する会話です。「私だったら言ってやる」と威勢よく宣言する、感情のこもった使い方です。
あわせて覚えたい関連表現
tell someone off
(〜を叱りつける、きつく言う)
give someone what for とほぼ同じ意味の口語です。tell off のほうが一般的で使用頻度が高く、give someone what for はやや古風で芝居がかった威勢のよさが出ます。
let someone have it
(〜を激しく非難する、容赦なく言う)
怒りを一気にぶつける激しさは共通しています。ただし let someone have it は「物理的に殴る」という意味になることもあるため、文脈で読み分ける必要があります。
give someone a piece of one’s mind
(〜に思っていることをはっきり言う、苦言を呈する)
溜まっていた不満を率直にぶつける点が近い表現です。give someone what for より「自分の本音をはっきり伝える」というニュアンスがやや強くなります。
Note|what for が「叱責」を意味するようになった経緯
シェルドンの「give them what for」を見て、「what for がなぜ叱責の意味になるの?」と引っかかった方もいるかもしれません。この表現の成り立ちには、英語の素朴な言葉のやりとりが隠れています。
what for はもともと「何のために(罰せられるのか)」という問いを表したとされています。子どもがいたずらをして叱られるとき、「What are you hitting me for?(なんで叩くの?)」のように for を文末に置いて理由を尋ねる言い方があります。その「何のために(=どんな理由で罰を受けるのか)」という問いかけが、やがて問いの中身そのもの、つまり「お仕置き・叱責」を指す名詞句へと転じていったと言われています。give someone what for の give は、ここでは「(罰や叱責を)与える」という用法です。「お前に『何のために』をくれてやる」=「お前を叱りつける」という、回りくどくも味わいのある成り立ちになっているわけです。なお、この語源には諸説あり、確定した定説とまでは言えない点は補足しておきます。
こうして見ると、シェルドンが放送局に give them what for しようとする姿は、まさに「なぜ打ち切った、と問い詰める=叱りつける」という原義そのものを地で行っていることがわかります。
問いかけが叱責に化ける——言葉の意外な転がり方がのぞく表現です。
まとめ|シェルドンの啖呵から学ぶ「言ってやる」
give someone what for は、理不尽な相手に「文句を言ってやる」「お灸をすえる」と、威勢よく抗議や叱責をぶつける口語表現です。
「what for」というシンプルな問いかけが丸ごと「叱責」を表すという成り立ちを知っておくと、この表現の威勢のいいトーンがいっそう腑に落ちます。深刻に怒鳴るというより、どこか啖呵を切るような勢いがあり、シェルドンのように意気込んで抗議に向かう場面にぴったりはまります。
怒りや不満を、ただ黙って飲み込むのではなく、威勢よく言葉にして伝える——そんな場面の引き出しに加えてみてくださいね。


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