海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
夢中になっている作品の魅力を、「これはもう、他とは比べものにならないくらいすごいんだ!」と、つい興奮して誰かに語りたくなる瞬間が、誰にでもあるはずです。
そんなときにぴったりの「blow away」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン6第21話、レナードが恋人のペニーに、お気に入りのドラマを早朝から熱く勧めるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「blow away」の意味とニュアンス
blow away
意味:はるかにしのぐ、圧倒する、(感動で)感激させる
強い風で何かを吹き飛ばすイメージから、「他を圧倒する」「はるかに上回る」、さらに「(人を)感動させる・感激させる」という意味へ広がった句動詞です。
大きく分けて二つの使い方があります。一つは「他のものをはるかにしのぐ」という比較の用法で、This blows away the competition.(これは競合をはるかに上回る)のように使います。もう一つは「(人を)強く感動させる」という用法で、be blown away by 〜(〜に感動する)という受け身の形が定番です。どちらも、「並のものを吹き飛ばすほどの勢い」という感覚が根っこにあります。
本作のレナードのセリフでは「他のアイデアを凌駕する」という比較の意味で使われています。何かが他を圧倒的に上回るとき、あるいは映画や演奏などに強く心を動かされたときに、勢いをこめて使える表現です。
【ここがポイント!】
- 強い風で吹き飛ばすイメージが、「圧倒する」「感動させる」の核になっている
- 「他をしのぐ」比較の用法と、「人を感動させる」用法の二つがある
- 感動を表すときは be blown away by 〜 の受け身がよく使われるのがコツ
『ビッグバン★セオリー』S06E21のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
シェルドンが語っていた打ち切りドラマの話から着想を得たレナードが、恋人のペニーに『バフィー〜恋する十字架〜』を一緒に観ようと、早朝から興奮気味に提案します。「自分のこれまでの最高のアイデアすら凌駕する」と大げさに売り込みますが、ペニーの反応は冷静そのものです。
Leonard: I had the greatest idea ever. It even blows away my idea for a Star Wars themed coffee shop called Brewbacca’s. You need to watch Buffy the Vampire Slayer.
(最高のアイデアを思いついたんだ。Brewbacca’sっていうスターウォーズ風カフェのアイデアすら凌駕するくらいの。君は『バフィー』を観るべきだよ。)Penny: It’s six thirty in the morning.
(今、朝の6時半よ。)The Big Bang Theory Season6 Episode21(The Closure Alternative)
シーン解説と心理考察
自分の趣味への熱量が前面に出たレナードが、その興奮をペニーにも共有させたい一心で、blow away という誇張表現を使って必死に魅力を盛り上げています。「スターウォーズ風カフェ」という、いかにもオタクらしい過去のアイデアまで引き合いに出すあたりに、彼のはしゃぎぶりが表れています。
一方のペニーは「今、朝の6時半よ」と、現実的な一言でその熱を受け流します。盛り上がるレナードと冷静なペニーの温度差が、会話の温度を変えています。blow away という勢いのある言葉が、レナードの空回り気味の興奮をやわらかく見せていて、この二人ならではのほほえましいすれ違いがにじむ場面です。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
強い突風が、まわりのものを一気に吹き飛ばしていく光景を思い浮かべてください。その「圧倒的な勢いで他を吹き飛ばす」イメージが、そのまま「他をはるかにしのぐ」「(感動で)心を持っていかれる」につながります。レナードが「このアイデアは、僕の今までの最高のアイデアすら blow away する!」と早朝から興奮して力説する姿を思い描くと、誇張気味に何かを絶賛するこの句動詞の勢いが、すっと記憶に残ります。
例文で覚える「blow away」
他を圧倒する場面から、強い感動を伝える場面まで、勢いをこめて使える表現です。3つの例文で幅を見ていきましょう。
The new model completely blows away the previous version.
(新しいモデルは、前のバージョンを完全に凌駕している。)
製品の性能差を強調する場面です。レナードのセリフと同じく、「他をはるかに上回る」という比較の用法です。
Her performance blew me away—I had tears in my eyes.
(彼女の演技に感動して、涙が出たよ。)
舞台や演奏に深く心を動かされた場面です。blow 人 away の形で、「感激させる」という用法がよく出ています。
A: How was the concert last night?
B: Honestly, I was blown away. Best show I’ve ever seen.
(A:昨日のコンサートどうだった?)
(B:正直、感動しちゃった。今まで見た中で最高のステージだったよ。)
感想を尋ねられて、強い感動を伝える会話です。be blown away by の受け身形で、「圧倒された」という気持ちがストレートに伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
blow one’s mind
(〜をびっくり仰天させる、強烈な衝撃を与える)
同じ blow を使いますが、blow one’s mind は「(驚き・衝撃で)頭が吹き飛ぶ」感覚です。blow away は「他を凌駕する」「感動させる」の両方をカバーする点で、守備範囲が広い表現です。
knock someone’s socks off
(〜を圧倒する、あっと言わせる)
どちらも強い感動や驚きを与える点で近い表現です。knock someone’s socks off のほうが、より口語的でユーモラスな響きがあります。
put something to shame
(〜を顔負けにする、〜が見劣りするほど優れている)
put to shame は「比較対象が恥ずかしくなるほど上回る」という比較に特化した表現です。blow away は感動・感激の意味も持つ点が異なります。
Note|「吹き飛ばす」音が運ぶ、圧倒と感動の勢い
レナードの「blows away」という一言には、blow という動詞が持つ「勢い」の感覚がぎゅっとつまっています。
blow はもともと「(風が)吹く」「吹き飛ばす」を表す動詞です。/bloʊ/ という音は、唇を丸めて息を吐き出すところから始まり、まさに息を吹きかける動作そのものを思わせる響きを持っています。この「ふっと吹き飛ばす」勢いが、away(離れて・遠くへ)と結びつくことで、「邪魔なものを吹き飛ばす=他を圧倒する」という意味に発展しました。さらにそこから、「人の心まで吹き飛ばす=強烈に感動させる」という比喩へと広がっていったと考えられます。興味深いのは、英語には blow を使った勢いのある表現が数多くあることです。blow up(爆発する・激怒する)、blow off(すっぽかす)、blow one’s top(かんかんに怒る)など、いずれも「ふっと、あるいはドカンと何かが噴き出す」勢いを共有しています。blow away もその一員で、「並のものを軽々と吹き飛ばすほどの圧倒的な勢い」という語感が、比較にも感動にも生きているのです。
レナードが自分の最高のアイデアすら「blow away する」と力説するとき、そこには「すべてを吹き飛ばすほどすごい」という、勢いに満ちた誇張がこめられています。
音の勢いが、そのまま意味の勢いになっている表現です。
まとめ|レナードの空回りから学ぶ「圧倒する」
blow away は、「他をはるかにしのぐ」「(感動で)強く心を動かす」という、勢いに満ちた句動詞です。
風で何かを吹き飛ばすイメージを思い浮かべれば、「並のものを軽々と上回る」「心まで持っていかれる」という、この表現ならではの勢いが見えてきます。レナードのように何かを誇張気味に絶賛する場面でも、be blown away by の形で深い感動を伝える場面でも、幅広く活躍します。
何かに圧倒されたとき、心を強く動かされたとき、その勢いをそのまま言葉にのせて——会話のレパートリーに加えてみてくださいね。


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