海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
会議や議論の場で、感情的に怒るのではなく、「その点については、ちょっと意見が違います」と冷静に反論したい場面、ありますよね。
そんなときにぴったりの「take issue with」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン6第21話、エイミーがシェルドンの「区切り」への執着を治療しようと提案し、シェルドンがその言葉尻に異を唱えるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「take issue with」の意味とニュアンス
take issue with
意味:〜に異議を唱える、〜に異論がある、〜に賛成しかねる
相手の発言・主張・方針に対して「同意できない」と異を唱える、ややフォーマルな表現です。感情的に怒るのではなく、理性的に「その点には異論がある」と示すニュアンスを持っています。
カギになるのは issue という語です。ここでの issue は「問題・号」ではなく、「論点・争点」の意味で使われています。take issue with 〜 で、「〜との間に争点を取り上げる」、つまり「その点を議論の俎上に載せて、異を唱える」という成り立ちになっています。
会議や議論で相手の意見に冷静に反対する場面や、ある主張・表現の正確さに疑問を呈する場面でよく使われます。直接的に「反対だ」と言うよりも一歩引いた、知的で礼を失しない反論の言い回しとして、ビジネスや学術の場でも重宝される表現です。
【ここがポイント!】
- issue は「問題」ではなく「論点・争点」の意味で使われている
- 感情的に怒るのではなく、理性的に「その点に異論がある」と示すのが核
- ビジネスや議論の場で、礼を失せずに反論したいときに使えるのがコツ
『ビッグバン★セオリー』S06E21のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
恋人で神経科学者のエイミーが、シェルドンの「区切り(closure)」への執着を和らげようと、一連のエクササイズを提案します。ところが、その説明で使った「compulsive(強迫的)」という言葉に、シェルドンがすかさず食いつきます。
Amy: I’ve come up with a series of exercises to help with your compulsive need for closure.
(あなたの強迫的な区切りへの欲求を和らげる、一連のエクササイズを考えてきたわ。)Sheldon: I take issue with the word compulsive.
(compulsive(強迫的)という言葉には、異議があるね。)The Big Bang Theory Season6 Episode21(The Closure Alternative)
シーン解説と心理考察
エイミーが「compulsive な欲求」と表現した途端、シェルドンはその一語だけを取り上げて「異議がある」と切り返します。彼は自分への評価を素直に受け入れるよりも、まず言葉の定義に異を唱えることで議論の主導権を握ろうとする——その理屈っぽさが、この一言に表れています。
ここで使われる take issue with は、感情的に怒るのではなく、知的な反論を示すフォーマルな表現です。論文調で理路整然と話すシェルドンのキャラクターに、見事に重なっています。皮肉なのは、こうして「区切りをつけずにいられない」かのように一語に食いつく姿そのものが、エイミーの指摘する強迫性を裏づけてしまっている点です。反論しているのに、かえって相手の正しさを証明している——そんなおかしみがにじむ場面です。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
issue には「論点・争点」という意味があります。take issue with は、その「争点」を相手とのあいだに取り上げて、「ここは引っかかる/同意できない」とテーブルに乗せるイメージです。シェルドンが、エイミーの言った「compulsive」というたった一語をすかさず拾い上げ、「その言葉には異議がある」と冷静に切り返す場面を思い出すと、感情的に怒るのではなく理屈で異を唱える、この表現のトーンがつかめます。
例文で覚える「take issue with」
会議での反論から、文章への異論まで、冷静に「その点は違う」と伝えたいときに活躍する表現です。3つの例文で見ていきましょう。
I take issue with the claim that the project failed because of poor planning.
(プロジェクトが失敗したのは計画不足のせいだという主張には、異議があります。)
会議で相手の分析に冷静に反論する場面です。感情を排して「その点に異論がある」と示す、フォーマルな使い方です。
I don’t take issue with your goal, only with your methods.
(あなたの目標に異論はない、方法に異議があるだけだ。)
部分的に賛成し、部分的に反対する場面です。not take issue with で「異論はない」と対比させることで、論点を明確にしています。
A: You’re saying my report was inaccurate?
B: I take issue with one figure, that’s all. The rest is solid.
(A:私の報告書が不正確だったと言いたいの?)
(B:一つの数字に異論があるだけだよ。あとはしっかりしてる。)
相手の身構えに対して、冷静に反論の範囲を限定する会話です。take issue with を使うことで、全面否定ではなく「ここだけ」という落ち着いた異論になっています。
あわせて覚えたい関連表現
disagree with
(〜に同意しない、反対する)
disagree with は最も一般的でニュートラルな「反対」の表現です。take issue with は「特定の点を取り上げて異論を示す」、ややフォーマルで知的な響きを持つ点が異なります。
object to
(〜に反対する、異議を申し立てる)
object to は反対をはっきり表明する強めの語です。take issue with は「この点には賛成しかねる」という、もう少し議論的で穏やかな反論になります。
beg to differ
(失礼ながら意見が違う、異論を唱えさせていただく)
beg to differ は丁寧な前置きとともに反対を示す定型句で、やや古風で儀礼的です。take issue with は前置きなしに「その点に異論がある」と論点そのものを示す表現です。
Note|disagree / object との温度差で見る「異論」の三段階
シェルドンの「take issue with」は「異議がある」と訳せますが、英語には「反対」を表す言い方がいくつもあります。それぞれの温度差を整理しておくと、使い分けがぐっと見えやすくなります。
まず最もニュートラルなのが disagree with です。「あなたに同意しない」と、賛否の事実を淡々と述べるだけで、強い感情も対立のニュアンスもありません。I disagree with you, but I respect your view.(あなたには反対だが、意見は尊重する)のように、穏やかに併用できます。次に object to は、反対をはっきり表明する強めの語です。会議で I object to this proposal.(この提案に反対します)と言えば、きっぱりとした拒否の姿勢が伝わります。法廷ドラマで弁護士が「Objection!(異議あり!)」と叫ぶ、あの強さを思い浮かべるとイメージしやすいでしょう。そして take issue with は、ちょうどその中間に位置します。disagree ほど淡々とはしておらず、object ほど強くもなく、「特定の論点を取り上げて、議論として異を唱える」という落ち着いた反論です。全面的に反対するのではなく、「この点に限って言えば賛成できない」という、ピンポイントで知的なトーンが特徴です。
シェルドンが「compulsive という言葉に take issue with する」と言うのは、エイミーの提案全体を否定しているのではなく、「その一語の選び方が引っかかる」という、まさにピンポイントの異論なのです。
同じ「反対」でも、温度を選べば伝わり方が変わる——そんな使い分けの妙がのぞく表現です。
まとめ|シェルドンの反論から学ぶ「異議がある」
take issue with は、感情的に怒るのではなく、「その点については異論がある」と理性的に反論する、ややフォーマルな表現です。
issue が「論点・争点」を意味することを押さえておくと、「争点を取り上げて異を唱える」というこの表現の成り立ちが腑に落ちます。disagree ほど淡々とせず、object ほど強くもない、ちょうど中間の落ち着いたトーンは、会議や議論で礼を失せずに反論したい場面にぴったりです。
感情をぶつけるのではなく、論点を冷静に示して異を唱える——そんな大人の反論の引き出しに加えてみてくださいね。


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