「a thing or two」の意味と使い方|『ビッグバン★セオリー』S06E21で学ぶ英会話

「a thing or two」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

「自分はその道にちょっとは詳しいんだ」と、控えめに見せかけながら、実はかなりの自信をのぞかせたくなること、ありますよね。

そんなニュアンスを持つ「a thing or two」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン6第21話、ラージがエルトン・ジョンの歌詞を引用して、ハワードに得意げに返すシーンから、一緒に見ていきましょう。

目次

「a thing or two」の意味とニュアンス

a thing or two
意味:少なからぬこと、一家言、かなりの知識・経験

文字どおりに訳せば「一つか二つのこと」ですが、実際には「ちょっとやそっとではない=かなりよく知っている」という、反語的な強調表現です。

ポイントは、あえて「一つか二つ」と小さな数を挙げることで、逆に「実は豊富に知っている」とほのめかすところにあります。日本語の「ちょっとは分かるよ(=実はかなり分かってる)」とそっくりの感覚です。know a thing or two about 〜(〜について一家言ある)、teach someone a thing or two(〜にいろいろ教える)、learn a thing or two(いろいろ学ぶ)のように、know / teach / learn と組み合わせて使われることが多くあります。

ある分野に詳しいことを謙遜まじりにアピールする場面や、「自分には教えられることがある」と控えめに示す場面で活躍します。控えめな言い回しでありながら、その裏に確かな自信をにじませるのが、この表現の持ち味です。

【ここがポイント!】

  • 「一つか二つ」と小さな数で、逆に「かなり多く」を伝える反語的な表現
  • 日本語の「ちょっとは分かるよ(=実はかなり)」とそっくりの控えめな強調
  • know / teach / learn と組み合わせて使うのが定番のパターン

『ビッグバン★セオリー』S06E21のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

ラージが、交際相手のブログを「彼女が心の鍵を渡してくれたようなもの」とロマンチックに表現したことを、ハワードが「タトゥーにでも入ってるのか」とからかいます。それに動じないラージは、その言葉はエルトン・ジョンからの引用だと、得意げに切り返します。

Howard: The key to her heart. That’s nice. Were you quoting someone or is it tattooed on the small of your back?
(「心の鍵」か。いいね。誰かの引用? それとも腰のあたりにタトゥーでも入ってるの?)

Raj: I was quoting a man who knows a thing or two about women, Sir Elton John.
(女性について一家言ある人物の言葉を引用したのさ——サー・エルトン・ジョンだよ。)

The Big Bang Theory Season6 Episode21(The Closure Alternative)

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シーン解説と心理考察

ラージの詩的でロマンチックな性格と、それを冷やかすハワードの軽口という、二人の関係性が凝縮されたやりとりです。ハワードのからかいに動じず、ラージは「女性について一家言ある人物」としてエルトン・ジョンを引き合いに出し、自分の引用にお墨付きを与えようとしています。

ここで使われる a thing or two は、「少なからず知っている」という控えめな言い回しでありながら、エルトン・ジョンを権威として担ぎ出すことで、かえって自分の発言に説得力を持たせる役割を果たしています。控えめに見せて、その裏で自信をのぞかせる——この表現の二面性が、ラージの気取った口ぶりに重なっています。からかわれても優雅さを崩さないラージらしさが、一言に表れています。

『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ

「一つか二つ知ってる」と控えめに言いながら、実は引き出しが山ほどある——そんな「謙遜の裏に隠した自信」をイメージしてください。ラージが「女性について a thing or two 知ってる人」と言いつつ、その実エルトン・ジョンを権威として担ぎ出す気取った姿を思い出すと、控えめに見せて自信をのぞかせるこの表現のニュアンスが、すっと記憶に残ります。

例文で覚える「a thing or two」

「ちょっとは詳しい(=実はかなり)」と謙遜まじりに自信を示したいときに活躍する表現です。3つの例文で使い方を見ていきましょう。

After thirty years in the kitchen, she knows a thing or two about cooking.
(厨房で30年やってきた彼女は、料理について一家言ある。)
経験豊富な人を紹介する場面です。「一つか二つ」と控えめに言いながら、長年の蓄積を匂わせる、最も典型的な使い方です。

Don’t underestimate her—she knows a thing or two about computers.
(彼女を見くびらないで。コンピューターについてはかなり詳しいから。)
相手の実力を擁護する場面です。「侮るな」という気持ちを、控えめな表現にこめて伝えています。

A: You actually fixed the engine yourself?
B: Well, I grew up in a garage. I know a thing or two about cars.
(A:エンジン、本当に自分で直したの?)
(B:まあね、ガレージで育ったから。車のことはちょっとは分かるんだ。)
驚かれて、さらりと自信を示す会話です。「ちょっとは分かる」と言いながら、その背景に確かな経験があることがにじみます。

あわせて覚えたい関連表現

know one’s stuff
(自分の専門をよく心得ている)
know one’s stuff は「その道のプロとして熟知している」と実力を正面から示す表現です。a thing or two は「一つか二つ(=実は多く)」と控えめにほのめかす点が異なります。

know the ropes
(やり方・要領を心得ている)
know the ropes は具体的な手順やコツに通じていることを指します。a thing or two はもっと幅広く「知識・経験がある」一般を表せる点で守備範囲が広い表現です。

be no stranger to
(〜に慣れ親しんでいる、よく知っている)
be no stranger to は「初めてではない=経験済み」というニュアンスです。a thing or two は「教えられるほど知っている」という、相手に伝えられる知識量をほのめかす点に特徴があります。

Note|「一つか二つ」が「かなり」を含意する反語の発想

ラージの「a thing or two」を直訳すると「一つか二つのこと」ですが、実際には「かなり詳しい」という意味になります。なぜ小さな数が、逆に「多さ」を伝えるのでしょうか。

英語には、あえて控えめな表現を選ぶことで、逆に強い意味をにじませる言い回しがいくつもあります。a thing or two もその一つで、「ほんの一つか二つだけど」と謙遜の体裁をとりながら、聞き手には「実はかなりのものだ」と受け取らせる反語的な発想に支えられています。似た例として、not bad(悪くない=なかなか良い)や no small feat(小さな偉業ではない=大変な偉業)といった、否定や小さな数を使ってかえって強調する表現が挙げられます。こうした「控えめに言うことで本当の大きさを伝える」話法は、英語圏のコミュニケーションでとても好まれます。自分の実力をストレートに誇示するより、ひかえめに言っておいて相手に大きさを察してもらうほうが、品があって嫌味にならないと感じられるのです。日本語の「少しは分かるつもりです」「ちょっとかじった程度ですが」といった謙遜が、しばしば「実はかなりの腕前」を意味するのと、根っこは同じ感覚と言えます。

ラージが「a thing or two 知っている人」とエルトン・ジョンを紹介するとき、その控えめな数字の裏には、「女性のことを知り尽くした人物」という最大級の称賛がこめられているわけです。

小さな数字に、大きな自信をしのばせる言い回しです。

まとめ|ラージの気取りから学ぶ「ちょっとは詳しい」

a thing or two は、「一つか二つ」という小さな数で、逆に「かなり詳しい・一家言ある」をほのめかす、控えめな強調表現です。

ストレートに「よく知っている」と言うのではなく、あえて控えめに言うことで、かえって確かな自信をにじませる——その二面性が、この表現の魅力です。ラージのように気取って使うこともできますし、自分の経験をさらりと謙遜まじりに示したい、さまざまな場面で活躍します。

謙遜と自信を同時にこめられる便利な一言として、表現の引き出しに加えてみてくださいね。

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