海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
誰かの噂や評判を耳にしても、実際に確かめるまでは「本当のところはまだ何とも言えないな」と、判断を保留したくなる場面はないでしょうか。
そんなときに使える「the jury is out on something」を、『ホワイトカラー』シーズン6第6話の前半、コーヒーの好みをめぐって軽口を交わすピーターとニールのやり取りから、一緒に見ていきましょう。
「the jury is out on something」の意味とニュアンス
the jury is out on something
意味:(まだ)結論が出ていない、判断が下されていない
the jury is out on something は、陪審員(jury)が評決(verdict)を出すまでの間、法廷の外で評議を続けている状態を表す慣用句です。陪審員がまだ結論を出していない、つまり「まだ外にいる(is out)」という状況を、日常のあらゆる判断が定まっていない場面に転用した言い回しです。
on の後ろに評価したい対象を置くことで、「〜についてはまだ結論が出ていない」という形で使われます。人物の評価から政策の是非、商品の善し悪しまで、幅広い対象に適用できる懐の深い表現です。
似た内容を is still out on としても表せますが、the jury is out on の形は、単なる「わからない」よりも、複数の意見や判断材料がまだ出そろっていないというニュアンスを含みます。断定を避けつつも、様子見の姿勢をはっきり伝えられる便利な一言です。
【ここがポイント!】
- 「the jury is out on」の核は、陪審員がまだ評決を出していないという裁判由来のイメージ
- 断定を避けながらも様子見の姿勢をきちんと伝えられる、判断保留の表現
- on の後ろに評価対象を置くだけで、人物・物事どちらにも幅広く使えるのがコツ
『ホワイトカラー』S06E06のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
赤ちゃんの誕生に関する話題で盛り上がった後、ピーターは、いつもと違う銘柄のコーヒーを口にしています。それを見たニールが感心した様子で声をかけたところから、コーヒーの好みをめぐる軽いやり取りが始まります。
Neal: Peter, I am impressed. I thought you only drank FBI drip.
(ピーター、感心したよ。FBI御用達のドリップコーヒーしか飲まない人だと思っていたのに。)Peter: Well, a friend of mine introduced me to Italian roast a few years ago.
(実は、数年前に友人がイタリアンローストを教えてくれたんだ。)Neal: Sounds like a smart guy.
(賢い友人みたいだね。)Peter: Eh… Jury’s out on that one.
(さあ、どうかな……そいつが賢いかは、まだ結論が出てないな。)White Collar Season6 Episode6 (Au Revoir)
シーン解説と心理考察
FBI御用達のドリップコーヒーしか飲まないと思われていたピーターが、実はイタリアンローストを教えてくれた友人がいたと明かすところから、この短いやり取りは始まります。「賢い友人みたいだね」という軽口に、ピーターはすかさず「そいつが賢いかは、まだ結論が出てないな。」と返します。
数年来のコーヒー好みの変化という、ごく個人的な話題にまで慎重な言い回しを持ち出すところに、ピーターらしい実直さがにじみます。相手を評価する言葉をすぐには差し出さず、あえて判断を保留する姿勢が伝わってきます。友人の評価という軽い話題であっても、断定を避けて言葉を選ぶ癖が会話の端々に表れているとも言えます。深刻な任務の合間にも、こうした軽口を交わせる空気があることも、この一言の背景として読み取れます。
『ホワイトカラー』流・覚え方のコツ
the jury is out on something を覚えるコツは、法廷の評議室に陪審員たちがまだこもって話し合っている様子を思い浮かべることです。ドアの外で判決を待つ人たちのように、答えがまだ外に出てきていないというイメージを持つと、結論を急がず様子を見守る感覚がつかみやすくなります。
ピーターが友人の賢さについて口にした「まだ結論が出てない」という一言も、まさにこの評議中の陪審員のような姿勢でした。誰かをすぐに評価せず、判断材料がそろうまで保留にしておく。そんな慎重さごとイメージに重ねておくと、似たような場面でとっさに使いこなせるようになります。
例文で覚える「the jury is out on something」
日常会話からビジネスの場面まで、the jury is out on something を、3つの例文で確認していきましょう。
The jury is still out on whether the new policy will actually save money.
(新しい政策が本当に経費削減になるかどうかは、まだ結論が出ていない。)
新しい施策の効果を評価する場面です。still を挟むことで、判断がまだ続いている途中経過であることが強調されます。
Scientists say the jury is still out on the long-term effects of the treatment.
(その治療法の長期的な効果については、科学者たちの間でもまだ結論が出ていない。)
研究結果を伝えるニュースなどでよく見られる言い回しです。専門家の間でも意見が割れていることを、断定せずに表せます。
A: Do you think this restaurant is any good?
B: The jury’s out on that — I’ve only tried one dish.
(A:このレストラン、おいしいと思う?)
(B:それはまだ何とも言えないな、1品しか試してないから。)
友人との気軽な会話で使える一言です。判断材料がまだ足りないという理由を添えると、保留の姿勢が自然に伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
it remains to be seen
(まだわからない、様子を見る必要がある)
未来にならないとわからないという中立的な言い回しです。the jury is out on が複数の意見が分かれている状況を示唆するのに対し、こちらは単に「将来わかること」を淡々と述べる点が異なります。
up in the air
(未定である、宙に浮いている)
計画や決定事項そのものがまだ固まっていない状態を表します。the jury is out on が評価・判断の保留であるのに対し、up in the air は物事の確定自体が先延ばしになっているニュアンスです。
time will tell
(時が経てばわかる)
時間の経過が答えを出してくれるという含みを持つ表現です。the jury is out on が今この瞬間の判断保留に焦点を当てるのに対し、time will tell は未来への言及がより強く出ます。
Note|陪審員制度(jury)由来の慣用句が日常会話に定着した経緯
the jury is out on something という表現の背景には、陪審員裁判(jury trial)という仕組みそのものがあります。陪審員は法廷での審理を聞いた後、別室にこもって評決について話し合い、全員の意見がまとまったところで法廷に戻ってきます。この「評議のために外に出ている(the jury is out)」という状態が、そのまま「まだ結論が出ていない」という比喩として広まりました。
陪審員裁判の制度自体は英米法の伝統に根ざしたもので、一般市民が裁判の判断に加わる仕組みとして長い歴史を持っています。専門家だけでなく複数の一般人が議論を重ねて結論を出すという性質上、評決までに一定の時間がかかることも珍しくありません。この「時間をかけて判断が下されるまでの過程」そのものが、慣用句のイメージの核になっています。
こうした背景を踏まえると、the jury is out on something が持つ「複数の視点から判断材料を検討している途中」というニュアンスがより鮮明になります。単に「わからない」と述べるのではなく、まだ議論の途中であるという含みを持たせたいときに、この表現がぴったりはまる理由がここにあります。
法廷という特定の場面から生まれた言葉が、コーヒーの好みという日常のごく軽い話題にまで応用できる。そんな言葉の広がりも、慣用句を学ぶ楽しさのひとつです。
まとめ|「それらしい」の一歩先を言葉にする
the jury is out on something は、陪審員が評決を出す前の状態を借りて、判断がまだ定まっていないことを伝える表現です。断定を避けつつも、はっきりと「保留中である」という姿勢を示せる点に、この言い回しの実用性があります。
人物の評価から政策の是非まで、幅広い場面で応用できる懐の深さも、覚えておく価値を後押しします。
コーヒーの好みという軽い話題にまでこの表現を差し込んでみせたピーターの一言には、深刻な任務が続く物語の中にも息を抜ける瞬間があることが表れています。判断を急がず、材料がそろうまで待つという姿勢を、会話のレパートリーに加えてみてください。


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