海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は人気ドラマ『BONES』シーズン4・エピソード11から、知的な響きを持つ便利なフレーズを紐解いていきましょう。
大人の会話で非常に役立つ表現ですよ。
実際にそのシーンを見てみよう!
ブースが息子のパーカーをセレブな私立学校「ウッドベリー」へ入れるべきか悩んだ末、結論を出したシーンです。
パーカーがマックス(ブレナンの父)と楽しそうに科学実験をする様子を眺めながら、ブレナンに語りかけます。
Booth: I torched the application. I’m thinkin’ there’s something to be said for middle class. You sure he’s gonna be all right?
(願書は燃やしたよ。中流階級も捨てがたいと思ってね。あいつ、本当に大丈夫か?)
Brennan: Sure! Well, probably.
(ええ!まあ、たぶんね。)
Booth: Probably, like, what do you mean, probably? What the hell are they doing anyways?
(たぶんって、どういう意味だよ、たぶんって? あいつら一体何やってんだ?)
Brennan: Disrupting the surface tension of a two-liter cola.
(2リットルコーラの表面張力を破壊しているのよ。)
BONES Season 4 Episode 11 (The Bone That Blew)
シーン解説と心理考察
息子のために最善を尽くしたい親心から、身の丈に合わない高額な私立学校への編入を真剣に考えていたブース。
しかし目の前で行われているのは、高価な教育プログラムではなく、日用品のコーラを使った実験(いわゆるメントスコーラ)です。
マックスと一緒に目を輝かせて歓声を上げるパーカーの姿を見て、ブースはハッと気づかされます。
無理をして特権階級に背伸びをするのではなく、自分たちらしい「中流階級」の良さ、つまり身近な工夫や愛情で十分に豊かな経験を与えられるという事実に安堵したのです。
「願書を燃やした」という少し大げさな表現には、父親としての重圧から解放された清々しさと、自分のルーツへの密かな誇りが込められていますね。
フレーズの意味とニュアンス
there is something to be said for
意味:〜には一理ある、〜も捨てがたい、〜の良さも認められる
このフレーズをしっかり理解するためには、言葉を3つのパーツに分解してみるのが一番の近道です。
まず「something」は「何か特筆すべきこと、価値あること」を指します。
次に「to be said」は不定詞の受動態で「言われるべき」となります。
そして最も重要なのが前置詞の「for」です。
ここでの「for」は方向性ではなく、「〜に賛成して、〜を支持して」という意味合いを持っています。
これらをつなぎ合わせると、「(その対象を)支持して語られるべき何かしらの価値が存在する」という直訳になります。
そこから転じて、「〜には一理ある」「〜には認められるべき長所がある」という意味で使われるようになります。
全面的に大絶賛するわけではないけれど、「よく考えてみると、これもなかなか悪くないよね」と、一歩引いた視点から価値を認める際に使われる、非常にスマートな表現です。
【ここがポイント!】
このフレーズの核心は「再評価」と「控えめな肯定」にあります。
ネイティブスピーカーは、他の選択肢(今回であればセレブな私立学校)と比べた上で、「いやいや、こっち(中流階級)だって良いところがあるよ」と、見落とされがちな価値を優しくすくい上げるようなニュアンスでこの言葉を使います。
「It is the best」と断言してしまうと角が立ちますが、この表現なら相手の意見を否定することなく、自分の意見をそっとテーブルに載せることができます。
ビジネスシーンや大人の会話で、角を立てずに主張したい時に重宝するクッション言葉のような役割も果たしてくれますよ。
実際に使ってみよう!
日常会話でもビジネスシーンでも、メリットとデメリットを比較検討するような場面で使える汎用性の高いフレーズです。
There is something to be said for working from home; you don’t have to commute and can focus better.
(在宅勤務には一理あります。通勤しなくて済みますし、より集中できますからね。)
在宅と出社を比較して、在宅のメリットを控えめかつ論理的に主張する際に使えます。単なる好みの問題ではなく、客観的な利点があることを示唆できます。
There is something to be said for his traditional approach, even if it seems a bit outdated to the younger team members.
(若いチームメンバーには少し時代遅れに見えるかもしれませんが、彼の伝統的なアプローチも捨てがたいですよ。)
他人の意見や古い手法を頭ごなしに否定せず、一定の敬意を払いながら評価を与える大人な表現です。会議の場を和ませる効果もあります。
I know it’s a really old car and breaks down sometimes, but there is something to be said for its classic design and charm.
(本当に古い車で時々故障するのは分かっていますが、このクラシックなデザインと魅力も捨てがたいんですよ。)
欠点があることを自ら認めた上で、それを補って余りある愛着や魅力を語る時にぴったりです。趣味や嗜好について語る際によく登場します。
『BONES』流・覚え方のコツ
ブースが、名門校の願書を未練なく手放し、少し肩の荷が下りたようなリラックスした表情で「there is something to be said for middle class(中流階級も捨てがたい)」と呟く姿を映像として脳内に焼き付けましょう。
キラキラした理想ばかりを追いかけるのではなく、「今、自分の足元にあるものの価値」を静かに見直す瞬間の、あの落ち着いたトーンとセットで覚えるのがおすすめです。
そうすることで、実際の会話でも適切な感情を乗せて発音できるようになりますよ。
似た表現・関連表現
・ have a point
(一理ある、的を射ている)
相手の発言に対して「あなたの言うことにも一理あるね(You have a point.)」と同意する際によく使われます。今回のフレーズが「事象」に対する評価であるのに対し、こちらは「人の意見や主張」に対して直接的に認めるニュアンスが強くなります。
・ not without merit
(長所がないわけではない、それなりの価値がある)
「merit(長所・価値)」がない(without)わけではない(not)という二重否定を用いた、少し硬い表現です。ビジネス文書などで、ある提案に対して慎重に評価を下す際に適しており、論理的な響きを持ちます。
・ have its advantages
(それなりの利点がある)
シンプルに「独自の利点(advantages)を持っている」と事実を述べる表現です。感情的なニュアンスは薄く、客観的な事実としてメリットを列挙する前置きとして使いやすいフレーズです。
深掘り知識:英語圏の「アンダーステイトメント」の美学
今回の表現をマスターする上で知っておきたいのが、英語圏、特にイギリス英語などに色濃く見られる「アンダーステイトメント(控えめな表現)」という文化です。
英語は常にストレートで自己主張が激しいと思われがちですが、実は知的な層になればなるほど、物事をあえて控えめに表現することで、かえってその意味を強調する手法を好んで使います。
「It is excellent(それは素晴らしい)」と直接的に褒めるのではなく、「There is something to be said for it(それには評価すべき点がある)」と少し遠回しに言うことで、感情的にならずに状況を俯瞰できている知性や、大人の余裕を演出することができるのです。
また、このフレーズは応用範囲が広いのも特徴です。
「something(何か)」の部分を入れ替えることで、程度を調整することができます。
例えば、非常に強く賛同したい場合は「There is a lot to be said for ~(〜には大いに賛同できる、〜のメリットは計り知れない)」となります。
逆に、否定的な側面を強調したい場合は、前置詞の「for(支持)」を「against(反対)」に変えて、「There is something to be said against ~(〜には反対すべき点もある、〜には考慮すべきデメリットもある)」と表現することも可能です。
このように、構造を理解して単語をパズルのように入れ替えることで、自分の感情のグラデーションを正確に相手に伝えることができるようになります。
直訳で丸暗記するのではなく、こうした英語特有の「間合い」や「発想」を知ることで、ドラマのセリフがより立体的に聞こえてくるはずですよ。
まとめ|「捨てがたい」魅力を英語で語ろう
今回は、「there is something to be said for(〜も捨てがたい、〜には一理ある)」というフレーズを、文法の成り立ちから文化的背景まで解説して紹介しました。
何かをただ手放しで褒めるのではなく、メリットとデメリットを天秤にかけた上で、じわじわと良さを噛み締めるような、大人の余裕を感じさせる表現ですね。
ぜひ、あなたの身の回りにある「捨てがたいもの」をこのフレーズで語ってみてください。


コメント