「build something back up」の意味と使い方|『ビッグバン★セオリー』S12E10で学ぶ英会話

「build something back up」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

信じていた前提が根底から崩れて、これまでの判断すべてを疑いたくなった経験はありませんか。

そんなときに使えるのが「build something back up」です。『ビッグバン★セオリー』シーズン12第10話の前半、自分たちの理論が覆されたショックから、あらゆる考えを疑い始めたシェルドンの一言から、一緒に見ていきましょう。

目次

「build something back up」の意味とニュアンス

build something back up
意味:〜を土台から立て直す、再構築する

build something back upは、壊れたり失われたりしたもの――信頼や自信、組織や人間関係といった目に見えない対象を含む――を、もう一度土台から積み上げ直すことを表す口語的な句動詞です。backには「元あった場所や状態へ」向かう方向性が、upには「完成に向けて少しずつ積み上げていく」という過程がそれぞれ込められています。単に元通りにするだけでなく、崩れた土台をいったん認めたうえで、一段ずつ作り直していくという時間のかかるプロセスを含んだニュアンスがあります。

信頼を失った後の人間関係の修復や、失敗をきっかけにした組織の立て直し、崩れてしまった自信の回復など、抽象的な対象に対しても自然に使われる表現です。何かを一気に元通りにするのではなく、根気強く少しずつ積み上げ直していく姿勢が、このフレーズの中心にあります。

【ここがポイント!】

  • 「build something back up」の核は、崩れた土台から一段ずつ積み上げ直すイメージ
  • 信頼や自信のような目に見えない対象にも使える、幅広い守備範囲を持つ表現
  • backとupの両方が入ることで、「元の場所へ」戻りつつ「積み上げていく」という二重の方向性が見えてくるのがコツ

『ビッグバン★セオリー』S12E10のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

超非対称性の理論が否定されたショックから、あらゆる過去の判断まで疑い始めたシェルドンが、食事をしながらエイミーと向き合う場面です。嫌いなはずのアスパラガスを口に運ぶところにまで疑いの目を向け始めたシェルドンに、エイミーが重ねて尋ねると、思いがけない哲学的な答えが返ってきます。

Amy: Is that asparagus? I thought you hate asparagus.
(それってアスパラガス? あなた、アスパラガス嫌いだったでしょ?)

Sheldon: I thought so, too, but I also thought super-asymmetry was a good idea, so what else am I wrong about?
(僕もそう思っていた。だが超非対称性も名案だと思っていたわけだからな、他に何を間違えているというんだ?)

Amy: Oh, so now you’re reevaluating every opinion you’ve ever had?
(あら、それじゃ今まで持っていたあらゆる意見を見直しているというわけ?)

Sheldon: Yes. I am following the example of 17th century philosopher René Descartes. He subjected all his beliefs to radical doubt so that he could build a bedrock belief and build his cognitive life back up on firm principles.
(そうだ。僕は17世紀の哲学者ルネ・デカルトの手法にならっているんだ。彼はあらゆる信念を徹底的に疑うことで、確固たる信念を築き、しっかりした原則の上に自分の知的な生活を再構築したのだ。)

The Big Bang Theory Season12 Episode10 (The VCR Illumination)

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シーン解説と心理考察

「それってアスパラガス? あなた、アスパラガス嫌いだったでしょ?」というエイミーの問いかけに、シェルドンは「僕もそう思っていたが、超非対称性も名案だと思っていたわけだから、他に何を間違えているというんだ?」と答えます。理論の崩壊がもたらした動揺の大きさが、食の好みという些細な話題にまで及んでいる様子が伝わってきます。

「今まで持っていたあらゆる意見を見直しているというわけ?」とエイミーが確認すると、シェルドンは即座に「そうだ」と応じ、17世紀の哲学者ルネ・デカルトを引き合いに出します。あらゆる信念を徹底的に疑うことで確固たる土台を築き直すという方法になぞらえ、自分も同じ手順で知的な生活を一から立て直そうとしている姿が見どころです。理屈で武装して現実と向き合おうとするシェルドンらしい対処法ですが、その裏には理論の崩壊から立ち直ろうとする不器用な努力がにじんでいます。

『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ

崩れてしまった積み木を、下から一つひとつ積み上げ直すイメージで捉えてみましょう。back(元の場所へ)とup(上へ積み上げる)という2つの方向性が組み合わさることで、失ったものを土台から作り直す様子が浮かびます。

シェルドンがデカルトの方法になぞらえて信念を立て直そうとした姿は、まさに積み木を一段ずつ積み上げ直す作業そのものでした。崩れた土台をいったん認めたうえで、焦らず一段ずつ組み直していく感覚を持っておくと、似た状況に出会ったときにこの表現が自然に浮かんでくるはずです。

例文で覚える「build something back up」

build something back upは、信頼や自信のような目に見えない対象にもよく使われる表現です。3つの例文でその幅広さを確認していきましょう。

After the scandal, she had to build her reputation back up one client at a time.
(スキャンダルの後、彼女は一人ずつ顧客との信頼を築き直さなければならなかった。)
信用を失った後の立て直しを語るビジネスの場面で使われます。one client at a timeのような地道な積み重ねを添えると、再構築の過程がより伝わりやすくなります。

It took years to build the company back up after the recession.
(不況の後、会社を立て直すのに何年もかかった。)
経営再建について話すときに使える表現です。It took yearsという時間の長さを示す言い方が、再構築の道のりの険しさを物語っています。

A: I lost all my confidence after that failed audition.
B: You’ll build it back up eventually.
(A:あのオーディションに失敗してから自信を全部失っちゃった。)
(B:そのうちまた取り戻せるよ。)
友人を励ます日常会話の場面です。eventuallyという一語が、時間をかけて元に戻していくというこのフレーズのニュアンスをやわらかく後押ししています。

あわせて覚えたい関連表現

rebuild something
(〜を再建する、作り直す)
build something back upと同じ「作り直す」系の表現ですが、rebuildはより一般的でフォーマルな語で、建物や組織など具体的な対象に使われることが多いのに対し、build something back upは口語的で、信念や自信といった心理的な対象にも自然に使われます。

pick up the pieces
(崩壊した状況を立て直す、再出発する)
崩れてしまった状況全体を拾い集めて再出発するニュアンスが強く、土台から積み上げるプロセスを必ずしも含意しません。build something back upは、より意図的・段階的な再構築を表す点が異なります。

get back on one’s feet
(立ち直る、回復する)
主語自身の回復状態を指す自動詞的な表現である点が、目的語を伴い何を再構築するかを明示するbuild something back upとの大きな違いです。

Note|デカルトの方法的懐疑と、シェルドンが選んだ「build back up」という再出発の型

シェルドンが引き合いに出した17世紀の哲学者ルネ・デカルトの考え方には、build something back upという英語表現と驚くほど近い発想が息づいています。

デカルトは著書『省察』の中で、確実な知識を築くためにまずあらゆる信念を徹底的に疑うという方法を採りました。これは「方法的懐疑」と呼ばれる手法で、少しでも疑う余地のあるものはいったんすべて手放し、疑いようのない土台が見つかった時点から改めて知識を組み立て直すという発想です。有名な「我思う、ゆえに我あり」という結論も、この徹底した疑いの果てにたどり着いた、揺るがない出発点として位置づけられています。壊れた家を土台から作り直すように、まず疑わしい部分をすべて取り払い、確かな一点から積み上げ直す。この発想は、崩れたものを土台からもう一度築き直すbuild something back upという英語の発想と、驚くほど重なります。

シェルドンが超非対称性の否定をきっかけにあらゆる過去の判断を疑い始めたのは、まさにこの方法的懐疑の実践だったといえます。崩れた理論という土台を認めたうえで、確かなものから一段ずつ知的な生活を築き直そうとする姿勢は、build something back upという表現が持つ「土台から積み上げ直す」というニュアンスにぴったり重なるものです。

哲学的な思考実験が、身近な英語表現の理解にもつながっているのですね。

まとめ|デカルトの手法になぞらえた、シェルドンの不器用な立て直し

build something back upは、壊れたり失われたりしたものを、土台から一段ずつ積み上げ直すことを表す表現です。

信頼や自信のような目に見えない対象にも使えるため、人間関係の修復から仕事の立て直しまで、幅広い場面で活躍します。

理論の崩壊にショックを受けながらも、哲学者の方法になぞらえて知的な生活を立て直そうとしたシェルドンの姿には、不器用ながらも前を向こうとする様子が重なっていました。困難に直面したときの立て直し方の一つとして、表現の引き出しに加えてみてください。

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