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今回は、人気法医学サスペンス『BONES』シーズン4第16話から、日常のちょっとしたお出かけから、人生の深い経験値までを表現できる奥深いフレーズ「around the block」をピックアップします。
文字通りの意味から、ネイティブがよく使う粋なイディオムとしての使い方まで、幅広く紹介しますので、ぜひ最後までじっくりと読んでみてくださいね。
実際にそのシーンを見てみよう!
今回は、ブースが知人から借りてきた自慢の高級車(アウディ)を前に、どうしても運転させてほしいとせがむブレナンと、大切な車を彼女に預けることをためらうブースの、微笑ましくも少し緊張感のあるやり取りを覗いてみましょう。
Booth: Oh, no, no, wait a second. This is a very powerful machine.
(いやいや、ちょっと待ってくれ。これはすごくパワフルなマシンなんだぞ。)
Brennan: Well, I can handle it.
(ええ、私なら扱えるわ。)
Booth: Okay, look, once around the block. Uh, maybe. Okay.
(わかった、じゃあ、その区画を一周だけだ。うーん、たぶんな。よし。)
BONES Season 4 Episode 16 (The Bones That Foam)
シーン解説と心理考察
いつもは自分の専門分野において絶対的な自信を持ち、マイペースを貫くブレナンですが、目の前にある高性能なスポーツカーにすっかり興味津々で、まるで子どものように自分で運転してみたくなっています。
一方のブースは、友人の大切な車に傷をつけられたくないという本音と、大切な相棒であるブレナンの願いを無下には断れないという葛藤の板挟みになっています。
ブースは「パワフルなマシンだから」と車の性能を理由にして遠回しに諦めさせようとしますが、自分自身の能力を疑わないブレナンには「私なら扱えるわ」とあっさり切り返されてしまいます。
押し切られたブースが苦肉の策としてひねり出した妥協案が、「once around the block(この区画を一周だけ)」という条件でした。
「Uh, maybe. Okay.(うーん、たぶんな。よし。)」という言葉の響きに、それでもまだ不安を拭いきれない彼の揺れ動く心理が見事に表れています。
二人の力関係と、言葉の端々に滲み出るキャラクター性がとても魅力的なシーンですね。
フレーズの意味とニュアンス
around the block
意味:区画(ブロック)を一周して、近所をぐるりと回って、(関連して)経験豊富で、世慣れて
名詞の「block」は、街の道路に四方を囲まれた「区画」を指します。前置詞の「around」は「〜の周りを」という意味を持っているので、直訳すると「その区画の周りをぐるりと回る」という物理的な移動を表します。
アメリカの街並みは碁盤の目状に区画整理されていることが多いため、「ちょっと近所を一周してくる」という日常的な外出や散歩を表現する言葉として、毎日のように使われています。
【ここがポイント!】
物理的な意味としての「近所を一周する」という使い方も非常に便利ですが、この言葉の本当の魅力は、そこから派生したイディオム「have been around the block(直訳:そのブロックを何度も回ったことがある)」にあります。
想像してみてください。自分の住む街のブロックを何度も何度も歩き回り、路地裏の様子やそこに住む人々の顔ぶれまで知り尽くしている状態です。
そこから意味が転じて、「世間の裏も表も知っている」「様々な人生経験を積んで世慣れている」という、人間の成熟度を表す言葉として使われるようになりました。
ただ単にスキルが高いという意味ではなく、人生という名の街を歩き回って、酸いも甘いも噛み分けてきたという、少し泥臭くて人間味のあるニュアンスを醸し出すことができるのが、このフレーズの最大の魅力です。
実際に使ってみよう!
I just need to take the dog for a walk around the block.
(犬を連れて、近所をぐるっと散歩してくるね。)
まずは基本となる物理的な意味での使い方です。遠出するわけではなく、家の周りの区画を軽く一周してくるだけという、日常のちょっとした外出を伝えるときの定番の言い回しです。食後のちょっとした散歩や、気分転換の短いドライブなど、生活のあらゆる場面で自然に使えます。
You can’t fool him with that excuse. He has been around the block a few times.
(そんな言い訳で彼を騙すことはできませんよ。彼はかなり世慣れていますから。)
こちらはイディオムとしての使い方です。「have been around the block a few times(何度かブロックを回ったことがある)」とすることで、彼が様々な経験を積んできており、甘い言葉や浅はかな嘘には簡単には引っかからないような、賢くてしたたかな人物であることを表現しています。ビジネスでの手強い交渉相手などを描写する際にぴったりです。
Don’t worry about her leading the project; she’s been around the block.
(彼女がプロジェクトを率いることについては心配いりません。彼女は経験豊富ですから。)
トラブルや困難な状況に直面したときに、過去の豊富な経験から冷静に対処できる頼もしさを表現する例文です。単に知識があるだけでなく、実際に現場で修羅場をくぐり抜けてきた実践的な「経験値の高さ」を強調したいときに非常に効果的な言葉です。
BONES流・覚え方のコツ
ブースがブレナンに対して「once around the block(この区画を一周だけだぞ)」と念を押して、渋々運転席を譲っているシーンを思い浮かべてみてください。
この時は文字通り「近所の短いドライブ」という意味で使われていますが、もしブレナンが車をぶつけずに、何事もなく近所を何度も何度もドライブして帰ってきたとしたらどうでしょうか。
きっと彼女はアウディの運転のコツを完全に掴み、誰よりも運転の「経験豊富な(around the block)」ドライバーに成長しているはずです。
物理的に「ぐるりと一周回る」という映像と、何度も回ることで経験値が蓄積されていくというイメージを頭の中で繋ぎ合わせておくと、この言葉が持つ二つの意味合いをいつでもスムーズに引き出せるようになりますよ。
似た表現・関連表現
experienced
(経験豊富な、熟練した)
ビジネスや専門的なスキルにおいて、十分に経験を積んでいることを表す最もストレートで一般的な単語です。履歴書やフォーマルな場でよく使われますが、around the blockが持つ「世間の荒波に揉まれた世慣れた感じ」という人生の泥臭さのようなニュアンスは含まれていません。
veteran
(ベテラン、退役軍人、長年の経験者)
特定の分野や職業において、長い間従事している人を指す名詞です。日本語の「ベテラン」と同じ感覚で使えますが、元々は軍隊の経験者を指す言葉であるため、特定の領域における確固たる地位や長いキャリアそのものに焦点が当たっている点が特徴です。
know the ropes
(コツを知っている、要領を得ている)
船乗りが帆を操るための「ロープ(ropes)」の扱い方を知っていることが語源のイディオムです。ある特定の仕事や作業のやり方、組織のルールなどを熟知している状態を指します。人生全般の経験というよりは、具体的な業務や環境における「段取りがわかっている」という実践的なニュアンスになります。
関連知識:アメリカの街並みと「ブロック(区画)」の密接な関係
この表現の背景をより理解するためには、アメリカの都市計画の歴史を知ることがとても役立ちます。
日本の道は曲がりくねっていたり、複雑に入り組んでいたりすることが多いですが、アメリカの多くの都市(特にニューヨークのマンハッタンや、西部開拓時代以降に作られた計画都市)は、「グリッド(格子状)」と呼ばれる碁盤の目のような美しい規則性を持って設計されています。
この格子を構成する一つ一つの四角い区画が「ブロック」です。
そのため、アメリカに住む人々にとって「ブロック」という単位は、距離や方向を示すための非常に身近で具体的な基準となっています。
道案内をするときに「Go two blocks and turn right.(2ブロック進んで右に曲がって)」と表現するのは、その最も典型的な例です。
「around the block」という言葉に「経験」という意味が宿ったのも、アメリカ人にとってブロックが単なる道路の塊ではなく、人々の生活が営まれ、様々な人間模様が繰り広げられる「社会の最小単位」として認識されているからかもしれません。
自分の住むブロックを隅々まで知り尽くしていることは、つまりその社会の裏表を知り尽くしていることの比喩として、これ以上ないほどぴったりだったというわけです。
言葉の背景にあるその国の街並みや文化を想像しながら表現を味わうと、英語に触れる時間がさらに豊かで楽しいものになりますね。
まとめ|日常の風景から人生の経験値まで表現できる言葉
今回は『BONES』シーズン4第16話のドライブシーンから、「around the block」という表現を紹介しました。
単に「近所を一周する」という物理的な意味から始まり、それが「経験豊富で世慣れている」という深い意味へと変化していくプロセスは、言葉の持つ表現力の豊かさを教えてくれます。
皆さんも、ちょっと近所へお散歩に行くときや、頼りになる人生の先輩を思い浮かべたときには、ぜひこのフレーズを思い出して、その奥深い響きを味わってみてくださいね。


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