海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
一緒にいると自然と力が出せる人もいれば、なぜか本来の自分らしさが出せなくなる相手もいる。そんなふうに感じたことはありませんか。
そんな状況にぴったりの「bring out the best in」を、『モダンファミリー』シーズン4第22話の後半、テディについて語るジェイの一言から、一緒に見ていきましょう。
「bring out the best in」の意味とニュアンス
bring out the best in
意味:(人)の一番いい面を引き出す
bring out the best in someone は、ある人や状況が働きかけて、その人が本来持っている良い面や持ち味を引き出すことを表します。bring out は「外へ出す、引き出す」、the best は「最良のもの」、in は「〜の中にある」の意味で、直訳すると「人の中にある最良のものを外へ出す」となります。
この表現では、引き出す側が主語になります。言い換えると、主語は「働きかける人や物」で、引き出される人は in の後ろに入ります。今回のシーンでは、he(テディ)が主語で、in の後ろに Mitchell が置かれていて、「テディがミッチェルの一番いい面を引き出す」という関係を表しています。
今回の文は did not bring out the best in Mitchell と、否定の形です。「引き出さなかった」つまり「ミッチェルの良さを引き出せていなかった」という評価を、ジェイがはっきりと言い切っています。肯定にも否定にも使える形で、良い面が引き出されているか、いないかを述べるときに向いています。
対になる形は bring out the worst in someone で、「その人の一番悪い面を引き出す」という意味になります。best を worst に替えるだけで、意味が反転します。主語が人でも、ストレスや環境のような状況でも使えます。
【ここがポイント!】
- 「bring out the best in」の核は、人の中にある最良のものを外へ引き出すイメージ
- 引き出す側が主語で、引き出される人は in の後ろに置く
- best を worst に替えると、反対の意味になる
『モダンファミリー』S04E22のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ジェイとキャメロンが、テディについて言葉を交わす場面です。テディは、ミッチェルの元交際相手にあたる人物です。ジェイの「いい奴だな」という一言から始まり、そのあとでジェイがテディについて語る内容に、キャメロンが問い返します。ジェイの言い切り方と、キャメロンの問いかけに注目です。
Jay: Good guy.
(いい奴だな。)Cameron: Who–Teddy? Yeah. Yeah, he’s the best.
(誰、テディのこと? ああ、そうだね。うん、彼は最高だよ。)Jay: Nuts he can’t find anybody, huh? Gotta be something a little off there. He definitely did not bring out the best in Mitchell, I can tell you that right now.
(あいつに相手が見つからないなんて、おかしな話だよな。どこか少しおかしいところがあるんだろう。あいつがミッチェルのいちばんいいところを引き出しちゃいなかったのは、今すぐ断言できるぞ。)Cameron: Oh, really? Well, you know, not that it matters But in what way exactly?
(へえ、そうなの? まあ、その、どうでもいいことなんだけど……具体的にはどんなふうに?)Modern Family Season4 Episode22 (My Hero)
シーン解説と心理考察
会話は、ジェイの「いい奴だな」という短い一言から始まります。誰のことなのかは、キャメロンが「誰、テディのこと?」と聞き返すことで分かります。キャメロンは「うん、彼は最高だよ」と、テディをほめる言葉で応じます。
すると、ジェイは話を続けます。テディに相手が見つからないなんておかしな話で、どこか少しおかしいところがあるのだろう、と言います。そのうえで、「あいつはミッチェルの一番いいところを引き出していなかった」と、今すぐ断言できるとまで言い切ります。ここで bring out the best in が登場します。「いい奴だな」から始まった会話が、ここでミッチェルに関する評価へと切り替わっていきます。
ジェイは、テディがミッチェルの持ち味を引き出せていなかったと、迷いなく語ります。「今すぐ断言できる」という言い方に、ジェイの言い切りの強さが表れています。ジェイのぶっきらぼうな話しぶりが、そのまま出ている一言です。
これに対してキャメロンは、「へえ、そうなの?」と受け止めたうえで、「どうでもいいことなんだけど」と前置きし、「具体的にはどんなふうに?」と尋ねます。言いよどみを挟みながら、ジェイの言葉の具体的な中身を尋ねる問いかけです。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
人の中に、宝物のように大切なものがしまわれている様子を思い浮かべてみましょう。その宝物にあたるのが the best です。bring out は、しまわれている宝物を外へ取り出して見せるイメージです。取り出す相手は、「in + 人」で示します。
この形で覚えておくと、in の後ろに人が来る、という位置関係が自然に頭に入ります。人の中にあるものを取り出すのだから、「人の中に」を表す in になる、と考えるとまとまります。
ジェイの一言は、その宝物を取り出せていなかった、という言い方です。テディはミッチェルの中にある一番いいものを、外へ出せていなかった、という意味合いになります。
否定形の did not bring out the best in は、宝物が中にしまわれたままだった、と重ねて考えると、意味が浮かびやすくなります。反対の bring out the worst in なら、しまわれていた一番悪いものが、外に引き出されてしまう、というイメージです。
例文で覚える「bring out the best in」
コーチ、教育、ストレスと、主語を変えながら、3つの例文で確認していきましょう。
A good coach knows how to bring out the best in every player.
(よいコーチは、選手一人ひとりのいちばんいい面を引き出す方法を知っている。)
コーチの指導力をほめる場面です。in の後ろに every player を置いて、引き出される側を示しています。
A: Why do you love teaching so much?
B: The right project can bring out the best in a shy student.
(A:どうしてそんなに教えるのが好きなの?)
(B:いいプロジェクトなら、内気な生徒のいちばんいい面を引き出せるからだよ。)
仕事のやりがいを聞かれて答える往復会話です。主語が人ではなくプロジェクトになっていて、物や状況も引き出す側になれることが分かります。
Stress doesn’t always bring out the best in people.
(ストレスは、必ずしも人のいい面を引き出すとは限らない。)
忙しい時期の人間関係を語る場面です。doesn’t always と組み合わせると、「必ずしも〜とは限らない」という否定の形になります。
あわせて覚えたい関連表現
bring out the worst in someone
(人の一番悪い面を引き出す)
best を worst に替えた対の表現です。その人と一緒にいると怒りっぽくなる、といった場面で使えます。
get the best out of someone
(人から最大限の力や成果を引き出す)
get the best out of は、能力や成果を最大限に発揮させることに重点があり、指導や管理の場面で使えます。bring out the best in は、人柄や持ち味も含めた良い面を指します。
bring out the good in someone
(人の良いところを引き出す)
意味は近いですが、the best は「一番の」という最上級の響きを持ちます。the good は、良い面があることを穏やかに述べる言い方です。
Note|「in」と「out of」で入れ替わる、人を置く位置
bring out the best in someone と get the best out of someone は、意味が近いのに、引き出される人を置く位置が違います。前置詞の使い方を比べると、二つの表現の構造がはっきりします。
bring out the best in someone では、引き出される人は in の後ろに来ます。「人の中にある最良のもの」という並びで、the best のすぐ後ろに in someone が続きます。今回のシーンの he did not bring out the best in Mitchell も、この形です。
一方、get the best out of someone では、引き出される人は out of の後ろに来ます。「人の中から最良のものを取り出す」という並びで、the best のすぐ後ろに out of someone が続きます。bring out は動詞の一部に out が含まれていますが、get the best out of では out of が前置詞として人の前に立ちます。
この違いは、前置詞で覚えておくと便利です。bring out the best in は、bring out で「引き出す」を表し、in で引き出される人を示します。get the best out of は、get the best で「最良のものを得る」を表し、out of で人を示す形です。
また、意味の面でも、bring out the best in は人柄や持ち味も含めた良い面を、get the best out of は能力や成果を、それぞれ主に指します。指導や管理の場面なら get the best out of、人の良さを語る場面なら bring out the best in と、場面に応じて選べます。
テディと一緒にいたときのミッチェルは持ち味が出ていなかった、という見立てが、bring out the best in という形から伝わってきます。
まとめ|その人の一番いい面を、外へ引き出す
bring out the best in someone は、ある人や状況が働きかけて、その人の一番いい面や持ち味を引き出すことを表す表現です。引き出す側が主語で、引き出される人は in の後ろに置き、反対の意味は bring out the worst in で表します。
指導や職場、家族、友人関係など、人の良い面が引き出されているかどうかを語る場面で使えます。肯定にも否定にも使えるので、「引き出されている」「引き出されていない」のどちらも表せます。
ジェイが、テディはミッチェルのいちばんいいところを引き出していなかったと、迷いなく言い切ったシーンには、この表現の使いどころがよく表れていました。身近な人の良さを語りたいときの言い回しとして、表現の引き出しに加えてみてください。


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