海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
お互いに少し悪いところがあったとき、「ここはおあいこにしようか」と持ちかけて、気まずい空気を収めたくなった経験はありませんか。
そんな場面にぴったりの「call it even」を、『モダンファミリー』シーズン5第14話の後半、クレアがアレックスに持ちかけるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「call it even」の意味とニュアンス
call it even
意味:おあいこにする、貸し借りなしにする
call it even は、お互いの貸し借りや落ち度を同じ重さとみなして、これで清算しよう、と持ちかける表現です。even は「平らな、対等な」という意味で、貸しも借りもない状態を表します。call it は「それを〜と呼ぶ」という形で、「この状態を even と呼ぶことにしよう」と宣言するような言い方です。
直訳の「それを均等と呼ぶ」では意味が通りにくいため、日本語では「おあいこにする」「貸し借りなしにする」と訳します。ここでの even は、金額の話に限りません。おごり合いの清算のような金銭のやり取りにも、お互いに悪かったと認めて水に流したい場面にも使えます。
Let’s call it even. のように、提案の形で使うのが基本です。すでに貸し借りがない状態を述べる be even(We’re even.)とは違い、call it even は「そういうことにしよう」と、相手にもちかける行為に重点があります。相手が受け入れて初めて成り立つ、やわらかな交渉の一言と言えます。
【ここがポイント!】
- 「call it even」の核は、お互いの貸し借りや落ち度を差し引きして、清算しようと持ちかけること
- 「それを均等と呼ぶ」と直訳せず、「おあいこにする」と訳すのがコツ
- Let’s call it even. のように、提案の形で使うのが基本
『モダンファミリー』S05E14のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
クレアとアレックスの会話です。アレックスが用意していたクレアへの誕生日プレゼントの話が出て、クレアが「おあいこにしましょうか」と切り出す流れに注目です。
Claire: Oh, my g– Uncle Mitchell was helping you get me a birthday present?
(えっ、ちょ… ミッチェルおじさんが、私への誕生日プレゼントを手伝ってくれてたの?)Alex: Yeah, I wanted to make you dinner and get you a nice bottle of wine, the one he served at New Year’s you said you liked.
(うん、ママにディナーを作って、いいワインを1本プレゼントしたかったの。新年のときに彼が出したワイン、気に入ったって言ってたでしょ。)Claire: Ooh, I did like that wine. I’m sorry I ruined the surprise.
(あら、確かにあのワインは気に入ったわ。サプライズを台無しにしてごめんね。)Alex: You should be. What did you think I was doing, anyways? Give me some credit.
(反省してよね。私が何してると思ったわけ? もう少し信用してよ。)Claire: Oh, well, then, maybe we could just call it even, since he typed, “I’m just surprised she remembered coming to my house that night. To which you responded, “bahahahahahaha” with like five exclamation points.
(じゃあ、これでおあいこにしましょうか。だって彼は「彼女があの夜うちに来たことを覚えてたなんて意外だ」って打ってて、それにあなたは「あはははは」って、びっくりマークを5個くらいつけて返してたじゃない。)Alex: Seems fair.
(それでいいよ。)Modern Family Season5 Episode14 (iSpy)
シーン解説と心理考察
クレアは、ミッチェルおじさんがプレゼントの用意を手伝っていたと聞いて、驚きの声を上げます。贈られる側はクレア自身です。アレックスは、クレアにディナーを作って、新年にミッチェルが出したワインを贈りたかったのだと打ち明けます。クレアが気に入ったと言っていたワインを選ぶあたりに、アレックスの用意の細やかさが表れています。
クレアは、「確かにあのワインは気に入った」と認めたうえで、「サプライズを台無しにしてごめんね」と謝ります。これに対してアレックスは、「反省してよね」と受け止めます。さらに「私が何してると思ったわけ?」と問い返し、「もう少し信用してよ」と続けます。クレアが何かを思い込んでいたことに、アレックスが不満を伝えている流れです。
そこでクレアが持ちかけるのが、「maybe we could just call it even」です。ここでクレアが持ち出すのは、ミッチェルが打ったメッセージの文面と、それにアレックスが「あはははは」と返した返信です。びっくりマークを5個くらいつけていた、という細かいところまで挙げて、こちらにも言い分がある、と示しています。サプライズを台無しにしたことと、このやり取りを差し引きして、お互い様にしようという提案です。
アレックスは「それでいいよ」と受け入れます。短い返事ですが、クレアの持ちかけを対等な取引として認めたことが伝わります。謝ったり責めたりが続いた母と娘の会話が、call it even の一言で軽く収まり、ぎくしゃくしていた空気がほどけます。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
天秤の両側が同じ高さで釣り合っている様子を思い浮かべてみましょう。「この状態を even(釣り合い)と呼ぼう」と宣言する形で、貸しも借りも残さない、という意味につながります。片方の皿に少し重みが乗っていても、もう片方に同じ重さを乗せれば、天秤は水平に戻ります。
クレアの一言は、この天秤の使い方そのものです。サプライズを台無しにしたことを、片方の皿に乗せます。もう片方には、ミッチェルのメッセージとアレックスの返信を乗せます。両方の重さがつり合うので、「おあいこにしましょう」と言えるわけです。
言い方の型は、call it のあとに even を置くだけです。Let’s call it even. の形で、まとめて口にできるようにしておくと、おごり合いの清算や、お互いさまの謝り合いの場面で、すぐに使えます。
例文で覚える「call it even」
貸し借りを清算して、おあいこにする call it even を、3つの例文で確認していきましょう。
You paid for lunch, so I’ll get the coffee. Let’s call it even.
(昼ごはんはあなたが払ったから、コーヒーは私が出すよ。これでおあいこね。)
おごり合いを清算する場面です。so で理由を示したあとに Let’s call it even. を置くと、清算の提案がすっきり伝わります。
If you cover my shift today, I’ll cover yours next week and we’ll call it even.
(今日私のシフトを代わってくれたら、来週あなたの分を代わるよ。それでおあいこにしよう。)
シフトを交換する場面です。if を使った条件のあとに call it even を続けると、交換の取り決めを言い表せます。
A: I broke your cup.
B: You fixed my bike last week. Let’s call it even.
(A:君のカップを割っちゃった。)
(B:先週は自転車を直してくれたよね。これでおあいこにしよう。)
小さな失敗を水に流す往復会話です。相手が過去にしてくれたことを引き合いに出して、貸し借りを差し引きしています。
あわせて覚えたい関連表現
be even
(貸し借りなしである)
be even は「貸し借りのない状態」を表すのに対し、call it even は「そういうことにしよう」と提案する行為です。We’re even. は状態、Let’s call it even. は提案です。
call it quits
(これで終わりにする)
call it quits は関係や作業を終える意味であるのに対し、call it even は貸し借りを清算する意味です。call it のあとに置く語で意味が変わります。
we’re square
(貸し借りなしだ)
we’re square は状態を言い切るくだけた言い方であるのに対し、call it even は「そうしよう」と持ちかける響きがあります。
Note|call it のあとに置ける語と、「それを均等と呼ぶ」と直訳すると外れる理由
call it even は、call it のあとに語を置く形の一例です。ここでは、この形の広がりと、直訳の落とし穴を整理します。
まず、call it のあとに置ける語です。call it even のほかに、call it quits(これで終わりにする)や call it a day(今日はここまでにする)があります。call it のあとに置く語によって、何をそういうことにするのかが決まります。even なら貸し借りの清算、quits なら終わりにすること、a day なら一日の仕事の区切りです。形は同じでも、意味は置く語で変わります。
次に、直訳の落とし穴です。call it even を「それを均等と呼ぶ」と直訳すると、日本語としては意味が通りにくくなります。この表現は、貸し借りを差し引きして、お互いに何も残らない状態にしようという提案なので、「おあいこにしよう」と訳すのが自然です。
最後に、クレアの言い方に注目してみましょう。クレアは Let’s call it even. ではなく、maybe we could just call it even と言っています。maybe と could と just が重なることで、「よければ、ただそういうことにしてはどうか」とやわらかく持ちかけています。断定せずに、相手に受け入れるかどうかを委ねる言い方です。アレックスの「それでいいよ」は、その提案をそのまま受け入れた返事です。
まとめ|お互いの言い分を差し引きして、収める一言
call it even は、お互いの貸し借りや落ち度を同じ重さとみなして、清算しようと持ちかける表現です。「それを均等と呼ぶ」ではなく、「おあいこにする」と訳します。
be even が貸し借りのない状態を表し、call it quits が終わりにすることを表すのに対し、call it even は貸し借りを差し引きする提案として使います。maybe we could just のようにやわらかい前置きを付けると、相手に受け入れやすい持ちかけになります。
クレアはサプライズを台無しにしたことを謝ったあとで、call it even と持ちかけ、アレックスは「それでいいよ」と受け入れていました。母と娘のぎくしゃくが、軽い掛け合いのうちに収まっていくやり取りでした。


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