海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
なかなか動き出さない誰かに、「そろそろ急いでほしい」と誰かが代わりに声をかけてくれたら助かる、と思う場面はありませんか。
そんなときに使える「light a fire under someone」を、『モダンファミリー』シーズン5第21話の中盤、ジェイがキャメロンにミッチェルを急かすよう頼む場面から、一緒に見ていきましょう。
「light a fire under someone」の意味とニュアンス
light a fire under someone
意味:(人を)せき立てる、発破をかけて動かす
light a fire under someone は、なかなか動かない人や、のんびりしている人に、行動を急がせる、やる気を出させる、という言い方です。直訳は「人の下に火をつける」で、座っている人の足元に火がつけば、慌てて立ち上がって動き出す、という動きが根底にあります。
under のあとには、急かしたい相手を置きます。light a fire under him や light a fire under the team のように、人や人の集まりが続く形です。過去形は lit で、He lit a fire under the team. のように使います。命令形や to 不定詞にも置けるので、「彼に発破をかけてくれ」という頼みごとにも、「自分がせっつく」という宣言にも使えます。
この表現は、動かしたい側から相手への働きかけを描く言い方です。相手を急がせる強めの働きかけを表すので、話し手と相手との距離感によって、頼もしい響きにも、少しきつい響きにもなります。
【ここがポイント!】
- 核は、座っている人の足元に火をつけて動き出させるイメージ
- under のあとに、動かしたい相手を置く形で使う
- 「尻を叩く」「発破をかける」に近い、動かす側の視点の表現
『モダンファミリー』S05E21のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
家族が集まっている場面で、ジェイがキャメロンにミッチェルを急かしてほしいと頼みます。ところが当のミッチェルはすでにその場にいて、ジェイの頼みにすぐ返事をします。頼みごとの中に light a fire under が入っています。
Jay: Cam, do me a favor — call Mitchell and light a fire under him.
(キャム、頼みがある。ミッチェルに電話して、尻を叩いてやってくれ。)Mitchell: I’m right here, dad.
(ここにいるよ、父さん。)Jay: Oh. Good. I didn’t see you come in.
(ああ。よかった。入ってきたのに気づかなかったよ。)Mitchell: You opened the door for me. You thanked me for bringing a bottle of chardonnay.
(父さんがドアを開けてくれたんだよ。僕がシャルドネを1本持ってきたことに、お礼まで言ってくれた。)Jay: Doesn’t sound like me.
(俺らしくないな。)Modern Family Season5 Episode21 (Sleeper)
シーン解説と心理考察
ジェイは、キャメロンに「ミッチェルに電話して、尻を叩いてやってくれ」と頼みます。頼み方に遠慮はなく、do me a favor という前置きのあとに、light a fire under him という強めの言い方が続いています。ぶっきらぼうな口ぶりが、そのまま表れています。
ところが、ミッチェルは「ここにいるよ、父さん」と返します。頼みごとの対象が目の前にいた、という小さなずれが、この場面に生まれています。ジェイは「よかった」と受け止め、「入ってきたのに気づかなかった」と話します。
ミッチェルは、ジェイがドアを開けてくれたこと、シャルドネを持ってきたことにお礼まで言ってくれたことを、具体的に挙げます。それを聞いたジェイの「俺らしくないな」という一言が、この短いやり取りを軽く締めくくっています。自分がそんなことをしたとは思えないという反応が、飾りのない短い言葉になって響きます。急かしてほしいと頼んだジェイ自身が、ミッチェルの話では、ドアを開けてお礼まで言っていたことになります。頼みごとの強い言い方と、その場の出来事との温度差が、この場面のやり取りを軽やかにしています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
椅子に座ったまま動こうとしない人の足元に、ぱっと火がついたところを思い浮かべてみましょう。座っていられなくなって、慌てて立ち上がり、走り出します。この「足元の火で動き出させる」姿が、light a fire under の芯にあります。
ジェイの頼みも、まだ来ていないと思っているミッチェルの足元に、火をつけてほしいという頼みでした。相手が動いていない、その足元に火を置く、と唱えておくと、under のあとに動かしたい人を置く形も一緒に思い出せます。火をつける側は話し手で、慌てて動き出すのは相手、という役割の分担も、この絵にそのまま重なります。頼みごとをするときは「彼の足元に火をつけて」、自分が引き受けるときは「彼の足元に火をつけておく」と、場面ごとに言い換えて唱えてみるのも一つの覚え方です。
例文で覚える「light a fire under someone」
動かしたい相手が under のあとに来る形を意識しながら、3つの例文を見ていきましょう。
Someone has to light a fire under the vendor before Friday.
(金曜までに、誰かが業者に発破をかけないといけません。)
仕事の納期が迫っている場面です。相手を急がせる必要がある、という切迫感が、light a fire under に乗っています。
Nothing seems to light a fire under my brother; he still hasn’t started packing.
(何をしても兄は動き出さないようです。まだ荷造りも始めていません。)
家族のなかで、動かない相手にやきもきしている場面です。何を言っても動かない相手への、少し呆れた気持ちがにじみます。
A: The report still isn’t done.
B: Don’t worry. I’ll light a fire under him.
(A:報告書がまだできてないんだ。)
(B:心配しないで。彼をせっついておくから。)
職場の同僚同士の会話です。「自分が動かす側に回る」という引き受け方の一言になります。
あわせて覚えたい関連表現
get someone moving
(人を動かす、行動させる)
get someone moving は、人を動き出させるという中立的な言い方です。light a fire under は、急がせる、尻を叩く、という強めの働きかけを表します。
give someone a push
(人の背中を押す、後押しする)
give someone a push は、背中を押して励ますニュアンスも含みます。light a fire under は、のんびりした人を急がせる、という切迫感が強い言い方です。
hurry someone up
(人を急がせる)
hurry someone up は、急がせるという意味をそのまま述べる言い方です。light a fire under は、急がせるだけでなく、発破をかけて動かす、という比喩的な強さがあります。
Note|「火をつける」と訳したときに生まれるずれ
light a fire under someone を日本語にするとき、「火をつける」という言葉の選び方で、受け取られ方が変わります。日本語の「火をつける」との違いを整理してみます。
日本語の「やる気に火をつける」は、気持ちを奮い立たせて、内側から燃え上がらせるという前向きな響きで使われます。一方、light a fire under someone は、「人の下に火をつける」という直訳のとおり、足元に火を置いて座っていられなくする、という外からの働きかけです。相手の気持ちを育てるというより、動かない人に動いてもらう、急いでもらう、という切迫した場面に向きます。たとえば The manager needs to light a fire under the team before the deadline. なら、「締め切りの前にチームを急がせる必要がある」という意味合いで、「チームの情熱に火をつける」という訳とはずれます。この場合は「尻を叩く」「発破をかける」「せっつく」と訳すと、原文の勢いに近くなります。もちろん、動き出したくなる刺激を与えて、結果としてやる気が出る場面にも当てはまります。A little competition might light a fire under her. なら、「少し競争があれば、彼女もやる気を出すかもしれない」と訳せます。
ジェイの light a fire under him という言い方は、動かしたい相手を急かしてほしい、というキャメロンへの頼みに使われています。「ミッチェルに電話して、尻を叩いてやってくれ」と訳すと、頼みごとの勢いがそのまま伝わります。
同じ「火」でも、内側に灯すか、足元に置くかで、意味の向きが変わります。
まとめ|動かない人の足元に火をつける一言
light a fire under someone は、なかなか動かない人を、外から働きかけて急がせる、動かす表現です。
締め切りが迫った仕事でも、荷造りが進まない家族の場面でも、under のあとに動かしたい相手を置くだけで、「発破をかける」という働きかけを一言で言い表せます。「やる気に火をつける」という日本語より、切迫感のある動かし方を指す点も、覚えておきたい違いです。
ミッチェルを急かしてほしいと頼んだ直後に、本人がすぐそばにいたと分かるジェイの場面には、頼みごとの勢いと、話がかみ合わない小さなずれが並んでいました。表現の引き出しに加えてみてください。


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