海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン7第16話では、引退後にネット番組を始めたジェイが、悪口のコメントを書き込む相手に悩まされます。その正体は、クローゼットの商売で張り合ってきたアールでした。
張り合う相手との関係は、英語ではどんな言葉で語られるのでしょうか。この回には、相手を打ち負かす言葉から、張り合いが互いを高めたと認め合う言葉まで、ライバル関係を表す表現がそろっています。
「crush」と「crush it」相手を打ち負かす言葉
ジェイは、ネット上の相手を探し出せる知り合いがいないかとアレックスに相談します。たどり着いた先にいたのがアールでした。顔を合わせたジェイは、アールにこう言い放ちます。
Jay: You’re pathetic.
(情けねえやつだな。)Jay: I crushed you in the closet game, and I’m crushing it on the Internet.
(クローゼット業界じゃお前を叩きのめしたし、ネットでも絶好調だ。)Modern Family Season7 Episode16 (The Cover-Up)
pathetic は「哀れな、情けない」という意味で、相手を見下すときに使われる強めの形容詞です。親しい間柄でも角が立ちやすいため、使う場面を選ぶ語と言えます。
注目したいのは、同じ crush が一文の中で二つの意味で使われている点です。crush you のように目的語に人を取ると「(相手を)打ち負かす、圧倒する」という意味になります。一方、crushing it の it は特定の何かを指さず、「(自分が)大成功している、絶好調だ」というくだけた言い方です。
| 形 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| crush + 人 | 相手を打ち負かす | We crushed them in the final. |
| crush it | 自分がうまくやっている | You’re crushing it at work. |
前者は勝ち負けの話、後者は自分の調子の話です。ジェイは過去の商売と今のネット番組を並べて、どちらでも自分が上だと言い切っているのが分かります。the closet game の game は「業界、分野」を指すくだけた用法で、the real estate game(不動産業界)のようにも使われます。
「need each other」と「It’s what drives you」張り合う理由
言い合いを続けた二人に、その場にいたマニーがこう言います。アールはその言葉に同意します。
Manny: You two need each other.
(二人とも、お互いが必要なんだよ。)Manny: It’s what drives you.
(それが二人の原動力なんだ。)Earl: The kid is right.
(坊主の言うとおりだ。)Earl: Beating you is half the reason I get out of bed.
(お前を負かすのが、朝起きる理由の半分だからな。)Modern Family Season7 Episode16 (The Cover-Up)
need each other は「互いを必要としている」で、相手がいないと自分が成り立たない関係を表します。ライバルについて使うと、敵対しているように見えて実は欠かせない存在だ、というニュアンスになります。マニーは You two と二人をまとめて呼びかけ、どちらか一方ではなく二人の関係そのものを指摘しています。
It’s what drives you. の drive は「突き動かす、やる気にさせる」という動詞です。What drives you?(あなたを動かしているものは何?)のように、仕事の動機を尋ねる質問としても耳にします。
アールの half the reason I get out of bed は、直訳すると「ベッドから出る理由の半分」です。the reason I get out of bed (in the morning) は、生きがいや毎日のやる気の源を表す言い回しとして使われます。張り合う相手を、自分の毎日の原動力と言い表している点が、この場面のやりとりから分かります。
「make each other better」と「push each other」高め合う関係
アールとジェイは、二人の関係をさらにこう言い表します。
Earl: Locking horns.
(角を突き合わせてな。)Earl: We made each other better than I ever thought we could be.
(思ってた以上に、お互いを高め合ったよな。)Jay: Pushed each other to greatness.
(押し上げ合って、高みまでな。)Earl: We touched the sky.
(空にまで手が届いた。)Modern Family Season7 Episode16 (The Cover-Up)
make each other better は「互いをより良くする」という結果に目を向けた言い方で、push each other は「互いに押し合う、刺激し合う」という過程に目を向けた表現です。ジェイの to greatness は「偉大さへと」で、押し上げた先を大きく言い表しています。アールの We touched the sky. も、成功の高さを空にたとえた大げさな言い回しです。need each other を含めて整理すると、次の表のとおりです。
| 表現 | 焦点 |
|---|---|
| need each other | 互いが欠かせない(関係そのもの) |
| push each other | 競い合って刺激し合う(過程) |
| make each other better | 互いを成長させた(結果) |
Locking horns. は角を突き合わせる動物の姿から「激しく対立する」を表す言い方で、詳しい使い方はフレーズ記事に譲ります。
その後アールは、ジェイの番組を一緒にやろうと持ちかけます。
Earl: All right, here’s something.
(よし、こういうのはどうだ。)Earl: What if we do the show together?
(番組を一緒にやるってのは?)Jay: What? No! I’m not gonna let you glom onto my new hit show!
(何? ダメだ! 俺の新しい人気番組に便乗させてたまるか!)Manny: 43 views.
(再生回数、43回。)Earl: We could do like a like a point/counterpoint kind of thing.
(ほら、その、賛成と反対を言い合うみたいなやつができるだろ。)Modern Family Season7 Episode16 (The Cover-Up)
glom onto は「ちゃっかり便乗する、くっついて離れない」というくだけた句動詞です。point/counterpoint は、ある主張とその反論を交互に示す形式を指します。高め合いを認めた後、アールが番組への参加を持ちかけ、ジェイが断るという順序で場面が進みます。
まとめ|ライバル関係を語る英語
crush と crush it の違い、need each other と It’s what drives you で語る張り合う理由、そして push each other と make each other better の過程と結果の違い。ライバルとの関係を表す言葉が、一つの場面に集まっていると言えます。
次回も『モダンファミリー』の会話を手がかりに、英語の言い回しを集めていきましょう。
同じ回のほかのコラムでは、とっさのうそを表す言い方や、怖がる子をめぐる夫婦の会話を取り上げています。


コメント