海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は『ビッグバン★セオリー』シーズン10 第9話から、イライラが収まらない友人をなだめるときの英語を取り上げます。同僚のバートが大きな賞を受けたことで機嫌を損ねたシェルドンに、仲間たちが入れ替わり立ち替わり声をかけていきます。
穏やかな提案から厳しめの一言まで、なだめ方にも段階があります。うまくいった言葉といかなかった言葉を、順に見ていきます。
「cranky」で事情を伝え、「go for a walk」で場を変える
階段で廊下の自転車に文句を言うシェルドンについて、レナードがペニーとエイミーに事情を説明します。
Leonard: Ignore him, he’s just cranky because Bert from the geology lab won a big grant.
(気にしないで。地質学研究室のバートが大きな賞金をもらったから、機嫌が悪いだけなんだ。)TBBT Season10 Episode09
cranky は「機嫌が悪い、怒りっぽい」という口語的な形容詞です。Ignore him で「相手にしなくていい」と周りに伝え、he’s just ~ because … で原因を添えています。本人ではなく周りの人に向けて、場の空気をやわらげる言い方です。
別の場面で、論文を読んでますます苛立つシェルドンに、レナードは場所を変える提案をします。
Leonard: Hey, buddy, why don’t we go for a walk, so you can calm down.
(なあ、散歩にでも行かないか。気持ちを落ち着けられるようにさ。)TBBT Season10 Episode09
Why don’t we ~? は「一緒に〜しない?」と、自分も付き合う形で誘う提案です。命令の Calm down. とは違い、落ち着くことを散歩の目的として後ろに添えているため、相手に指図する響きが弱まります。so you can ~ は「〜できるように」と目的を示す形です。
シェルドンは皮肉まじりの返事をしますが、レナードは I’m trying to help you.(君を助けようとしているんだよ)と善意をそのまま言葉にして伝え直しています。なだめる側が引かずに意図を示す一言として、覚えておくと使いやすい表現です。
「怒らないで」が逆効果になるとき、視点を変える一言
同じ場面の少し前には、なだめる言葉が裏目に出るやり取りがあります。
Amy: Sheldon, it’s foolish to be angry that Bert’s work has merit.
(シェルドン、バートの研究に価値があるからって腹を立てるのは愚かよ。)Sheldon: Yeah, well I am angry. And you telling me not to be angry makes me angry.
(ああ、だが僕は怒っている。それに、君に怒るなと言われると腹が立つ。)TBBT Season10 Episode09
エイミーの it’s foolish to ~ は「〜するのは愚かだ」と、感情そのものに評価を下す言い方です。気持ちを「愚か」と言われると、相手はかえって反発しやすくなります。シェルドンの返しは、その仕組みを本人が言葉にしたものと言えます。you telling me ~ makes me … は「君に〜と言われると…になる」と、相手の言葉が自分に与える影響を伝える形です。
後の場面では、エイミーが比べる相手から目を離させる言い方を選びます。
Amy: You know, Sheldon, instead of fixating on what Bert has, you should appreciate all of the good things in your life.
(ねえシェルドン、バートが持っているものにこだわる代わりに、自分の人生にあるいいことすべてに感謝するべきよ。)TBBT Season10 Episode09
instead of fixating on ~ は「〜にこだわるのではなく」と、注意の向け先を移す型です。怒りを否定せず、視点だけを変えようとしているのが分かります。
「knock it off」で止め、「There you go」で背中を押す
エイミーの言葉が届かず、レナードに番を回されたペニーは、エイミーよりはるかに厳しい言い方を選びます。
Penny: This is getting old fast, Dolores, knock it off.
(もううんざりよ、ドロレス、いい加減にして。)TBBT Season10 Episode09
This is getting old は「もう聞き飽きた」、knock it off は「いい加減にして」という強めの制止です。親しい間柄だからこそ成り立つ言い方で、関係が浅い相手に向けると角が立つおそれがあります。悪口が役に立つのかと問い返されても、ペニーは your life is fine(あんたの人生は順調)と言い切ります。シェルドンはこれを受け入れ、自分に言い聞かせる言葉を口にします。
Sheldon: Thank you, Penny. You know, I just need to keep reminding myself that Bert’s success is not my failure.
(ありがとう、ペニー。そうだ、バートの成功は僕の失敗ではないと、自分に言い聞かせ続ければいいんだ。)Penny: There you go.
(その調子。)TBBT Season10 Episode09
There you go. は、相手が望ましい方向に動いたときに「その調子」と後押しする一言です。
まとめ|段階を選んでなだめる
cranky で周りに事情を伝え、why don’t we go for a walk で場を変え、instead of fixating on で視点を移し、knock it off で止めて There you go で背中を押す。相手との距離に合わせて段階を選ぶと、苛立つ相手への声かけに幅が出ます。
穏やかな言葉と厳しい言葉の効き目の違いも、この回のやり取りから読み取れます。
この回の別の切り口は、同じエピソードのほかのコラムやフレーズ記事で扱っています。


コメント