海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
不謹慎なジョークや配慮を欠いた発言に、「それはちょっと品がないんじゃ……」と感じたことはありませんか。
そんなときに使える「in poor taste」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン10第9話、ハワードが自作のきわどい人形を妻に見せる場面から、一緒に見ていきましょう。
「in poor taste」の意味とニュアンス
in poor taste
意味:悪趣味だ、品がない、不謹慎だ
ここでの taste は味覚ではなく「good taste(良識・センス)」の taste です。poor は「乏しい・貧弱な」。冗談・発言・服装・広告などが、その場の良識から外れて不快・不適切であることを、やわらかく指摘する定型句です。be 動詞と組み合わせて It’s in poor taste.(それは悪趣味だ)の形で使うのが基本で、tasteless(無神経な)よりも婉曲で、大人の指摘として機能します。反対の「センスがいい・趣味がいい」は in good taste。rather を挟んで in rather poor taste とすると、さらに控えめで丁寧な非難になります。
【ここがポイント!】
- taste を「味覚」ではなく「良識・センス」と読むのがカギになる表現
- It’s in poor taste. の形で、冗談や発言の品のなさをやわらかく指摘できる
- tasteless より婉曲で、面と向かった非難を避けたいときに便利
『ビッグバン★セオリー』S10E09のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。ハワードは、車椅子に乗った著名物理学者を模したリモコン人形を自作し、妻バーナデットに得意げに披露します。ところがバーナデットの反応は冷ややか。ひと言で「それは品がない」と切り捨てます。
Howard: No, it’s not. Check it out, he says fun stuff.
(いや、悪趣味じゃない。見てよ、面白いこと言うんだから)Bernadette: Howie, it’s in poor taste.
(ハウィー、それ悪趣味よ)Howard: What’s the big deal?
(何がそんなに問題なんだ?)The Big Bang Theory Season10 Episode9(The Geology Methodology)
シーン解説と心理考察
バーナデットの it’s in poor taste は、声を荒げるでもなく、ただ短く言い切るところに効き目があります。「下品」と罵るより婉曲で、それでいて「これはアウト」という線引きははっきり伝わる、大人の指摘になっています。一方のハワードは What’s the big deal?(何が問題なんだ)と、まるで悪びれません。この温度差そのものが笑いの源で、後半ではハワードが同僚一人ひとりに「これって悪趣味かな?」と聞いて回る展開へと転がっていきます。in poor taste が、エピソード全体を貫く合言葉のように機能しているのも見どころです。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
taste を「味」ではなく「センス・良識」と置き換えるのが近道です。good taste(良いセンス)の反対が poor taste(乏しいセンス)。得意げな夫の自作人形を前に、バーナデットが眉をひそめる絵を思い浮かべてみてください。「センスが足りていない=in poor taste」というつながりが、すっと頭に入ります。料理にたとえれば、味付けの薄い一皿(poor taste)を出されて思わず顔をしかめる場面。良識という”味”が足りない、というイメージで覚えると忘れにくくなります。
例文で覚える「in poor taste」
冗談・広告・服装など、「品のなさ」を指摘する幅広い場面で活躍します。3つの使い方を見てみましょう。
Making jokes about the accident was in poor taste.
(その事故をネタに冗談を言うのは不謹慎だった。)
過去形 + about で「〜について悪趣味だった」と振り返る、最もよく使う形です。
Some people thought the ad was in poor taste.
(その広告は悪趣味だと感じた人もいた。)
作品や広告を論評する場面。主語に「もの」を置く典型的な使い方です。
A: I was thinking of wearing this bright red dress to the funeral.
B: Honestly, that might come across as in poor taste.
(A:お葬式にこの真っ赤なドレスを着ようと思ってたんだけど。)
(B:正直、それはちょっと品がないと思われるかも。)
TPOをやんわり助言する会話。come across as と組み合わせると角が立ちません。
あわせて覚えたい関連表現
tasteless
(無神経な、品のない)
in poor taste をひと続きの形容詞にしたもので、a tasteless joke のように名詞を直接修飾できます。in poor taste よりも口語的で、非難の度合いが強めです。
inappropriate
(不適切な)
良識違反を中立的・客観的に指す語。in poor taste が「センスの欠如」を含むのに対し、こちらは単に「場にそぐわない」という事実を述べます。職場など公式な場でよく使われます。
uncalled-for
(いわれのない、余計な)
必要もないのに口に出された無礼・余計さを指します。発言そのものの「不要さ」に焦点があり、in poor taste の「センスのなさ」とは少し角度が違います。
Note|good taste / bad taste ―― 英語の taste が測る「良識」
in poor taste の taste は、舌で感じる味覚ではありません。英語の taste は、味覚から「物事を見分ける力=審美眼・良識」へと意味を広げてきた、奥行きのある単語です。
英語では taste が「美的・道徳的な判断力」を表す場面がたくさんあります。have good taste in clothes(服のセンスがいい)と言えば審美眼の話ですし、in poor taste(悪趣味)と言えば良識の話になります。さらに leave a bad taste in one’s mouth(後味が悪い)のように、出来事への不快感を「口に残る嫌な味」で表す言い回しもあります。これらに共通するのは、「味わう」という身体感覚を、そのまま「物事を識別し、良し悪しを感じ取る」精神的な働きへと写し取っている点です。taste はラテン語にさかのぼると「触れて確かめる」が原義とされ、もともと「確かめる・吟味する」感覚を含んでいた言葉でした。そこから味覚の意味が育ち、やがて「物事を吟味して良し悪しを見分ける力」という抽象的な意味へと広がっていったと考えられています。だからこそ、good taste は「良いセンス」、poor taste は「乏しいセンス」と、味の濃淡のように良識の高低を表せるのです。
こうして見ると、in poor taste は単に「悪趣味」と訳すだけでなく、「良識という”味”が薄い」という英語ならではの感覚を映した表現だと分かります。
taste の広がりを知ると、フレーズの奥にある感覚まで腑に落ちます。
まとめ|「品がない」を英語でやわらかく
in poor taste は、冗談や発言、服装などが良識から外れて不適切であることを、婉曲に指摘するフレーズです。taste を「センス・良識」と読むのが意味の芯で、It’s in poor taste. の形で「それは品がない」とやんわり伝えられます。
この表現を持っておくと、「下品だ」と直接ぶつけることなく、「それはちょっと……」という線引きを大人っぽく示せるようになります。tasteless や inappropriate との温度差も意識しておくと、場面に応じた言い分けがききます。
直接的すぎない指摘をしたいとき、in poor taste を表現の引き出しに加えてみてください。


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