海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回取り上げるのは、『ビッグバン★セオリー』シーズン9 第8話に登場する、気の進まない用事と詮索の線引きをめぐる英語です。エイミーのデートの様子を見に行くと聞かされたレナードが、行きたくない気持ちと友人のプライバシーへの遠慮を、ペニーとの応酬のなかで言葉にしていきます。
乗り気でないことを伝える言い方から、相手の是非を問う質問の形まで。テンポのよいやり取りを追いながら、線引きの英語を順番に見ていきます。
「I don’t want to do that.」――気の進まなさを言い合う英語
階段でのやり取りから始まります。映画に行くにしては出発が早すぎると首をかしげるレナードに、ペニーが本当の予定を明かす場面です。
Penny: Oh, I forgot to tell you, we’re gonna meet up with Bernadette to spy on Amy and her date.
(あ、言い忘れてた。バーナデットと合流して、エイミーとデート相手の様子をこっそり見に行くの。)Leonard: What? I don’t want to do that.
(えっ?僕はそんなことしたくないよ。)Penny: What, and you think I want to see a documentary about aluminium can recycling?
(は?じゃあ私が、アルミ缶リサイクルのドキュメンタリーを観たいとでも思ってるの?)TBBT Season9 Episode08
spy on ~ は「〜をこっそり見張る」。ペニーはこの一語で、これから何をしに行くのかをひとことで言い切っています。
対するレナードの I don’t want to do that. は、気の進まなさをそのまま口にする直球の断り方で、この形のまま使えます。
ペニーの返しは and you think I want to ~? という反語の疑問文でした。「じゃあ私が〜したいとでも?」と問い返すことで、そっちの用事も同じくらい気が進まない、という主張になっています。
Leonard: This is the movie that big soda doesn’t want you to see.
(これは、大手炭酸飲料メーカーが君に観てほしくない映画なんだよ。)Penny: No, it’s the movie your wife doesn’t want you to see.
(いいえ、あなたの妻が観てほしくない映画よ。)TBBT Season9 Episode08
the movie that ~ doesn’t want you to see という関係代名詞の構文を、ペニーは主語だけ差し替えてそっくり言い返しています。相手の言葉の枠を借りて中身をすり替える返し方は、英語の口げんかでよく見られる型と言えます。
「invade someone’s privacy」――詮索の線引きを問う言い方
出発前の応酬は、やがて「友達をのぞき見してよいのか」という線引きの話に移ります。
Leonard: So you’re actually okay with invading your friend’s privacy?
(それで、君は友達のプライバシーを侵すことに本当に抵抗がないわけ?)Penny: You’re not curious who she’s out with?
(彼女が誰と出かけてるのか、気にならないの?)Leonard: Not really.
(別に。)Penny: But you’re curious about aluminium cans? You’re a weird little guy.
(なのにアルミ缶のことは気になるの?あなたって、ほんと変わった小さい人ね。)TBBT Season9 Episode08
invade someone’s privacy は「人のプライバシーを侵す」という決まった組み合わせです。ここでは Are you okay with ~ing? の変形である you’re actually okay with ~ing? に乗せて、「本当にそれで平気なの?」と相手の感覚を問う形になっています。
ペニー側の You’re not curious ~? は否定疑問文です。「気にならないの?」と聞くことで、気になるはずだという前提へ相手を誘い込んでいます。受け流す Not really.(別に)とセットで覚えると使いやすい表現です。
別の場面では、ペニー、バーナデット、レナードの3人が車の中から様子をうかがっています。ここで、あれほど渋っていたレナードに変化が見られます。
Leonard: Can I see?
(僕にも見せてくれる?)Penny: What, now you’re interested? You didn’t even want to come.
(は?今度は興味が出てきたわけ?来たくもなかったくせに。)Leonard: I know, but you guys make being a crappy friend look fun.
(分かってるよ。でも君たちが、ひどい友達でいることを楽しそうに見せるからさ。)TBBT Season9 Episode08
make ~ look fun は「〜を楽しそうに見せる」。make + 目的語 + look + 形容詞の型で、ここでは being a crappy friend(ひどい友達でいること)という動名詞のかたまりが目的語に入っています。
ペニーの You didn’t even want to come. の even にも注目です。「来たくすらなかったくせに」と、直前の態度との落差を突く働きをしています。
まとめ|気の進まなさと線引きの英語
今回は、I don’t want to do that.で気の進まなさを伝え、and you think I want to ~?で言い返し、invade someone’s privacyとYou’re not curious ~?で詮索の線引きを問い、make ~ look funで心変わりを白状する流れを見てきました。行きたくない用事をめぐる応酬に、使い回しの利く型がそろっています。
言い合いのテンポそのものが教材になっているのが、この場面の面白いところです。
同じエピソードのほかのコラムやフレーズ記事とあわせて読むと、場面ごとの言い回しがつながって見えてきます。


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