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『モダンファミリー』シーズン8第8話では、フィル、キャメロン、グロリアの3人が、互いの小さな失敗を家族に知られないよう手を組みます。合図ひとつで集まり、役割を分け、相手を引き止める段取りが次々に進んでいきます。
仲間と息を合わせて時間を稼ぐ場面には、合図の出し方から残り時間の確かめ方まで、日常でも応用できる言い回しがそろっています。3つの段階に分けて見ていきます。
「I have to go out for orange juice」は仲間への合図
ダンフィ家にかかってきた電話に出たのはフィルです。電話の相手はキャメロンで、短いやりとりの後、フィルは家族にこう告げます。
Phil: Hello?
(もしもし?)Cameron: You are all out of orange juice.
(オレンジジュースが切れてるよ。)Phil: I understand.
(了解。)Phil: I have to go out for orange juice.
(オレンジジュースを買いに行かなきゃ。)Modern Family Season8 Episode8 (The Alliance)
be out of ~ は「〜を切らしている」という意味で、all を加えると「すっかり切らしている」と強まります。ただしここでは、キャメロンがフィルの家の冷蔵庫の中身を知らせているわけではありません。グロリアも電話口で同じように「了解」と答えて同じ一言を口にし、キャメロンもミッチェルに同じ言葉を告げます。そして3人がそろった場で、キャメロンが2人に来てくれた礼を言います。
go out for ~ は「〜を買いに(取りに)ちょっと出る」という日常的な言い方です。go out for coffee、go out for lunch のように、行き先ではなく目的を for の後に置きます。ありふれた用事だからこそ、周りの家族に怪しまれずに家を出る口実として機能していると言えます。
I understand. は「分かった」と事情を飲み込んだことを伝える返事で、余計なことを言わずに会話を終わらせる働きもあります。仲間内の合図を日常語に紛れ込ませる、この回らしい仕掛けが伝わってくる冒頭です。
「small window」と「keep ~ distracted」で役割を分ける
集まった3人は、それぞれの困りごとを片づける順番を相談します。キャメロンが抱えているのは、2階の部屋に居座っている借り手の問題です。
Cameron: We’ll have a small window when Mitchell goes to the gym.
(ミッチェルがジムに行ってる間なら、少しだけ時間ができる。)Cameron: He usually stretches, takes a lap around the locker room, and then gets a smoothie.
(いつもストレッチして、ロッカールームをひと回りして、それからスムージーを飲むんだ。)Phil: You two deal with the Russians, and I’ll keep Mitch distracted.
(2人はロシア人たちを何とかしてくれ。俺はミッチの気をそらしておく。)Phil: Anything else?
(ほかには?)Modern Family Season8 Episode8 (The Alliance)
window は「窓」のほかに、何かができる限られた時間帯を指すことがあります。a small window は「わずかな好機」で、時間の余裕がないことが一言で伝わります。
フィルの You two deal with ~, and I’ll ~ は、相手と自分の担当を一文で振り分ける形です。deal with は「対処する、片をつける」、keep someone distracted は「人の気をそらしたままにしておく」で、keep の後に状態を表す語を置くと「その状態を保つ」意味になります。最後の Anything else? は、ほかに議題がないかを確かめる短い問いかけです。
この問いかけを受けて、グロリアは、首輪を付けたまま隠れてしまった飼い犬のステラを、ジェイに首輪を見られる前に見つけたいと打ち明けます。するとフィルは、すぐに順番を組み直します。
Phil: All right, we’ll deal with the Russians first, then come find Stella before the big vote.
(よし、まずロシア人たちを何とかして、それから大事な投票の前にステラを探そう。)Gloria: We do not have much time.
(あまり時間がないわ。)Gloria: We need to go.
(行かなきゃ。)Modern Family Season8 Episode8 (The Alliance)
first, then ~, before ~ と並べるだけで、作業の順序と期限が一度に共有できます。
「I stalled him for as long as I could」と報告する
ジムでは、フィルが引き止め役を担います。ミッチェルがその場を離れようとしたところで、鍵がないことに気づきます。
Mitchell: Oh, well, actually, I gotta I don’t have my keys.
(あ、えっと、実はもう行かないと……あれ、鍵がない。)Mitchell: Oh, I must have dropped them.
(あ、落としたんだな。)Phil: Oh, no.
(それは大変だ。)Phil: Well, I’ll I’ll help you check the gym.
(じゃあ、ジムを探すの、俺も手伝うよ。)Phil: You remember what machines you were using?
(どのマシンを使ってたか覚えてる?)Mitchell: All of them.
(全部。)Modern Family Season8 Episode8 (The Alliance)
I’ll help you check ~ は親切な申し出の形ですが、ここでは相手をその場にとどめる口実にもなっています。You remember ~? は Do を省いたくだけた疑問文で、会話ではよく見かける形です。
それでも、ミッチェルはやがてフィルのもとを離れます。フィルはキャメロンに電話をかけます。
Cameron: Hello.
(もしもし。)Phil: The red panda’s left the zoo.
(レッサーパンダが動物園を出た。)Cameron: Red panda?
(レッサーパンダ?)Phil: Mitchell’s code name! I stalled him for as long as I could, and he got away.
(ミッチェルのコードネームだよ! できるだけ引き止めたけど、逃げられた。)Cameron: Okay, well, how much time do I have?
(わかった。それで、あとどれくらい時間がある?)Phil: I’m not sure.
(わからない。)Phil: I don’t really know where I am.
(自分がどこにいるのかもよくわからないんだ。)Modern Family Season8 Episode8 (The Alliance)
stall は「(時間稼ぎのために)相手を引き止める」という動詞で、for as long as I could は「できる限り長く」です。get away は「逃げる、離れていく」。how much time do I have? は残り時間を尋ねる定番の形で、仕事の締め切りを確かめる場面にもそのまま使えます。
電話の第一声の The red panda’s left the zoo. は、ミッチェルをレッサーパンダに、フィルのもとを離れたことを動物園からの脱走にたとえた暗号です。キャメロンが聞き返すと、フィルはすぐに code name だと種明かしします。最後の I’m not sure. は I don’t know. より少しやわらかく「はっきりとは分からない」と答える言い方で、残り時間を聞かれた答えとしては心もとない返事になっているのが面白いところです。
まとめ|合図から残り時間の確認まで
go out for ~ を使った合図、a small window と keep someone distracted による役割分担、stall での報告と how much time do I have? の確認。仲間と時間を稼ぐ一連の英語が、ひとつの回の中で順を追って見えてきます。
次回も『モダンファミリー』の家族の会話を手がかりに、英語の言い回しを集めていきましょう。
同じ回のほかのコラムでは隠しごとを疑う側の英語や十代の子を預かる英語を、個々の表現はフレーズ記事で扱っています。


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