「pass the hat」の意味と使い方|『モダンファミリー』S08E08で学ぶ英会話

「pass the hat」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

職場の同僚に贈り物をすることになり、「みんなで少しずつ出し合おうよ」と呼びかけたいのに、英語でどう切り出せばいいのか手が止まったことはありませんか。

そんな呼びかけにぴったりの「pass the hat」を、『モダンファミリー』シーズン8第8話の前半、ルークのチップの話題に、フィルが自分の経験を重ねる一言から、一緒に見ていきましょう。

目次

「pass the hat」の意味とニュアンス

pass the hat
意味:帽子を回して(周囲から)お金を集める、カンパを募る

pass the hat は、その場にいる人たちから少しずつお金を出してもらい、ひとまとめに集めることを表します。pass は「回す・渡す」、hat は「帽子」です。帽子を人から人へ回していき、そこへ一人ずつお金を入れてもらう様子が、そのまま表現の形になっています。

使われ方は大きく二つに分かれます。ひとつは、帽子などの入れ物を回して集める文字どおりの場面です。もうひとつは、実際には帽子を使わなくても、贈り物の費用や困っている人への援助のために、みんなからお金を募る場面です。どちらも、集める側が「少しずつ出してほしい」と呼びかけて回る動きを表している点は変わりません。出す側の気持ちを言いたいときは、別の表現を選ぶことになります。

形のうえでは、動詞の pass だけが変化します。ドラマでは過去形の passed the hat が使われていますが、見出しの pass the hat は原形です。現在形なら pass the hat、「集めよう」と誘うなら Let’s pass the hat、進行中なら passing the hat です。hat の前の the はそのまま置きます。さらに、around(周り)、for(〜のために)、to(〜するために)を添えると、誰に回すのか、何のためなのかが伝わります。

【ここがポイント!】

  • 「pass the hat」の核は、帽子を回して、周囲から少しずつお金を集めること
  • 変化するのは動詞の pass だけで、the hat はそのまま置く形
  • around・for・to を添えて、集める範囲や目的をはっきり伝える使い方もある

『モダンファミリー』S08E08のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

ルークの新しいスニーカーに、クレアが反応する場面です。クレアはクラブの仕事の給料を尋ね、ルークはチップだと答えます。そのチップの話に、フィルが自分の即興劇グループの公演のあとの経験を重ねます。フレーズは、フィルの一言の途中に出てきます。

Luke: Whoa. Watch the new kicks.
(うわっ。新しいスニーカーに気をつけてよ。)

Claire: What? You have another pair of new sneakers? What is that job at the club paying you?
(え? また新しいスニーカーを買ったの? クラブのその仕事、いったいいくら払ってくれてるのよ?)

Luke: It’s the tips, Mom.
(チップだよ、母さん。)

Phil: Best tips I ever made was when we passed the hat after a performance of my improv group, “Rule of Three.”
(俺が稼いだ中で最高のチップは、俺の即興劇グループ『ルール・オブ・スリー』の公演のあと、帽子を回してお金を集めたときだったな。)

Modern Family Season8 Episode8 (The Alliance)

シーン解説と心理考察

冒頭のルークの Whoa. Watch the new kicks. は、新しいスニーカーに気をつけてと促す一言です。kicks はスニーカーを指す言い方で、続くクレアの質問では sneakers に言い換えられています。クレアはその言葉を受けて、another pair、つまり「また一足」と、新しい靴がもう一足あることに反応します。

クレアの What is that job at the club paying you? は、字義どおりの質問です。「クラブのその仕事は、いくら払ってくれているのか」と、給料の額をたずねています。クラブの仕事から出る報酬の額を、そのまま確かめる聞き方です。

ルークの答えは、It’s the tips、つまりチップです。クレアの「いくら払ってくれているのか」という問いに対して、給料ではなくチップだと答える、短い一言です。Mom と呼びかけていることから、クレアに向けた返事だと分かります。

そこへ入るのが、フィルの一言です。フィルはルークと同じ tips という言葉を使い、Best tips I ever made と、自分が稼いだなかで最高のチップの話を始めます。I ever made は「これまでに稼いだ」という経験を表す言い方で、Best と組み合わせて最上級の経験になります。was when のあとに、その場面が続きます。

最高のチップが生まれたのは、we passed the hat、つまり即興劇グループの仲間と一緒に帽子を回してお金を集めたときです。after a performance of my improv group は、公演のあと、という時を示しています。ルークがクラブの仕事で受け取るチップの話と、フィルが公演のあとにお金を集めた話が並ぶことで、同じチップでも集まり方が違うことが見えてきます。

ルークはクラブの仕事でチップを受け取り、フィルは仲間と一緒にお金を集めています。同じ tips という言葉を、二人が別の稼ぎ方に使っている点が、この短いやり取りの面白さです。

『モダンファミリー』流・覚え方のコツ

公演が終わって、空の帽子が手から手へと渡っていく様子を思い浮かべてみましょう。帽子が回るたびに、コインが一枚、また一枚と入っていきます。最後に帽子が戻ってきたとき、中に集まっているお金が、そのまま pass the hat の結果です。

pass は「渡す」で、hat は「帽子」です。渡すのは帽子そのものですが、気持ちのうえでは「お金を出してもらう役」を次の人に渡していくイメージです。帽子が一巡するまで続く動きなので、around を添えて pass the hat around と言うと、その広がりが伝わります。

フィルの we passed the hat も、この絵で読めます。仲間と一緒に帽子を回して、集まったお金が自分にとっての最高のチップになった、という一言でした。

このエピソードの他のフレーズ

例文で覚える「pass the hat」

形を変えながら使える表現なので、around・for・to を添えた例文で見ていきます。

After the show, the band passed the hat around the room.
(ショーのあと、バンドは部屋にいる人たちのあいだで帽子を回してお金を集めた。)
around のあとに範囲を置いた形です。the room が、お金を集めて回った範囲を示しています。

A: Can we pass the hat for Tom’s farewell present?
B: Sure. I’ll ask everyone in the office tomorrow.
(A:トムの送別の贈り物のために、みんなでお金を出し合わない?)
(B:いいね。明日、職場のみんなに声をかけてみるよ。)
for のあとに目的を置いた往復の会話です。贈り物のような仲間内の費用を話す場面で、Can we …? と持ちかけると、押しつけのない誘い方になります。

We passed the hat to cover the cost of the party.
(パーティーの費用をまかなうために、みんなから少しずつお金を集めた。)
to のあとに、動詞で目的を続けた形です。cover the cost は「費用をまかなう」という意味で、集めたお金の使い道が分かります。

あわせて覚えたい関連表現

chip in
(少しずつお金を出し合う)
chip in は、各自が少額を出し合う側の動きに重点があります。pass the hat は、帽子を回してお金を集める、集める側の動きを表す言い方です。

take up a collection
(募金・カンパを集める)
take up a collection は、集金や募金をする行為を、少し改まって言う表現です。pass the hat は、「帽子を回す」という具体的な絵が浮かぶ、くだけた言い方です。

go Dutch
(割り勘にする)
go Dutch は、食事などの代金を各自が自分の分だけ払うことを表します。pass the hat は、みんなで共通の目的のためにお金を集める場面に使います。

Note|passed の形から広げる、pass the hat の around・for・to の添え方

ドラマの passed the hat は、pass the hat の動詞だけを過去形にした形です。

この形に、around・for・to を足すと、集める様子がさらにはっきりします。around は、お金を集めて回る範囲を表します。pass the hat around the office なら、職場の人たちのあいだを帽子が回っていくイメージです。for は、集めたお金を何のために使うのかを表し、pass the hat for a gift なら、贈り物のためのカンパになります。to のあとに動詞を置くと、to cover the cost のように、集める目的を動作で言い表せます。

もうひとつの組み合わせが、誰からお金を集めるかを示す形です。pass the hat among friends のように among を置くと、友人たちのあいだで少しずつ出してもらう、という限られた輪が見えてきます。どの前置詞を足すかで、広さ・目的・相手のうちどれを伝えたいのかを選べます。

フィルの we passed the hat after a performance of my improv group は、時を示す after を添えた形です。誰から集めたのか、何に使ったのかは、この一言では語られていません。お金を集めたのが公演のあとだったことだけを、passed the hat のすぐ後ろに添えています。

まとめ|帽子を一周させて、少しずつ集める

pass the hat は、帽子を回して、周囲から少しずつお金を集めることを表す表現です。贈り物の費用や、困っている人への援助など、みんなで出し合う場面にそのまま使えます。

動詞の pass だけを時制に合わせて変え、around・for・to を添えれば、範囲も目的も言い分けられます。誘うときは Let’s pass the hat、過去の話なら passed the hat と、形を切り替えて使ってみてください。

ルークのチップと、フィルが公演のあとに集めた最高のチップ。同じ tips という言葉が、二人の稼ぎ方の違いを並べて見せてくれるやり取りでした。

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