海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン8第8話では、ヘイリーが、レイナーの14歳の娘エイプリルを預かることになります。レイナーに急な仕事が入り、ヘイリーが自分から面倒を見ると申し出るのです。
小さな子ではなく十代の相手を預かるとき、どんな言葉をかければよいのかは意外と迷うところです。申し出、送り出し、外出の引き止めという3つの場面から、その言い回しを拾っていきます。
「I can watch you.」の watch は「見ていてあげる」
エイプリルと会う前から、ヘイリーは少し緊張しています。そこへ妹のアレックスが一言かけます。
Alex: You’re nervous? I mean, how could this go wrong? She’s a teenage girl.
(緊張してるの? だって、失敗しようがないじゃん。相手は十代の女の子でしょ。)Alex: That’s when you peaked.
(お姉ちゃんの全盛期じゃん。)Haley: I know.
(わかってる。)Modern Family Season8 Episode8 (The Alliance)
How could this go wrong? は「どうやったら失敗できる?」が直訳で、「うまくいくに決まっている」と言いたいときの反語です。その前の You’re nervous? は平叙文の語順のまま語尾を上げる問いかけで、「え、緊張してるの?」と意外そうに聞く響きがあります。peak は「頂点に達する」で、十代のころがヘイリーの絶頂だったとからかう、きょうだいらしい当てこすりになっています。
その後、レイナーが仕事で呼ばれ、予定が崩れます。
April: I’ll just go to Mom and Jeff’s.
(ママとジェフのところに行くからいい。)Haley: No, no, we were supposed to get to know each other today.
(だめだめ、今日はお互いを知る日のはずだったでしょ。)Haley: Um, I can watch you.
(えっと、私が見ててあげられるよ。)Modern Family Season8 Episode8 (The Alliance)
ヘイリーは、エイプリルが別の家へ行こうとするのを引き止め、自分が付き添うと申し出ています。それに対するエイプリルの返事と、レイナーの反応はこう続きます。
April: Because I’m 4?
(私が4歳だから?)Rainer Shine: Oh, tone.
(こら、口のきき方。)Rainer Shine: Are you sure?
(本当にいいのかい?)Haley: Yes.
(うん。)Haley: Girls day.
(女子の日にしよう。)Modern Family Season8 Episode8 (The Alliance)
watch はここでは「(子どもを)見ている、面倒を見る」という意味です。babysit は幼い子の世話を引き受ける場面で使われることが多く、watch はもう少し幅広く「目を離さずにいる」ことを表します。エイプリルの Because I’m 4? は、見ていてもらう年齢ではないという反発を一言で返したものと読み取れます。
「thank you for understanding」と「No problem.」
get to know each other は「お互いを知る」で、be supposed to ~ と組み合わせると「本来はそういう予定だった」と、崩れかけた計画を引き戻す言い方になります。レイナーの Oh, tone. の tone は「口調」で、子どもの生意気な言い方をたしなめる短い一言です。続く Are you sure? は、申し出てくれた相手に「本当に大丈夫?」と念を押す気づかいの問いかけです。
話がまとまると、ヘイリーはレイナーを送り出します。
Haley: We’ll meet you later.
(あとで合流するね。)Rainer Shine: Oh, okay, thank you for understanding, sweetie.
(ああ、わかった。わかってくれてありがとう、ハニー。)Haley: No problem.
(気にしないで。)April: No problem.
(気にしないで。)Modern Family Season8 Episode8 (The Alliance)
Thank you for understanding. は、予定の変更や頼みごとを受け入れてくれた相手へのお礼として、仕事のメールなどでも見かけることが多い言い方です。返しの No problem. は「問題ないよ、気にしないで」という気軽な返事で、改まった場面なら Not at all. や It’s no trouble. も使えます。
ここで面白いのは、ヘイリーの返事にエイプリルが同じ No problem. を重ねている点です。同じ言葉でも、言う人と場面によって受け取り方が変わる、という一場面になっています。
「I’m supposed to be watching you.」で外出を止める
家族が集まった場で、エイプリルが見慣れない服装で出かけようとしているのに、ヘイリーが気づきます。
Haley: What is this?
(それ何?)April: Clothes that don’t come from a mall.
(ショッピングモールで買ったんじゃない服。)Haley: Hold on, hold on.
(待って、待って。)Haley: I’m supposed to be watching you.
(私があなたを見てることになってるんだから。)Modern Family Season8 Episode8 (The Alliance)
預かり役だと告げられても、エイプリルは引き下がらず、行き先と、車がもう来ていることを伝えます。
April: I’m going to Betsy’s.
(ベッツィーの家に行く。)April: My Uber’s out front.
(もう車が前に来てるし。)Haley: Who is this Betsy? Are her parents even home? And you’re 14.
(ベッツィーって誰? そもそも、その子の親は家にいるの? それにあなた14歳でしょ。)Haley: You’re not Ubering anywhere.
(どこにも車で行かせないから。)Modern Family Season8 Episode8 (The Alliance)
Hold on. は「ちょっと待って」と相手の動きを止める一言で、2回重ねると切迫感が増します。I’m supposed to be watching you. は、最初の場面の I can watch you. が「申し出」だったのに対し、「預かっている以上は責任がある」という立場の表明に変わっています。
Are her parents even home? の even は「そもそも」と疑問を強める語で、行き先の安全を確かめる質問として自然です。このように質問を立て続けに重ねる形は、相手に答えさせながら考え直させる言い方として、親が子どもに使う場面でも見られることが多いものです。最後の文は配車アプリの名前を動詞にしたくだけた言い方で、You’re not going anywhere.(どこにも行かせない)の形を応用したものと言えます。
まとめ|申し出から引き止めまで
I can watch you. から I’m supposed to be watching you. への変化、thank you for understanding と No problem. のやりとり、Are her parents even home? での確認。十代の子を預かる立場の英語が、この回の中にそろっています。
『モダンファミリー』を観ながら、大人と十代の会話の温度にも耳を傾けてみると、英語の幅が広がっていきます。
同じ回のほかのコラムでは仲間と時間を稼ぐ英語や隠しごとを疑う英語を、個々の表現はフレーズ記事で扱っています。


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