海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン8第16話では、フィルが毎年恒例の高校のチャリティーバスケットボールの試合に再び出場します。去年この体育館でうまくいかなかったフィルにとって、今年は雪辱の機会です。
一度つまずいた場所に戻るときの落ち着かなさや、緊張を指摘されたときのかわし方には、英語ならではの言い回しがあります。フィルと家族の会話から、その表現を順に拾っていきます。
「got the better of me」で前回の負けを振り返る
試合の日、体育館に来たフィルは、ルークとこんな会話を交わします。
Phil: Feels weird to be back here.
(ここに戻ってくると、変な感じだな。)Phil: This gym got the better of me once.
(この体育館には一度やられてるんだ。)Luke: Dad, you’re psyching yourself out.
(パパ、自分で自分を追い込んでるよ。)Phil: You’re right.
(そうだな。)Phil: The only thing different between this year and last is I’m prepared this year.
(去年と今年で違うのは、今年は準備ができてるってことだけだ。)Phil: And DeAndre Jordan and Charles Barkley are here.
(それと、ディアンドレ・ジョーダンとチャールズ・バークリーが来てる。)Modern Family Season8 Episode16 (Basketball)
Feels weird to be back here. は、主語の It を省いた口語の形で、以前の出来事がある場所に戻ってきたときの居心地の悪さを短く伝えます。続く get the better of 人 は「人を打ち負かす、人より優位に立つ」という意味の句です。フィルは体育館そのものを主語にして、自分が負けたとは言わずに「この場所にやられた」と表現しています。
The only thing different between this year and last is ~ は、前回との違いを一点に絞って自分に言い聞かせる形です。last のあとには year が省略されており、this year and last で「今年と去年」を表します。フィルは「準備ができている」ことを違いとして挙げた直後に、And で NBA のスター二人が来ていることを付け足します。違いは一つだけと言いながら、もう一つ大きな違いがあると気づく流れが、この場面の面白いところです。
ルークの psych oneself out は同じ回のフレーズ記事で取り上げているので、ここでは「自分で自分を不安にさせる」という意味だけ押さえておけば十分です。
「You seem a little tight」と緊張を指摘されたら
NBA のスターが来ていると知ったフィルは、play in front of 人(人の前でプレーする)という言い方で、二人の前で試合をすることに驚きます。ルークは、二人が来ていると知れ渡れば観客が去年の5倍くらいになると付け加えます。そして試合が始まると、ディアンドレ・ジョーダンがフィルに声をかけます。
DeAndre Jordan: You seem a little tight, man.
(ちょっと硬くなってるみたいだな。)Phil: Hey, DeAndre Jordan.
(やあ、ディアンドレ・ジョーダン。)Phil: Uh, no, no, no, just working out the Jim-jams.
(いや、いや、違うよ、ちょっとそわそわをほぐしてるだけ。)Phil: First half’s about getting a read.
(前半は様子見なんだ。)Modern Family Season8 Episode16 (Basketball)
tight は、スポーツの場面では緊張で体や動きがこわばっている様子を指すことが多い語です。You seem ~ は「〜のように見える」と、相手の様子を断定せずに伝える形で、指摘をやわらげる働きがあります。
フィルの返事は、緊張を認めないかわし方の見本と言えます。work out は「(こりや問題を)ほぐす、解消する」、Jim-jams は jitters と同じく、緊張による落ち着かなさを指すくだけた語とされます。「緊張しているのではなく、ほぐしている最中だ」と言い換えることで、指摘をそのまま受け取らずにかわしています。
最後の First half’s about getting a read. は「前半は様子を読むためのものだ」という意味です。get a read on ~ で「〜の様子をつかむ」という言い方になり、ここでは前半はあえて様子見なのだと、作戦のように説明しています。言い訳を重ねるほど、かえって緊張が伝わってくるのが見どころです。
「too much pressure」で1回目をやり直す
試合の終盤、遅れて会場に着いたクレアたちの中で、アレックスが周りの盛り上がりを伝えます。
Alex: Wow, a bunch of NBA players are tweeting about this bet between Charles Barkley and DeAndre Jordan.
(うわ、NBA の選手が大勢、チャールズ・バークリーとディアンドレ・ジョーダンの賭けのことをツイートしてる。)Alex: And they’re live-streaming it, so like 60,000 people are watching.
(しかもライブ配信されてて、6万人くらいが見てるよ。)Phil: Since when do people care about basketball?
(いつからみんな、バスケに興味を持つようになったんだ?)Jay: Calm down, Phil.
(落ち着け、フィル。)Jay: You can do this, pal.
(お前ならできる。)Phil: You choose now to believe in me for the first time?
(よりによって今、初めて俺を信じるわけ?)Modern Family Season8 Episode16 (Basketball)
見る人が増えるほど、重圧も増していきます。ジェイの Calm down. と You can do this, pal. は、本番直前の相手にかける短い励ましです。pal は男性同士でよく使われる親しみのこもった呼びかけとされます。これに対するフィルの You choose now to ~? は「よりによって今〜するのか」と、タイミングに引っかかる言い方です。励ましの言葉に、タイミングへの皮肉で返しているのが印象的です。
試合とは別の場面では、キャメロンとアレックスも「もう一度」に挑みます。キャメロンは序盤で、自分も姪との恒例行事を始めようとしたことがあると話していました。
Cameron: You know, I’m glad we’re doing this again.
(ねえ、またこれをやれてうれしいよ。)Alex: Yeah, I think we just put too much pressure on it the first time.
(うん、最初のときは気負いすぎただけだと思う。)Cameron: You know, humans aren’t the only ones who respond badly to pressure.
(プレッシャーに弱いのは人間だけじゃないんだよ。)Modern Family Season8 Episode16 (Basketball)
put too much pressure on ~ は「〜に期待をかけすぎる、気負いすぎる」という意味です。the first time と組み合わせると、1回目がうまくいかなかった理由を振り返る言い方になります。respond badly to pressure は「プレッシャーにうまく対応できない」で、誰か一人を責めずに済む言い回しと言えます。
まとめ|もう一度挑むときの英語
前回の負けを振り返る got the better of me、緊張をかわす working out the Jim-jams、やり直しの理由を語る put too much pressure on it the first time。もう一度挑むときの気持ちを言葉にする表現が、この回にはそろっています。
再挑戦のたびに揺れるフィルの姿を観ながら、こうした言い回しを少しずつ自分のものにしていきましょう。
この回のほかのコラムでは、ミスを隠すクレアの英語や学校のチャリティー試合の文化を扱っており、個々の表現はフレーズ記事でも詳しく紹介しています。


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