海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
怖い相手の前に立つと、足元から力が抜けて、ひざまで笑い出してしまう。そんな身のすくむ恐れを、英語はブーツという身近な持ち物に重ねて言い表します。
その気持ちを伝える「shake in one’s boots」を、『モダンファミリー』シーズン8第16話の前半、幼い息子ジョーのひと言に聞き返したジェイが、自分の父親の思い出を語る場面から、一緒に見ていきましょう。
「shake in one’s boots」の意味とニュアンス
shake in one’s boots
意味:怖くて震え上がる、ひどくおびえる
shake in one’s boots は、強い恐れで体が震えるほどおびえる様子を表す口語表現です。文字どおりの意味は「ブーツの中で震える」です。足元まで震えが伝わるほど怖がっている姿が、そのまま比喩になっています。
one’s の部分は、震える人に合わせて my / your / his / her / their と入れ替わります。ドラマの台詞は I shook in my boots の形で、主語が I、時制が過去です。shake の過去形は shook なので、「震え上がっていた」という過去の様子を語る形になります。現在なら I shake in my boots、今まさに震えている最中なら I’m shaking in my boots と、変わるのは動詞の部分だけです。
怖さの出どころを添えるときは、around や before で「〜の前で」とつなぎます。台詞の around my old man は「親父の前では」にあたります。at the thought of 〜 を後ろに置けば、「〜を考えるだけで」と、実際にその場にいなくても怖くなる様子を言えます。名詞の boots は常に複数形で、a boot のように単数にはしません。
日本語にするときは、「震え上がる」「ひどくおびえる」「縮み上がる」から、恐れの強さに合う言い方を選びます。「少し緊張した」程度の軽い気持ちに当てると、強すぎる訳になります。
【ここがポイント!】
- 「shake in one’s boots」の核は、体が震えるほどの強い恐れ
- one’s は震える本人に合わせて my / your / their などに変わり、時制は動詞 shake で表す
- 怖さの出どころは around や before、at the thought of でつなげる
『モダンファミリー』S08E16のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ジョーが、ジュースをラグにこぼしたことを打ち明け、母親には言わないでほしいと頼む場面です。ジェイは、その言葉を聞き返したあとで、自分の父親との思い出を語ります。最後のひと言に、「shake in one’s boots」の形が入っています。
Joe: I spilled juice on the rug. Please don’t tell Mama.
(ジュース、ラグにこぼしちゃった。ママには言わないでね。)Jay: Don’t tell Mama?
(ママには言うなだと?)Jay: What about, “Don’t tell Papa?” A boy is supposed to fear his father.
(「パパには言わないで」じゃないのか? 男の子ってのは、父親を怖がるもんだ。)Jay: I shook in my boots around my old man, just like he did around his.
(俺は親父の前じゃ震え上がってたもんだ。親父だって、自分の親父の前じゃそうだった。)Modern Family Season8 Episode16 (Basketball)
シーン解説と心理考察
ジョーが頼んでいるのは、ジュースをこぼしたことを母親には知らせないでほしい、ということです。ジェイは Mama という呼び名に反応して、まず「ママには言うなだと?」と同じ言葉を繰り返します。続けて、「『パパには言わないで』じゃないのか?」と言い直してみせます。ここで Papa と呼ばれているのは、話しているジェイ自身です。
そのうえでジェイは、A boy is supposed to fear his father. と、自分の考えを言葉にします。be supposed to は「〜するものとされている」という意味で、fear は「恐れる」という動詞です。男の子が怖がる相手は、母親ではなく父親であるべきだ、というのがジェイの言い分です。
その考えの裏づけとして、ジェイは自分の子ども時代を持ち出します。I shook in my boots around my old man は、「親父の前では震え上がっていた」という意味です。just like he did around his は、「親父だって、自分の親父の前ではそうだった」と読みます。did は shook in my boots にあたる動作の代わりをしていて、his の後ろには old man が省かれています。ジェイの父親も、その父親の前で同じように震えていた、という二世代にわたる話です。
shook in my boots は、ただ緊張したという程度の言い方ではありません。父親の存在そのものを前にして、身がすくむほどの強い恐れを表しています。ジェイは、男の子は父親を怖がるものだという自分の考えを、震え上がっていた自分の体験で支えています。
台詞のつくりにも目が向きます。「Don’t tell Mama?」「What about, “Don’t tell Papa?”」と、ジョーの言葉を拾って言い換えたあとに、本題の体験談が来る順番です。相手の言葉を拾ってから自分の経験談へ移る、という運び方が見て取れます。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
ブーツの中で足の指までカタカタと震えている、と文字どおりに読んでみます。足元から震えが上がってくるほどの怖さが、そのまま「震え上がる」の意味になります。
形を覚えるときは、one’s を「震えている本人の持ち物」として読むと崩れません。I shook in my boots、she shakes in her boots のように、ブーツはいつも本人のものです。ジェイの台詞でも、主語の I に my が対応しています。
怖さの出どころは、around my old man のように、後ろへ添えて一緒に口に出します。震える本人、怖い相手、時制。この三つを一つの文にして声に出します。
例文で覚える「shake in one’s boots」
怖さの出どころや時制が違う3つの文で、形の変化を確かめます。
Everyone on the team shakes in their boots whenever the new manager walks in.
(新しいマネージャーが入ってくるたびに、チーム全員が震え上がります。)
職場で厳しい上司の話をする場面です。主語の everyone は their で受けるので one’s は their になり、現在形で繰り返される様子を表しています。
A: Aren’t you nervous about the interview?
B: Nervous? I’m shaking in my boots!
(A:面接、緊張しないの?)
(B:緊張? 怖くて震えてるよ!)
友人同士で本番前の気持ちを話す会話です。nervous と聞かれて、もっと強い恐れで返しています。進行形の I’m shaking は、今まさに震えている最中の言い方です。
I was shaking in my boots before my first presentation.
(初めてのプレゼンの前は、怖くて震え上がっていました。)
過去の緊張を振り返る場面です。before のあとに怖さの出どころを置いています。
あわせて覚えたい関連表現
quake in one’s boots
(怖くてぶるぶる震え上がる)
shake in one’s boots と同じ形で、動詞だけを入れ替えた言い方です。quake は「激しく揺れ動く」という意味の動詞なので、震えの大きさがより前に出ます。
be scared stiff
(怖くて体がこわばる)
shake in one’s boots が体の「震え」に注目するのに対し、be scared stiff は「固まって動けない」状態に注目します。
be afraid of one’s own shadow
(ひどく臆病である)
shake in one’s boots は、特定の相手や場面への恐れです。be afraid of one’s own shadow は、何にでもおびえる性格を表します。
Note|震えるか、固まるか、怖がりな性格か。恐れの現れ方で選ぶ3つの言い方
怖さを表す英語は数多くありますが、shake in one’s boots と近い場面で並びやすい3つの言い方には、はっきりした使い分けがあります。何が体に起きているのか、そして怖さの出どころを言葉にできるのかを軸に比べると、違いが見えてきます。
shake in one’s boots は、恐れが「震え」として体に現れる言い方です。around my old man のように、前置詞で怖さの相手や出来事を後ろに置けるので、「誰の前で」「何を前にして」を一緒に伝えられます。
be scared stiff は、恐れが「こわばり」として現れる言い方です。体が固まって動けない状態に注目していて、震えている様子までは含みません。怖さの出どころは、be scared stiff of the dark のように of でつなげます。
be afraid of one’s own shadow は、前の二つとは性格が違います。自分の影にまでおびえる、という文字どおりの意味から、何にでもおびえる臆病さを指す言い方です。of one’s own shadow の部分が固定されているので、特定の相手や場面を後ろに置く余地はありません。
ジェイの台詞は、特定の相手である父親の前での恐れを語るものでした。だから around my old man と、相手を置ける shake in one’s boots がぴったり合っています。
怖さの出どころを置けるのは shake in one’s boots、体のこわばりを言うのは be scared stiff、性格としての臆病さを言うのは be afraid of one’s own shadow です。
まとめ|ジェイが語った、父親の前で震えていた自分
shake in one’s boots は、強い恐れで体が震えるほどおびえる様子を、ブーツの中の震えにたとえた口語表現です。one’s は震える人に合わせて変わり、怖さの出どころは around や before、at the thought of でつなぎます。
ジェイは、ジョーの「ママには言わないで」を聞き返し、男の子は父親を怖がるものだと言ったうえで、自分が父親の前で震え上がっていたことを語りました。
父親の前で震え上がっていた、というジェイのひと言に、shake in one’s boots の形がそのまま入っていました。


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