海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン6第22話には、根拠が少し心もとないまま、それでも胸を張って言い切る場面が二つの家族で重なって出てきます。ミッチェルとキャメロン、そしてフィルとクレアです。
言い切る側の一言と、それを後押しする「自信がすべて」という持論。似た考え方が別々の場面で口にされる面白さを、言い切るための英語の形と、その使いどころに注目しながら見ていきます。
「not that political」に「very political」で返す
リリーの課題の材料をそろえているところで、ミッチェルとキャメロンは知り合いのロンジンとジョサムに会います。二人が毎週仲間と抗議活動をしていると聞いて、キャメロンはこう尋ねます。
Cameron: Why haven’t we ever been invited?
(なんで僕たちは一度も誘われたことがないんだ?)Jotham: You’re not that – political.
(君たちはそこまで…政治的じゃないから。)Modern Family Season6 Episode22 (Patriot Games)
Why haven’t we ever been ~? は「なぜ一度も〜されたことがないのか」と、これまでの経験を現在完了で問う形です。not that ~ は「そこまで〜ではない」と程度を弱める言い方で、正面から否定するより遠回しに聞こえます。言いよどみをはさんでいる分、言いにくいことを言っている様子も伝わってきます。
少しやりとりがあったあと、ミッチェルはこう言い切ります。
Mitchell: We are very political people.
(僕たちはすごく政治的な人間だよ。)Modern Family Season6 Episode22 (Patriot Games)
相手が使った political をそのまま拾い、very を付けて正反対の評価に置き換えています。形容詞 + people は「〜な人たち」と自分たちの性格や傾向をひと言で言い表す形で、I’m a morning person.(朝型人間です)のような ~ person と同じ発想です。言い切りの形にすると、根拠を説明しなくても強く聞こえるのがこの形の特徴です。もっとも、この言い切りが見栄を含んでいたことは、あとの場面で分かります。
「Is that a word?」と「Hold your head up like it is.」
一方、校長室では、ニーナの May the best child win. に、フィルが「勝つのはアレックスだ」と返したところです。フィルはさらに強気のひと言を重ねます。
Phil: Consider this moment gauntleted.
(この瞬間をもって、挑戦状はたたきつけられたってことで。)Phil: Is that a word?
(そんな言葉あったっけ?)Claire: Hold your head up like it is.
(あるつもりで胸を張ってなさい。)Claire: Vocabulary is mostly a matter of confidence.
(語彙なんて、ほとんど自信の問題よ。)Modern Family Season6 Episode22 (Patriot Games)
もとになっているのは throw down the gauntlet(挑戦状をたたきつける)という言い回しです。gauntlet は甲冑の籠手のことで、フィルはこれを動詞のように変え、Consider ~ done.(〜は済んだと思ってくれ)と同じ型に当てはめています。言った直後に Is that a word?(それって言葉としてある?)と自分で確かめてしまうところに、フィルらしさが出ています。
クレアの Hold your head up は「顔を上げる、胸を張る」で、like it is は「それが本当に言葉であるかのように」という意味です。口語では like が as if の代わりに使われることがあります。be mostly a matter of ~ は「ほとんど〜の問題だ、〜で決まる」と言い切る形で、自分の持論を短くまとめるときに使えます。言葉の正しさより、言い方の堂々さを優先させる助言と読み取れます。
「Think they bought it?」と「Being right is mostly confidence.」
ミッチェルとキャメロンの話に戻ると、二人は抗議の場で、店に入っていたことを知り合いに知られてしまいます。苦しい説明を重ねたあと、相手を非難する芝居をしてその場を離れながら、二人はこう言葉を交わします。
Mitchell: Think they bought it?
(あの二人、信じたと思う?)Cameron: Keep your head up.
(顔を上げて。)Cameron: Don’t look back.
(振り返るなよ。)Cameron: Being right is mostly confidence.
(正しいかどうかなんて、ほとんど自信で決まるんだ。)Modern Family Season6 Episode22 (Patriot Games)
buy には「(話を)真に受ける、信じる」という意味があり、Think they bought it? は Do you think の do you を省いた口語の形です。うまくごまかせたかどうかを確かめるときに使えます。
キャメロンの Keep your head up. と Don’t look back. は、どちらも命令文で相手の背中を押す言い方です。そして締めの Being right is mostly confidence. は、クレアの Vocabulary is mostly a matter of confidence. とほぼ同じ形をしています。
別々の場面で、別々の夫婦が「〜はほとんど自信で決まる」という同じ考え方を口にしているのが、この回の面白いところです。~ is mostly confidence という短い型は、主語を入れ替えるだけで、さまざまな持論を言い表せます。
まとめ|言い切る形と、自信を支える一言
very political people のように言われた語を拾う言い切り、Hold your head up like it is. の励まし、~ is mostly confidence の持論。根拠が心もとないときほど、言葉の形で自信を補う様子が見えてきます。
『モダンファミリー』の夫婦の掛け合いからは、これからも言い切りの英語が見つかりそうです。
総代の文化や親同士の張り合いの英語は同じ回のほかのコラムで、ひとつひとつの表現はフレーズ記事でも扱っています。


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