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『モダンファミリー』シーズン6第22話では、アレックスと同級生のサンジェイがそろって卒業生総代に決まり、どちらが上かをめぐって親同士までが張り合い始めます。校長室では、子どもの小さい頃の実績まで並べ合う応酬が続きます。
遠回しに見下された一言に、同じ形で言い返す。相手の言い方を借りて切り返す。そんな言い返しの英語を、フィルとクレアの受け答えから見ていきます。
「compete with」で返す
総代をどう決めるかで話がこじれるなか、サンジェイの親としてアレックスの両親と張り合うヴィッシュとニーナは、こんな言葉を投げかけます。
Vish: Every parent wants to believe that their child can compete with Sanjay.
(どの親も、自分の子がサンジェイと張り合えると信じたいものですよ。)Claire: But Alex can compete with Sanjay.
(でも、アレックスはサンジェイと張り合えるわ。)Claire: That’s why we’re here.
(だから私たちはここにいるのよ。)Nina: Sanjay was forming full sentences at 13 months.
(サンジェイは生後13か月で、ちゃんとした文で話していたわ。)Claire: Alex had a poem published in Highlights magazine when she was five years old.
(アレックスは5歳のとき、『ハイライツ』誌に詩が載ったのよ。)Modern Family Season6 Episode22 (Patriot Games)
compete with ~ は「〜と競う、〜に肩を並べる」という意味です。ヴィッシュの Every parent wants to believe that ~ は「どの親も〜だと信じたがる」という一般論の形をとっていますが、裏には「実際には張り合えない」という含みがあります。表向きは丁寧でも、相手の子を下に見る言い方です。
これに対してクレアは、But ~ can compete with ~. の形で、相手の使った compete with をそのまま使って打ち返します。言い回しを変えずに主語だけを入れ替えるので、反論の焦点がはっきりします。続く That’s why we’re here.(だからここにいる)は、自分たちの立場を短く言い切る締めのひと言です。
ニーナはさらに、at 13 months(生後13か月で)と、幼い頃の年齢を添えて実績を持ち出します。クレアも when she was five years old(5歳のとき)と年齢を添えて返し、応酬は年齢と実績の並べ合いになっていきます。
相手の型を借りる「When ~ was ~」
張り合いは、年齢の数字を少しずつ変えながら続きます。
Vish: When he was 16, Sanjay was the highest-ranked chess player in the state.
(サンジェイは16歳のとき、州でいちばん上位のチェス選手だったんだ。)Phil: When Alex was 15, she discovered a mistake in our taxes.
(アレックスは15歳のとき、うちの税金の間違いを見つけたんだ。)Phil: We owed a lot more money than I realized.
(俺が思ってたより、ずっと多く払わなきゃいけなかったけどね。)Modern Family Season6 Episode22 (Patriot Games)
When ~ was 16, ~ は「〜が16歳のとき」と時期を先に示し、後半で実績を述べる組み立てです。the highest-ranked ~ in the state は「州で最も順位の高い〜」という最上級の言い方で、実績の大きさを強調しています。
フィルはこの型をそのまま借り、When ~ was 15, ~ と1歳若い年齢で返します。主語を自分の娘に替え、年齢を下げることで「もっと若いうちに成果を出した」という含みを持たせた返しとも読み取れます。相手の文の形をなぞって数字だけを変えると、張り合っていることが聞き手にもすぐ伝わります。英語では、相手より一枚上を行こうとするこうした張り合いを one-upmanship と呼ぶことがあります。
ただし、フィルの2文目は自慢になっていません。アレックスが見つけた間違いのせいで、思っていたより多くの税金を納めることになったという話です。型どおりに言い返したつもりが、最後は自分の失敗談で終わってしまうのが、フィルらしいオチと言えます。
勝負に持ち込むひと言と、最後の切り返し
言い合いが続いたあと、クレアは話を決着の方法へ切り替えます。
Claire: Let’s settle this out on the track.
(トラックで決着をつけましょう。)Principal Brown: All right.
(いいでしょう。)Principal Brown: Coach Tucker, I’m assuming we can count on you to officiate.
(タッカー先生、審判はお任せできますよね。)Modern Family Season6 Episode22 (Patriot Games)
settle this は「この件に決着をつける」、count on you to ~ は「あなたが〜してくれると当てにする」です。審判を引き受けたキャメロンに、ニーナが異を唱えます。
Nina: Alex’s uncle cannot possibly be considered an impartial judge.
(アレックスのおじさんが公平な審判だなんて、とても言えないわ。)Cameron: I’m the gym teacher.
(僕は体育教師だぞ。)Cameron: Who else has the training to oversee this?
(ほかに誰がこれを取り仕切る訓練を受けてるっていうんだ?)Principal Brown: Anyone with a stopwatch?
(ストップウォッチを持っている人なら誰でも?)Cameron: Okay, you know what? No need to humiliate me.
(わかった、もういい。恥をかかせなくたっていいだろ。)Nina: May the best child win.
(いちばん優れた子が勝ちますように。)Phil: Oh, she will.
(ああ、勝つさ。あの子がね。)Modern Family Season6 Episode22 (Patriot Games)
cannot possibly be considered ~ は「とても〜とは見なせない」と強く否定する言い方です。キャメロンの Who else has the training to ~? は「ほかに誰が〜できるのか」という反語で、自分しかいないと主張しています。
ニーナの May the best child win. は、勝負の前に使われることの多い May the best man win.(実力のある者が勝ちますように)の man を child に置き換えた形です。フィルはこれを Oh, she will. と受け、「その優れた子はアレックスだ」と短く言い返します。相手の言葉を受けて主語を差し替えるだけで、強気の宣言になるのが印象的です。
Oh, she will. の will の後ろには win が省略されています。相手の文の動詞を繰り返さずに助動詞だけで受ける形は、短く言い切りたいときに便利です。
まとめ|同じ形で返す言い返し方
compete with をそのまま使って打ち返す、When ~ was ~ の型を借りて数字だけ変える、May the best child win. に Oh, she will. で応じる。親同士の張り合いからは、相手の言葉を借りて言い返す英語の組み立てが見えてきます。
『モダンファミリー』の家族の言い合いを観ながら、言い返しの英語も楽しんでいきましょう。
総代の文化や自信ありげに言い切る英語は同じ回のほかのコラムで、場面ごとの表現はフレーズ記事でも取り上げています。


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